31話 復讐者、襲撃に遭う
「……さて頼みの方だが」
そうコルヴォさんが口にした瞬間自動迎撃が発動した。
もちろん目の前のコルヴォさんが攻撃してきたわけではない、ならば左右か後ろからの攻撃だ。
そう判断しつつコルヴォさんに覆いかぶさるようにしてその場に伏せる。
直後に弾丸が僕の左腕を掠めて数発が近くの地面を穿つ。
直ぐに立ち上がり弾丸を避けるために身を低くしたままコルヴォさんが隠れ家にしている建物の中へと逃げ込む。
「相手に心当たりは?」
中に入るなり直ぐに荷物を纏めるコルヴォさんに机やいすで入口のドアを塞ぎながら尋ねる。
「追手だ、それで頼みの方だが、奴らから逃げるために時間を稼いでほしい予想より早く見つかったがまぁ問題ないだろう」
「え?」
今なんて言った?
「この家に残っている武器は好きに使って構わん、20分も引き付けてくれれば十分だ、じゃあ後は任せたぞ」
「は?」
困惑する僕を置いてそそくさと裏口から出ていくコルヴォさん。
慌てて裏口へ向かうと出てすぐの場所にあるマンホールへと降りていくコルヴォさんが見えた。
直後にマンホールから爆発、後に残ったのは崩落した下水道これでは追手も後を追うことはできない、そして僕もここからは逃げられない……。
呆然としていると追手の者たち声が聞こえてくる。
「なんだ!?」
「裏側からだ!!」
「くそっ!!逃がすな!!」
やばい、取り敢えず中に戻ろう。
追手の連中はまだ裏手の爆発に気を取られているので少しの間はこの家の中に入っては来ないだろう。
コルヴォさんが残していった武器を確認しつつアイテムパックに仕舞う。
レイピアやロングソードに刀等の刀剣類とナイフが数本、銃火器は拳銃とパーカッションロック式のライフルに……これはショットガンだろうか?
気になったので詳細を見てみる。
水平2連ショットガン:
出自不明の元折式の水平2連ショットガン、銃身に絞りがなく拡散が激しいため遠距離への射撃には不向きだが銃器の扱いに長けていない者でも近距離ならある程度の命中率を確保できる。
専用の紙薬莢弾薬を使用する。
トリガーが両引きの為連射には習熟を要する。
サイドロック式で撃鉄バネが故障した際の交換が容易。
よくわからないが武器補正がなくても近距離で打てば当たるということだろう。
だが弾の込め方も分からないので今すぐ実戦で使うという訳にもいかない、取り敢えずこれもアイテムパックに直行だ。
それから大量の工作部品と爆薬が数キロ、罠師のスキルで作れる物が頭に浮かんでくるので手始めに玄関と裏口のドアに爆薬を仕掛けつつこの状況で使えそうなものを考える。
5分ほどかけて建物の1階部分を罠だらけにした後僕2階の窓から外の様子を窺う。
「……」
窓から見える光景に思わず息をのんだ。
コルヴォさんの追手と思われる連中がこの廃屋の周囲を固めているのだが、その人数が予想以上に多かった。
というか多すぎだ、精々10人程度かと思っていたのだが、家の周囲をには見えるだけでも30人は居る。
どこの組織の者かは知らないがコルヴォさんは相当な恨みを買っているようだ。
ていうかこれ引き付けるどころか速攻で殺されそうなんだけど!?




