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Grim Reaper Blood  作者: んご
24/62

24話 復讐者と下水道の闘争4

驚愕に目を見開く盗賊のリーダー、だがこちらも内心驚いていることがある。

肉楯4号の頭を掴んでいる自分の右手から血が流れる。

肉楯4号で弾丸を防いだ弾丸2発は肉楯4号の頭部を貫通してその頭部を掴んでいる僕の手のひらに刺さっていた。

どうやら手のひらを貫通する事はなかったようだが相手の持つ銃も他の装備と同様に下っ端の盗賊よりも良い物を使っているのだろう。

この調子では盗賊の死体を楯にするのも無意味だろう、手に持った死体をそのまま真横に放り投げる。

空になった手を振ればその勢いで刺さった弾丸が床に落ち傷口もあっと言う間に塞がる。

「反則物の化け物だなおい……」

傷は塞がるが失った体力は戻らないので反則と言うほどのものではないと思うのだがそんなことを言っても無駄だろう、盗賊の言葉は無視して腰のナイフを抜く。

警戒しているのか直ぐには撃ってこない、ならこちらから攻めよう。


吸血鬼の身体能力を活かして一気に距離を詰める。

だがナイフの届く範囲まであと一歩と言うところで盗賊がこちらに銃を向けて引く、避けられるなら避けられない距離で撃とうと考えたのだろう。

考えは悪くない、が残念ながら自動迎撃を発動している僕はその銃を向ける動作も引き金を引く瞬間も見えているのだ、逆に近づいている方が避けやすかったりする。

先ほどまで僕の頭のあった場所に向かって発射される弾丸を尻目にさらに踏み込んで銃を持っている盗賊の右腕をナイフで切りつける。

「あがぁあああああああ!!」

そこまで強く切りつけたつもりはなかったのだが、盗賊の右手は手首のところで綺麗に切断された、恐らく今までさんざん攻撃を受けていたから復讐者の特性でステータスが底上げされていたのだろう、それにリベンジスタンスによる効果の上乗せもある。

実際にどのくらい上昇しているのかを知る術がないのは困りものだが……。

切り飛ばした盗賊の右手が地面に落ちたのと同時に自動迎撃の効果が切れた、盗賊は手首から先のなくなった右腕を押さえて痛みに悶えている、とどめを刺すにしてもこれ以上自動迎撃を発動させる必要はない……そもそも相手が攻撃してこなければ発動はしないのだが。


とどめを刺すために盗賊の前でしゃがみ込んだ瞬間盗賊が左手をこちらに勢いよく突き出す。

その手に持った光を反射する何かに僕は対応できなかった。

敵対行動中なので奇襲扱いにはならず自動迎撃も反応しない、完全に油断していた、そう思った時には盗賊のその手に持った何かは僕の腹部に深々と刺さっていた。


「ぐっ……」

焼けるような痛みに倒れそうになるがなんとか踏みとどまる。

刺さったままのナイフを引き抜き自分の体力を見てその異常に気付く、残りの体力が1割を切っている、どういうことだ?

「銀のナイフは気に入ってくれたか吸血鬼」

たしか吸血鬼は銀製武器に対しては耐性が無効化されるんだっけか、それにしてもナイフの一突きでここまで体力が減るとは予想外だった。

いや、吸血鬼の基礎ステータスも体力はそこまで高くなかったので当然と言えば当然か?

それより残り少ない体力も問題だが傷口の治りもかなり遅くなっている、体力が少なくなったせいなのかそれとも銀製武器のせいなのかは分からないがこのまま出血が止まらなければ残り少ない体力では持たないだろう。

現に今も体力がじわじわと減っている、ここは早々に決着を付けなければ……。


再び盗賊と対峙する、だが今回先に動いたのは盗賊の方だった。

盗賊は懐から新しいナイフを取り出す、これも銀製なのかはわからないが残りの体力的にはどっちでも同じことだろう。

自動迎撃を発動して盗賊を迎え撃つ。

盗賊がナイフを持った左腕を振るうのと同時に知覚する時間の流れが引き延ばされる。

振られたナイフを屈んで躱す。

体が軽い、何故かはわからないが……。

屈んだ状態から体勢を戻すついでに左腕を振り上げる、所謂アッパーカットだ。

精々牽制目的で放った拳は予想外に盗賊の顎にクリーンヒットし……その顔面を跡形もなく吹き飛ばした。

「は?」

我ながら間抜けな声だったと思う。

いくら吸血鬼のステータスが高いからと言ってここまでの力は無いはずだが。

思い当たることと言えば大幅に減った体力だろうか、復讐者は攻撃を受けたときに少しずつステータスが上昇する、回避した場合も割合的には少ないが同様だ。

そういえばロータスが攻撃を受けたダメージが大きいほどその上昇率は高くなると言ってたがつまりそういうことなのだろうか?

それにしてもこれはいくらなんでも上がりすぎだと思うのだが……。

うーむ、復讐者のこの特性の恩恵をあまりはっきりと感じたことはなかったがそれは今まで自動迎撃で攻撃をほとんど受けることがなかったからなのだろうか。

なんにせよ今の自分の戦闘スタイルについては一考する余地がありそうだ。

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