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Grim Reaper Blood  作者: んご
22/62

22話 復讐者と下水道の闘争2

「動くな」

何者かの言葉と同時に後頭部に金属の冷たい感触、まるで映画のような状況に僕も映画のように取り敢えず両手を上げる、所謂ホールドアップと言う状況だ。

だがおかしい、奇襲なら自動迎撃が発動する筈だ。

このスキルで何か見落としてる部分があるのか?

必死に思考を巡らせて考えるのだが原因に思い当たることはない……。

「そのままゆっくりとこちらを向け」

そしてこちらの思考なんて知らない相手はお構いなしに命令してくる。

ここは大人しく従っておくべきなのだろうか?

それとも振り向く瞬間を狙って攻撃をするべき?

いや、そもそも本当に敵かどうかも分からないのに攻撃をするのもどうなんだろう?

だが本当に敵だった場合攻撃のチャンスを逃すのは危険か?

「早くしろ」

人が必死に考えているというのに急かしてくるなよ……ええい、こうなったら取り敢えず振り向きざまに攻撃してしまおう。

ゆっくりと敵に振り返って視界の端に相手の影が見えた瞬間素早く身を低くして振り向きながら相手の銃を持った右腕を掴んで内側にひねるようにして相手の体勢を崩す。

「なっ!!」

ドズサっと無様に倒れ込んだ相手の右腕をそのままひねって背中のところで押さえる。

空いた手で銃を奪い取って頭に突き付ける、攻守逆転だ。

「何者だ」

「くっ……」


聞いてみたものの答える気配はないこれこのまま撃っちゃってもいいのかな…?

「見事だねぇ、いや、そこの下っ端がへまをしただけかな?」

このまま待っても答える気配がなさそうなので引き金を引こうと指に力を入れた瞬間別の場所から声が聞こえてきた。

声がした方向を見ると僕が組み敷いてる男と同じ動きやすそうなこれぞ盗賊という感じの服装をした男が心底可笑しいといった風な笑みを浮かべていた。

周囲を見てみればいつの間にそこにいたのかこれまた同じような服装をした奴が5人。

声をかけてきた奴は他の者よりも数段上等な装備をしているところを見るとこいつがリーダーなのだろう。

「それで?一応聞いておこうか君は何者かな?見たところ俺たちの仲間に入ろうってわけでもなさそうだが」

「あんたらがこの辺を荒らしまわってる盗賊なら残念ながらそうなるね」

「ふんっそんな仮定なんて無意味だろう、こんな格好してる俺たちが盗賊じゃないって言ってお前はそれをホイホイ信じるのかよ?それに俺たちが盗賊で残念ってことはないだろう?」

顔に笑みを張り付けたまま話を続けるリーダー(仮)なんだよくわからないがこいつがむかつく奴だということは確かだろう。

「どうせお前は街の何処かの組織に雇われて俺たちを掃除しに来たんだろう?」

「なるほど、確かに見つける手間が省けたっていう点では残念ではないか」

「まぁ、仕事は失敗だからどのみち残念かもしれないけどな」

そうリーダー(仮)が笑いながら指を鳴らすと同時に銃撃が始まる。

僕が組み敷いている味方もろともハチの巣にしようと大量の弾丸と矢が殺到する。

銃撃と同時に自動迎撃を発動させ全力でその場から飛び退くが後だしの発動では流石に回避が間に合わず太ももに2発ほど食らってしまう。

太ももを撃ち抜かれたせいで思う様に力が入らず着地に失敗して盛大に転がるが着地した地点にも直後に弾丸が殺到しているのを目撃して逆に運が良かったと胸をなでおろす。

欠損ペナルティ無効化の効果なのか体勢を立て直して立ち上がるころには潰れた弾丸が塞がっていく傷口に押し出されるようにして地面に落ちる。

ていうか戦闘で初めてまともに攻撃を受けた気がするがかなり痛い、銃撃を受けた個所が焼けた鉄の棒でも刺されたのかと錯覚するほどの熱と痛みを感じる。このゲームは痛覚緩和がかなり弱いとはネットの情報で見たがここまでとは思わなかった。

ふと盗賊を取り押さえていた場所に目を向けるとそこには無残な盗賊の死体が1つ、仲間だろうが容赦なく見てるその態度に少し腹が立つ。


だがそんなことに思考を割いている暇はない、相手の武装は銃とクロスボウ、自動迎撃の効果が切れる前に優位な状況に立たなければやられるのはこちらだ。

残りHPはちょうど90%食らった弾丸は2発なので相手の銃の弾丸1発で5%のダメージと言ったところ

こちらにも飛び道具はある、盗賊から奪った銃に小型ナイフとアンカーショット、まず銃は補正がかからないので撃ったところでまず当たらない、小型ナイフはこの距離なら全員に当てる自信はある、アンカーショットも同様だがこちらは1発の単価が高い上に発射の動作やワイヤーの巻き取りもあるので使う場面は考えなければ……。

スキルにより加速した思考で一瞬で作戦を考えた僕が最初にとった行動は一番近くの敵に右手に持った銃を向けて……そのまま投げるという物だった。

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