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装備はローラースケート

 ふふふ………準備は整った。




 桜花学園を見つけた翌日。私は再び学園の前に来ていた。

 だが、昨日のように校門前にはいない。守衛さんに見つからないように学園の校門が見える電柱の陰に隠れているのだ。子供の小さい体は電柱の後ろに隠れることができるから便利だな。今日ほど、この小さい体に感謝したことはないだろう。


 今日は頭にヘルメット、足にはいつものシューズではなくローラースケートを装備している。ローラースケートの扱いは前世も含めて万全だ。私の滅多にない我儘に両親が張り切ってくれたことも幸いした。これでうまくいけば、守衛さんを躱し校門を潜るのは容易いだろう。



 ――――そう、私は強行突破をしようとしているのだ。



 何故このような手段になったかというと、まず私は五歳児であるからして学園の生徒としては入れない。さらに関係者でもない部外者な私は入る口実がないのだ。兄や姉はいないし、近所の知り合いに年上の学園に通っている生徒でもいればいいが、いかんせん私の交友関係はまだ狭いのだ。

 仮に、知り合いに用があると虚偽の言葉をもってしても、「それは誰かな?」と誰何すいかされてしまったら私は口を閉ざさる得なくなる。適当な人物名を挙げても確認されてしまったら私の嘘だとばれてしまうからだ。


 朝に生徒が登校する時間帯を狙って生徒達の中に紛れ込むというのも考えたが、小さい子供が紛れ込んでいたら違和感がありすぎて守衛さんだけでなく他の生徒達にまで注目されてしまうのは火を見るよりも明らかだ。


 ならばと、学園の周囲に張り巡らされた壁をよじ登ることも考えたが、五歳児の体には学園の壁は高すぎる。それに、この学園のセキュリティだって甘くない………はずだ。

 桜花学園は良家のご子息ご令嬢や大手企業の社長さんのお子さんや、将来有望な子供達が通う中・高一貫した学校………のはずだ。ちなみに大学もあるが、場所は別だった気がする。


 前世の記憶で説明書(設定集?)を読んだ記憶はあるがどうしてもあやふやではっきりと思い出せない。

 まあ、ただの興味本位でやっただけだし、そこまで好きになったわけでもないからな………しょうがないと割り切るしかないな。





 さて、私は只今朝から守衛さんの隙を伺っている最中なのだが………隙がないな。


 もう太陽は真上に昇り、もうすぐお昼の時間になってしまう。栄養が必要な私の小さな体は正直でお腹がすいてしまうと力が出なくなってしまう。腹の虫が鳴く前に門を潜り学園に入らなければならない。

 今日の私が肩から斜め掛けしていてるメッセンジャーバッグには母に頼んだお弁当が入っている。桜を見ながらお弁当を食べるのも乙だろうと思って母に頼んだら、「腕によりをかけて作ったわぁ~」と言って持たせてくれたので食べるのが楽しみだ。


 守衛さんは校門の両脇に一人ずつの計二人。昨日と同じ二人組だ。

 私から見て左側に二十代前半の若いお兄さん。焦げ茶色でサイドをすっきりと刈り上げた短髪で長めの前髪を流しており、キリっとした凛々しい眉と対照的な垂れ目が特徴で、ビシッと制服を着こなした姿が真面目そうな人という印象を受ける。

 右側には左側のお兄さんよりも少し若そうに見えるお兄さん。うなじまである後ろ髪で眉にかかるぐらいの前髪をセンターで分けた茶髪、髪の隙間から見える耳のシンプルかつお洒落なピアスと見苦しくない程度に着崩した制服が軟派そうな雰囲気を醸し出している。

 二人とも守衛という警備する役柄のためか、制服の上からでも分かるぐらい引き締まった体格だ。ちんまい私には普通の成人男性の身長でも、巨人を見ているような気分になってしまう。


 昨日の彼らはもう少し緩い雰囲気だった気がするのだが、今日は朝からずっと堅い雰囲気で何かを警戒するようなピリッとした感じがあるな。不審者の目撃情報でもあったのだろうか?


 だが、これ以上は待ってられない。


 また後日などという妥協は私にはないのだ。




 いざ、往かん!!




読んでいただき、ありがとうございました。

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