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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

かみさまかみさまかみさま

作者: 地海月

「神様、神様、その綺麗な毛をください」人々は、神様の綺麗な毛を一本一本丁寧に抜きました。人々の間では、神様の毛で作った衣装が流行っていたのです。しばらくして、神様の毛は全部なくなってしまいました。「神様、神様、その美しい眼をください」人々は、神様の美しい眼を引っこ抜きました。人々は、神様の眼は神様についてるのはもったいないと思っていました。神様から外された眼は素晴らしい美術品になりました。「神様、神様、その鮮やかな血をください」人々は、神様の鮮やかな血を採りました。一滴残らず抜き取られた血は、最高級の塗料として絶賛されました。程なくして、神様の血は全て使われ尽くされてしまいました。「神様、神様、その鋭利な爪をください」人々は、神様の鋭利な爪を剥がしました。神様から剥がされた鋭利な爪は、人々によって小さく割られ、しっかり研がれ、よく切れる刃物となって普及することとなりました。「神様、神様、その丈夫な皮膚をください」人々は、神様の丈夫な皮膚を剥きました。神様の皮膚は、丁寧に丁寧になめされ、丈夫で滑らかな革として、いろいろなものに使われました。神様は、動かなくなりました。「神様、神様、そのおいしそうなお肉をください」人々は、神様のおいしそうなお肉を切り分けました。神様のお肉は比類なき絶品として持てはやされ、人々の口をわずかな間だけ楽しませて、なくなってゆきました。「神様、神様、その白い骨をください」人々は、神様の白い骨を拾い集めて砕きました。人々によって砕かれた神様の骨は、人々によって大地にまかれました。数日後に雨が降って、全部流されていってしまいました。「神様、神様、どうしてもうなにもくださらないのですか」人々は、いなくなった神様を呪いました。けれども、いなくなった神様は何の反応も返しません。人々は、怒りのままに神様がくださったものを壊しました。「人よ、おろかな人よ。我は、御主等を赦さぬ。赦さぬぞ」人々は、ゆっくりゆっくりと滅びてゆきました。人々は、自分達が滅びているということに気付きません。最後の一人はわけもわからず、無為に死にました。動くものがなくなった世界に、ある日ぴょこりと儚い芽が生えました。弱いし動けないその小さな命は長い時間をかけて大きな大きな樹に成長しました。世界を埋め尽くすその大きな樹を、時折見に来ては悲しそうに笑う存在がいると言われています。さて、皆さんこれを聞いてどう思ったか明日までに書いてくるのが宿題です。今日の授業はこれでお終い、もう暗いですから、気をつけて帰るように。では、解散。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 人間と「かみさま」の関係性が曖昧に濁されている事 [気になる点] 最後の人間の語りがなんと無くもわっと [一言] 「かみさま」が人間にとってどういう存在で、人間が「かみさま」にとってどうい…
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