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殺意の方程式  作者: 虹宮
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第四問、彼の死は本当に事故だったのか

「放火事件の調査依頼?」

 彩音は歩きながら、少し驚いたような口調でそう言った。

「ああ。俺をAクラスに入れた理由はそのためだってさ」

 Aクラスの生徒として授業を受けた初日の夜、崇史は彩音に事情を説明しながら家路についていた。崇史は中野の熱意に押される形で、夜十一時まで自習室で勉強しており、もはや深夜と言っていい時間帯だ。

 彩音だけ先に帰らせてもよかったのだが、夜道を女子一人で帰らせるのも気が引けるし、十一時まで待っていてもらうことにしたのだった。

「なーんか裏があると思ったら、そういうことだったわけね。……でも、関係者から話を聞くだけで放火犯を突き止めろだなんて、無茶な話じゃない? 現場に入ることもできないんでしょ?」

「ああ、そもそも前校舎はもう取り壊された後らしいからな」

 現場に残された証拠から犯人を推測することはもう不可能というわけだ。とはいえ、もう警察が十分捜査した後なのだろうから、今さら崇史が調べたところで、何かが出てくるとも思えないが。

「無茶な頼みをしなきゃならないほど切羽詰まってるってことだろうな」

 警察の捜査も難航しているとみていいだろう。厄介なことを引きうけてしまったものだ、と今さらながらに思う。

「実際、どういう事件だったの? 校舎に放火された、ぐらいしかあたしは知らないんだけど……」

「ああ、事件の詳細はファイルで貰ってるよ」

 崇史はポケットからUSBメモリを取り出し、彩音に見せた。この中に入っている情報は、大体頭に入っている。

「事件が起こったのは数ヶ月前。前校舎は四階建てで、火元は三階。出火時刻は午後八時三十分。三階はAクラスの専用フロアで、前校舎にも今の校舎と同じような改札みたいな機械がついてたから、Aクラスの生徒と講師以外は三階に自由に出入りできなかった。だから、放火犯はAクラスの生徒、もしくは全部で三十一人いる講師の誰かってことになる。付け加えて、塾長って可能性もあるにはあるけどな」

「ってことは、容疑者はAクラスの生徒二十四人プラス講師三十一人プラス塾長、で五十六人か……。多くない?」

「いや、亡くなった高塚正臣はそこから除外してもいいと思う。あと、Aクラスの生徒のうち、一年生と三年生は全員が、出火時刻には授業を受けていたことが確認されてる。二年生はその時間帯、たまたま授業がなかったから、生徒たちは各々自習室にいたそうだ。それから、講師の内七人は事件当時塾にいなかった。たまたま席をはずしていたとか、その日授業がなかったから休みを取っていたとかでな」

「とすると、容疑者は三十二人? それでも多いって」

 彩音が溜息をつく。

「何だか、途方もない話じゃない? 三十二人それぞれに話を聞くだけでも、かなりの時間になると思うけど」

 彩音の言葉に、崇史は軽く首を横に振る。

「焦るなよ。容疑者の数はもう少し絞り込むことが出来る」

「え、どういうこと?」

 崇史は頭に入れたデータを整理しつつ答える。

「アリバイだよ。事件当時、塾内にはいたがアリバイはあるという人間が多数いる。Aクラスの一年生と三年生がそうだ。授業中だったからな。つまりそのとき授業をしていた講師にもアリバイは成立する。文理でそれぞれ違った授業をしていたそうだから、それによってアリバイが成立する講師は四人」

 これで残りは二十八人。

「さらに、事件当時ほとんどの講師は講師控室にいたから、アリバイが成立している。この件でアリバイが成立した講師は十九人。塾内の巡回に出ていた中野先生を除く全員だ」

 一気に減って、残り九人。

 高塚秀次、中野澄香、烏丸京介、不破舞子、秋山愛、川上美弥、田淵政人、橋本昌司、それに宗像尚に取って代わられた梅野という生徒。

「……今のところ、データだけで詰められるのはここまでだな。あとはAクラスのみんなにそれぞれ話を聞いてみなきゃ分からない」

 とはいうものの、警察だってここまでは辿りつけたはずだ。問題はそこから先、ということなのだろう。

「そういうわけでさ、もし機会があったら、Bクラスにいる梅野っていう生徒に話を聞いておいてくれないか? Aクラスの俺じゃ、なかなか近づく機会がないんだ」

 崇史の言葉に、彩音は苦笑気味に溜息をついた。

「そうくると思った。いいけどね。で、なんて聞けばいいの?」

「えっと、事件当時の様子について出来るだけ詳しく聞き出してほしい。梅野はいつ避難したのか、誰と一緒に避難したか、事件前後で何か変わった様子はなかったか、ってところか」

 彩音は崇史の言葉を短く反芻すると、小さく頷いた。

「分かった。聞くべきことはちゃんと覚えたよ」

「……悪いな、付き合わせちまって」

「別にいいよ。いつものことだし、それにあたしも警官を志す身として、放火犯が今ものうのうと暮らしているのは許せないしね」

 彩音のこういうさっぱりしているところが、崇史は好きだった。

 二人きりで帰っているというのに、あまりにも色気のない話題ではあったが、それが二人にとっては当たり前で、居心地の良い距離でもあるのだった。






 翌日、部活が終わるとすぐに秀麗塾へと向かった。

 秀麗塾は崇史の通う条星院高校からは自転車で十五分程度の距離なので、通うのに楽だ。母親が秀麗ゼミナールを勧めてきたのも、そういった事情が一つにはある。

 塾について自習室に荷物を置く。あと十五分ほどで英語の授業が始まるので、テキストとノート、それから筆記用具だけ持って教室に向かうことにした。

 するとそれとほぼ同じタイミングで、烏丸京介が自分の自習室から出てきた。

「おお、緒方じゃん。これから教室?」

「ああ」

 頷きながら、火事について聞くチャンスだと思った。いきなり火事の話をしても不審がられるだろうと思い、まずは当たり障りのない話から入ることにする。

「この校舎、新築だけあって綺麗だよなー」

「ああ、前の校舎が火事で焼けちゃったから、建て直したんだよ」

 京介の方から火事の話題に触れてくれたので、内心ありがたく思った。これで、不審に思われることなく火事の話を聞けそうだ。

「その火事のとき、烏丸も校舎に?」

「ああ、いたよ。前の校舎にもAクラスの生徒には個室で自習室が与えられててさ、俺もそこで勉強してたんだ」

 京介はそのときのことを思い出すように、少し視線を遠くへ向けた。

「前の校舎の自習室にも防音処理が施されてて、そのせいで火災報知ベルの音が聞こえなかったんだ。ちょっと一休みしようと思って外に出たら廊下が火の海になってて、驚いたどころの話じゃなかったな」

「え、それじゃあ、自習室にいた他のAクラスのメンバーも火事には気がつかなかったんじゃないのか?」

「だろうな。さらに言えば、防音処理は火元だった三階の全ての部屋に施されていたから、教室で授業を受けていた一年生や三年生も気づいてなかったはずだ。四階から、中野先生たち講師の人たちが知らせに来てくれなかったら、死者はもっと増えていたかもしれない。……あ、でも心配するなよ? 今の校舎にはそれぞれの部屋にスピーカーが付いていて、非常時にはそれで注意を呼び掛けることになってるから。塾長も、前校舎の火事で学んだんだろうな」

 防音処理のせいで、火事に気づくのが遅れた。高塚正臣が亡くなったのも、そういった事情が絡んでいるのかもしれない。

「烏丸は、講師の先生たちが来る前に避難したのか?」

「ほとんど入れ替わりくらいだったかな。あのときは逃げなきゃって思って一生懸命だったけど、今思うと、中野先生たちみたいに、ちゃんとみんなに避難を呼びかけるべきだったよな……。そうすれば、高塚だって……」

 死なずに済んだかもしれない。京介はその先を口にしなかったが、そう言いたかったのだろう。

 崇史がAクラスにやってくるまでは、正臣がそこにいたのだ。たった四人しかいないクラスの仲間として、それなりに交流もあっただろう。隣を歩く京介の横顔に、少しだけ後悔の色が窺えた。

「さ、教室に着いたぞ」

 話を打ち切るように、京介が言った。








「英語という科目は、特にセンター試験で、最重要科目の一つです。何故ならば、国語もそうですが、二百点満点と非常に配点が高いからです。みなさんほどのレベルとなると、いかにミスを少なく済ませるかが大きなポイントとなってきます。国語で満点を取るのは難しいですが、英語での満点は決して難しいことではありません。基礎さえしっかりしていれば……」

 中野の声を半分聞き流しながら、崇史は頭を抱えていた。

 授業の最初に、抜き打ちで行われたテストでほとんど答えが分からなかったのだ。しかも、周りを見る限り、自分以外の生徒たちはみなそれなりに満足のいく出来だったらしく、それも崇史を焦らせていた。

 学力の差があるのは仕方がない。それは事実なのだから。だが、それを塾長以外の人間に知られるのはまずい。こんな実力で何故Aクラスにいるのだろう、と疑問を持たれると今後色々とやりにくくなるだろう。

(やっぱ俺にAクラスなんて無理だったのかな……)

 柄にもなく弱気な思考が頭を掠める。

 綺麗な発音で中野が英文を読みあげているのをぼーっとしながら聞いていると、ほどなくスピーカーからベルの音が流れた。

「……時間ですね。では、今日の授業はここまでにします。予習・復習を怠らないようにして下さいね」

 中野の言葉をきっかけに、張り詰めていた空気がふっと和らぐ。崇史もようやく終わった、とばかりに小さく息をついた。

(何だかほっとしたら、トイレに行きたくなってきた……)

 十分の休憩を挟んで、次に社会系の科目の授業がある。授業が始まる前に、トイレに行っておいた方がいいだろう。

 そう思って席を立ち、引き戸の方へと歩き出す。すると、いきなり背後からどん、と誰かに体をぶつけられ、崇史は思わずたたらを踏んだ。

「邪魔だよ。どけ!」

 振り返ると、相変わらずの分厚いメガネをかけた田淵政人がこちらを睨んでいた。

 さすがの崇史もむっとして、「何だよ、そっちがぶつかってきたんだろ」と文句の一つでも言ってやろうと口を開きかけたが、その前に政人は崇史の体を押しのけて、教室の外へ出て行ってしまった。

「何だよ、あいつ」

 崇史が思わず呟くと、近くに座っていた舞子がくすくすと笑った。

「なんか最近、田淵の奴やたら攻撃的なんだよね。まあ、原因はなんとなく分かってるけど」

「原因って?」

 崇史が聞くと、舞子は少し声のボリュームを下げた。

「成績。あいつ、あの火事があった辺りから、少し下がってるの。今回の塾内テストで梅野がBクラスに落ちたけど、あと五点点数が低かったら、落ちてたのは田淵の方だったんだよ。元々、理系では川上さんに次ぐ二番手だったのに、落ちぶれたもんよねー。それで荒れちゃってるんじゃない?」

 それでもまだAクラスに居続けているのだから、落ちぶれたというのは言いすぎではないかと思ったが、舞子や政人のようなレベルともなると崇史の感覚とはだいぶずれてくるのだろう。

「今のBクラスに大した生徒がいないからまだAクラスにいられるけど、そう遠くないうちに田淵はBクラス落ちすると思うよ。今の成績じゃ、梅野ともどっこいどっこいだしね」

 厳しい世界だな、と他人事のように崇史が思ったそのとき、いきなり耳をつんざくような形容しがたい奇声が響いてきた。反射的に、その声が聞こえてきた方向を向く。

(……窓!?)

 その方向には換気のために開かれた窓があるだけだった。

 今の奇声は外から聞こえてきたのだろうか、と考えた瞬間、その窓を上から下に何かが落ちて行くのが見えた。

「え……? 何、今の?」

 愛が震えた声で呟く。

 愛と同じく、ほとんどの人間が現状を理解していないようだったが、それが何なのか、動体視力には自信のある崇史にははっきりと見えていた。

「人だ!」

 崇史は叫びながら窓の方へと駆け寄った。崇史の見間違いでなければ、落ちて行ったその人物は、崇史の知っている人間だった。

 窓から身を乗り出して下を見る。コンクリート製の歩道に、血の赤が広がっていくのを、ネオンが照らしていた。崇史の後ろから他の者たちも下を眺め、声にならない悲鳴を上げる。

「くそっ!」

 崇史は教室を飛び出して、人が落ちて行った現場へと足を走らせた。

 六階の出口にある改札機をそのまま通りぬけようとして引っかかり、もどかしくて小さく舌打ちをする。

 財布から塾生証を取り出してタッチすると、待ちきれないと言わんばかりに飛び出した。

「私は塾長に知らせてくるわ!」

 いつの間に来たのか、崇史が通り抜けた改札の向こう側に中野が立っていた。その後ろには数人の塾生たちの姿も見える。

「緒方くんは、救急車をお願い!」

 改札を通り抜けながら、中野が言った。

 崇史は無言で頷くと、二段飛ばしで階段を駆け下りていく。中野は崇史に背を向け、七階へと上がっていった。

 ポケットから携帯電話を取り出し、一一九番をプッシュする。走りながら通報を終えると、もう既に一階に着いていた。

 自動ドアを抜けて外に出ると、そこには既に人だかりが出来ていた。青い顔で口許に手を当てるOLらしき女性、やたら大きなダミ声で騒いでいる中年サラリーマン、面白半分に携帯で写真を撮っている不謹慎な若者。

 彼らに囲まれて、手足を変な方向へ折り曲げながら倒れているのは、先ほど言葉を交わしたばかりの田淵政人だった。その傍らには、粉々に砕け、無惨にひしゃげたメガネが転がっている。右手には何故か大事そうにUSBメモリを握りしめていた。

 初めて見る、メガネをかけていない政人の顔。普段から血色のよい方ではなかったが、今はそれ以上に青白い。半開きの目に生気は感じられず、政人がもう生きてはいないことは一目で分かった。

(―――ああ、やっぱり)

 崇史の優れた動体視力が捉えた、落下時の一瞬の姿。崇史にはそれが政人であるように見えたのだが、どうやら当たっていたようだった。

 救急車のサイレンをどこか遠くに聞きながら、崇史はその場に立ちつくすしかなかった。








「事故だな」

 現場に到着し、一連の状況について部下から報告を受けた警視庁の警部、宝井信夫たからい のぶおはきっぱりとそう言った。

「そうですか? 誰かが被害者をつき落したとか、もしくは自殺の可能性も考えられるのでは?」

 宝井の横に立っていた若手の刑事が疑問を呈すると、宝井はフンと鼻を鳴らした。

「遺書がどこからも見つかっていないからな。今後の捜査で遺書が見つかったら話も変わってくるんだろうが、現状では自殺は考えづらい。それに、被害者が落下したのは授業と授業の間のたった十分間の休憩時間なんだろう? 自殺するのに、そんな不自然な時間は普通選ばん」

「では、他殺のセンは?」

「それも考えづらい。各階の改札口の記録を調べてみたところ、直前の授業が終わってから被害者が落下するまでの間、各階から出た講師や生徒はいないそうだからな」

「授業が終わる前から七階で待ち伏せしていたのかもしれませんよ。七階には例の改札口はなかったそうですから、授業がなかった講師や生徒は記録を残さずに被害者を待ち伏せできます」

 宝井はガシガシと頭を掻いた。

「聞き込みの結果、七階でと一人の講師と二人の生徒が話しこんでいたことが分かった。この三人の証言によると、被害者が落下した時間付近に七階に上がってきたのは被害者だけだったそうだ。その後、中野澄香が塾長に知らせるために七階に上がってくるまでは、誰も来なかったし出て行くこともなかったとのことだ」

「確かその三人は、中野澄香から事情を聴いて、一緒に塾長室まで駆けつけたんですよね。うーん、待ち伏せが不可能だったとなると、やっぱり他殺のセンは薄いですね」

「そういうことだ」

 若手刑事は一旦は納得したように引き下がったが、少ししてからまた口を開く。

「高塚という塾長はどうでしょう? 被害者が落下した場所は七階の倉庫でしたよね? そのすぐ近くに塾長室はありますから、高塚ならば三人に見つからずに倉庫へ出入りできたのでは?」

 若手刑事の主張を聞き、宝井は不愉快そうに眉をひそめると、グーで彼の頭を思いっきり殴った。

「お前はまず事件の概要をしっかりと把握しろ! 報告を受けたとき、お前も一緒にいただろうが! 被害者が落下したとき、高塚は塾長室で来客と話しこんでいたそうだ。アリバイが成立している」

 宝井は、涙目で自らの頭を抱えてしゃがみ込んでいる若手刑事を一瞥して、大きな溜息をついた。

「誰にも被害者を殺すことはできなかった。遺書も残っていなかった。事故で間違いないだろうよ」

 宝井はそう言いながら、事件の関係者たちの中に、知った顔があったことを思い出していた。

 田淵政人の死は事故だったと宝井は確信しているが、関係者たちに一通り話を聞いておかないわけにはいかない。当然、その人物―――緒方崇史にも話を聞くことになるだろう。

(あのガキ……俺は苦手だ)

 ほんの少し前、宝井はある事件で崇史と関わったことがあった。条星院高校という私立高校で起こった殺人事件でのことで、警察よりも早く事件を解き明かしてしまったその手腕には驚かされたのを覚えている。(「サッカー部の殺人」参照)

 緒方崇史が、自分と同じ結論に達しているならば何も問題はない。しかし、崇史が他の主張をしてくるようならば……。

(少し、厄介なことになりかねん)

 自らの胸に湧いてくる予感めいた感情に、宝井は小さく舌打ちした。

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