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第7話「三木城の兵糧攻め」
「秀長、見てみやあ。あそこの子供ら、ひもじくて泣いとるがね。わし、もう見てられんわ……」
三木城を包囲して数ヶ月。秀長の策は、敵を殺さず飢えさせる兵糧攻めだった。元農民の万作にとって食べ物がない苦しみは誰より身に染みる。万作は豪華な陣中で、ひとり握り飯を握りしめて咽び泣いた。
「兄上、これは慈悲の戦なんです。力で攻めればもっと血が流れる、我慢してください」
秀長が諭す横で血気盛んな仙石秀久が「大将! 我慢ならねえ、俺が門をぶち破ってきやす!」と槍を振り回す。万作は「おみゃあは、あんな腹ぺこの人らをどついてどうするんだわ!」と仙石を叱りつけ、堪えきれず城内へ向かって「おーい、熱っつい粥を食わんかー!」と勝手に炊き出しを始めてしまう。
これには秀長も仙石も絶句したが、敵兵は万作の異常なまでの優しさに戦意を喪失し、次々と降伏した。
「……秀長、勝ったがね。でも、もう二度と腹の減る戦は嫌だて」
秀吉の「人たらし」という二つ名は、飢えを誰よりも知る万作の優しさが生んだ副産物だった。




