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第6話「播磨嘘つきの合戦」

「……秀長。あの竹中っていう人、こっちをじっと見とって何にも喋らんのだわ。

怖くておしっこ漏れそうだて」

播磨の陣中で万作は、天才軍師竹中半兵衛の静かな視線に晒され震え上がっていた。

信長の鋭さとは違う、すべてを見透かすような半兵衛の瞳。

万作は、秀長から渡された難しい軍略の台本を冷や汗でぐちゃぐちゃにしていた。

「兄上、弱気にならないで下さい。

半兵衛殿は知恵者ですが情に厚いお方です。

あなたのその頼りなさを逆に利用して懐に入るんですよ」

秀長は、涼しい顔で万作の背中を叩く。

「……半兵衛どの。わし、実は頭が悪いもんで難しいことは分からんのだわ。

でも、戦で誰も死なせたくにゃあんで、それだけなんだわ」

万作が、本音をボヤきのように漏らすと半兵衛はふっと微かに微笑んだ。

「……面白い御方だ。

その嘘のなさ、気に入りました。

私の命、殿下に預けましょう」

万作の村人ゆえの慈悲が孤高の天才を動かした。

「……秀長、上手くいったがや。

でも、あの人には嘘を吐いとるのが申し訳にゃあ気がするわ……」

万作は、初めて覚えた良心の呵責を隠すように酒を煽った。

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