第6話『目的地までの道中、敵なし!』
冒険者登録をするために辿り着かなければならない目的までに、必ず通らなければならないことがある。
広野を歩いているだけなら可能性は低いが、森の中などに入ると状況は一変し、戦わなければならない。
そして今、その道中にあり、小物モンスターに囲まれている。
「全部で5体か。俺がやる」
「いいえ主様、わたくしの力を把握してもらう良い機会だと思います。お任せください」
「わかった」
と、サラッと頼んだが……まさか【聖剣】が負けるわけはないだろうけど、ドレス姿の少女が戦うのは不思議な光景でしかない。
剣で戦えば瞬殺だろうし、心配はしていないが。
「ふんっ! てい! やー!」
「は?」
「とりぁ! えーい!」
つい零れた疑問は、モンスターが反撃をすることなく消滅していった光景に原因である。
だってさ、【聖剣】、剣だよ? なのに、拳と足だけで倒すなんて想像できる? 腰に携えている剣は飾りなの?
「いかがでしたか主様!」
「あ、ああ……凄かった」
「ありがとうございます!」
物凄く嬉しそうに、にんまり笑顔を作っている。
それはそれでかわいらしいが、さっきまでモンスターを殴ったり蹴っていた光景をどうしても思い出してしまう。
再び歩き出すと、再び小物モンスターの群れが。
「今度は私がやっつけるね」
「任せた」
こっちはこっちで、今のところは心配が勝っている。
セリナとは幼馴染ということもあり、幼気な少女の印象しかないからな。
いざとなったら反射的に飛び出して行く自信がある。
「えーい! やー! たー!」
「……」
「あいやー! とりぁー!」
訂正。
記憶の中に居た、小さい頃の記憶を上書きし、セリナも【魔剣】であるという認識でいこう。
メノウ同様に、剣を使わずに拳と足でモンスター全てを殴り蹴り飛ばしてしまった。
本当、その腰に携えている剣は飾りでしかないだろ。
「どうかな。ちゃんとできた?」
「お、おう。完璧だった。随分と手慣れている感じがし――ん?」
「ん?」
「もしかしてだけどさ。セリナが村を守ってくれていたのか?」
「実はね、そうなの」
「なるほど、そういうことだったのか」
今だからこそ、わかる。
王都から村まで突っ走っていった際、周りには獣やモンスターが闊歩していた。
であれば、流れで村に行きつくことは別に不思議じゃない。
村には冒険者や騎士団が不定期に訪れることはあっても、緊急事態などに救援を呼ぶまで時間がかかってしまう。
だが、俺の記憶には村がモンスターに襲われたという記憶が全くなかった。
「今まで村を守ってくれて、本当にありがとう」
「いいのいいの。私はアレンのためにやっていただけだから」
「でも俺がいない間も守ってくれていたんだろ?」
「そーれーは、アレンが返ってきたときに村がなくなっていたら嫌でしょ? だから、そのときが来るまで守っていただけだよ」
……たった今、初めてセリナが【魔剣】である――いや、俺以外に興味がなかったことを伺えてしまった。
要するに、今は村人のことは心底どうでもよく、俺に再会できたから助ける意味はない、と言っているわけだ。
意外な一面を垣間見て、少しだけ恐怖を覚えてしまった。
「でも、たぶん村の人たちは大丈夫じゃないかな」
「どうしてだ?」
「アレンを密告した人、村に常駐する冒険者を派遣する手続きで王都と往復していたから」
「そうだったのか」
だったら話が変わるか。
その事実があるのなら、別に村の人を心配する必要はない。
「それにしても、だ」
「どうかしましたか?」
セリナは既に正面から顔を合わせたから、そのかわいい顔を拝むことができた。
それはもう、かわいくてかわいいわけだが。
メノウとしっかり顔を合わせたのは、たった今が初めて。
純白な髪色は既に知っているが、眉毛やまつ毛も真っ白なんだな。
瞳の中は、綺麗な水色となっていて、セリナの赤色とは対象になっている。
まあ、簡単に言ってしまうと2人共美少女ということだ。
「素直に本音を伝えると、2人はあまりにもかわいすぎる」
「あ、主様ぁ!?」
「ひゃっ!?」
「両手に華というか、事実は剣だが。俺にはもったいないほど美しいくもある」
ここまで真っすぐに感情を伝えられている2人は、顔を赤く染め上げている。
そりゃあ褒め地獄にされたら誰でもそうなるだろうが、俺は隠さない。
「正直、気分が高揚しないわけがない」
「は、はいぃ!」
「うううううん」
「至らない契約者だが、これからもよろしく頼む」
「よろしくお願いします!」
「こちらこそ、お願いします!」
うんうん、思ったことは伝えないとな。
「よし、足を進めよう」
と、足を進め始めて次々にモンスターが襲ってくる。
だが2人が次々に、「たーっ!」「やーっ!」と緊張感のない掛け声で次々にぶっ飛ばしていく。
さすがに元聖騎士として何かをしなければならない気がしても、俺の出る出番がなさすぎる。
それもそうだ。
俺が悪意や敵意を察知できるようになっているのは、【聖剣】であるメノウと契約を果たしたからだ。
であれば、メノウも同じ力を使えるわけだから当然の結果だ。
「なあセシル」
「なになに?」
「メノウと同じ速さで対応しているけど、【魔剣】にも察知能力みたいなものがあるのか?」
「同じ波動を感じるの」
「あー、なるほど」
そう言い終えると、再び「てりゃーっ!」とモンスターへ突進していった、拳で。
そもそも【聖剣】と【魔剣】は、【聖魔戦争】の産物とされている。
【聖剣】は神々から授けられ、【魔剣】も神々から授けられた。
しかし諸々が相反する存在であり、特に【魔剣】は人間の敵であるモンスターを討伐した際、消滅しながらも剣として実態を成したものらしい。
だから忌々しい存在として認知されていると同時に、いつ暴走して被害が及ぶか判断できないから恐れられている。
どちらにしても【聖剣】と【魔剣】が人の姿に成れるというのは、初めて聞いた。
実際に起きていることだし、陛下だけではなく護衛兵や騎士団も証人になるから嘘にはならないが……。
何よりも、年頃の少女たちが素手でモンスターをどっかどっかばったばったと討伐し続けているのが全ての証拠だ。
「それにしても凄いな……」
俺が出るまでもなく、なんなら2人に疲労という概念が存在するのか疑うほどモンスターをボコボコにしている。
でもさすがに気が引けるから、そろそろ休憩だな。
「おーいメノウ、セシル! そろそろ休憩しよう」
「わかりました!」
「はーい!」
ここまで読み進めていただき、本当にありがとうございます!
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