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第1話『聖騎士は聖剣と契約を果たす』

「――汝、アレンを本日より聖騎士に任命する」

「謹んで任務をお受けいたし、スウェッドフェルナンド王国のためにこの命を――」


 聖騎士任命式当日。

 俺は無事に試験を合格し、夢でもあり目標でもあった聖騎士になることができた。

 この式が終わったら、聖騎士としての立ち振る舞いを求められ、俺が憧れたように今度は自分が誰かの憧れの存在になる。


「――【聖剣】に選ばれた者として、国のため、国民のためにその力を存分に発揮してほしい」

「仰せのままに、国王陛下――」




 とはわかっていても、装備を受け取る前に俺は騎士団に無理を言って保留してもらい、真っ先に向かい場所がある。

 今の俺が聖騎士になったということを知っているのは数少ないから、街中を堂々と走っても注目の的になることはない。

 もしも視線を感じるのなら、あまりにも純白に黄金の装飾が施されている鞘とそれに収められている純白な剣だろう。


 なんせ、この腰に携えているのが本物の【聖剣】なのだから。


「はぁっ、はっ」


 幸いにもかき分けて進まなければならないほどの人が居ないから、こうして普通に走ることができている。

 しかし本当に凄いものだ。

 聖騎士になるため鍛錬してきた成果とも捉えられるが、【聖剣】と契約を交わすことによって得られる恩恵が大きく作用しているのだろう。

 王城からだいぶ走り続けたというのに、まだまだ体力に余裕があるし、なんだったらピョンと屋根までは跳んでしまえそうだ。


「あっ!」


 転倒しそうになっている人を見つけたら。


「大丈夫ですか」

「えっ、あ、ありがとうございます」

「いえいえ、お気をつけて」


 と、いう感じに瞬時に速度を上げて人間離れした力を発揮することができる。


 だから、買い物に夢中な人が袋から果物を落としてもそっと拾って戻してあげられるし、泥棒が物を盗んで走り始めても余裕で追いつける。

 今までだったら、こんなに走ったりしながら人助けをすることはできなかったし、努力なんか必要なかったんじゃないかと思えるぐらい【聖剣】様様だ。


 まあ、努力しなかったら【聖剣】に認められなかったし、聖騎士になることもできなかったけど。


「えへへ、もう逃げられないぜ」

「有り金を全部置いていけ」


 少しでも早く到着したいけど、【聖剣】の能力で察知できる能力を活かし、人目がない路地裏で行われている出来事にも関与することが可能。

 初めての感覚だからなんとなくではあるけど、今まで感じていたなんの根拠もない『嫌な予感』が明確になった感覚だ。


「弱い者いじめをするなんて情けないぞ」

「あぁ?」

「捕まったらどうなるかわかるだろうに。じゃあ早速――」


 目の前には男2人。

 相手は既に短剣を握っていても、こちらが抜剣する必要はない。


「おらぁ!」


 通路の幅は2人が肩をぶつかるかどうかの狭さだから、1人ずつしか前進できない。

 彼は短剣を前に突進してくるけど、鍛錬の成果でもあるが【聖剣】の効果で鈍足に見えてしまう。

 直線的な動きだから回避を選択してもいいが――こちらもあえて前進し、短剣が握られる腕を左手で掴み、右手で胸元を掴んで背負い投げる。


「がはっ――!」

「おっと、すまない。まだ力加減が上手にできないみたいだ」


 背中から着地した男は、白目をむいて痙攣(けいれん)しながら気絶してしまったようだ。

 さすがに申し訳ないと思うけど、鍛錬した体と磨き上げられた技術に加え、【聖剣】の力が上乗せされているから制御ができなかった。


「よ、よくもぉ!」


 気絶している男に目線を落としながら反省会を開いていると、残っている男が憎悪むき出しで突進し始めていた。

 問題ない、【聖剣】の能力に備わっている敵意察知はしっかりと機能しているから。

 敵意や悪意を抱いている人間は背後であっても動作全ての詳細を把握し、理屈はわからないけど情報として鏡に映し出されるように流れてくる。


 俺は体を半歩左へ移動し、相手へ背中を向けたまま右手で短剣が握られる腕を掴む――必要を感じなったから、上半身を前に倒して踵で蹴り上げる。

 直撃した感触を確かめるまでもなく、男は移動するまでの地点まで背中を地面に擦りながら戻った。


「……」

「すまない、まだまだ鍛錬が必要のようだ――大丈夫ですか、お嬢さん」

「は、はい! ありがとうございます!」


 襲われそうになっていた、腰を地面につけて怯えていた若い女性へ手を伸ばす。


「狭い路地は危ないですので、くれぐれもお気をつけて」

「はいぃっ」


 立ち上がっても手をにぎにぎと握られていたけど、されに手を重ねて丁重に引きはがす。


「これにて失礼します」

「あ、あの! せめてお名前を教えてください!」

「では僭越ながら軽い自己紹介をさせていただきます」


 俺は姿勢を整え、右手を王国へ捧げる意味も込めて胸の中心へ当てる。


「本日より国王様から拝命を受け、聖騎士になりましたアレンです。どうか、国民の皆様の剣を振るい、命果てるそのときまで命を賭して守り続けさせてください」

「――せ、聖騎士様ぁ!? きゃぁああああああああああああああああああああ!!!!」

「それでは、お元気で」

「待ってくださいぃいいいいいいいいいい! どうかせめて結婚させて下さ――」


 とろんっと(とろ)けそうな表情で抱き着かれそうになったから1歩下がって回避。

 そのままクルッと回り、走り出して路地裏を抜け出す。


 再び飛び出して表通りを進み、目的地へと向かう。


「――」


 これだけ走っても呼吸が乱れることがなく、【聖剣】と契約してからというものの、身体的能力全てが向上している。

 それに加えて敵意や悪意を察知する能力だったり、そもそも潜在能力を発揮しきれていない【聖剣】の能力だって把握しきれていない。


「――お仕事ご苦労様です」

「わぁ! お、お疲れ様であります」

「ほんの少しの間だけ留守にしますので、国民の安全をよろしくお願いします」

「お任せください。我々国家騎士団は、国王のため、そして国民の安全を確保するために存在しておりますので」

「心強いお言葉をいただき、俺も安心できます」


 門を警備する兵士の皆さんが敬礼してくれているから、俺も敬意を示すために敬礼を返す。


「それではご怪我――をする方が大変ですかね。いち早いご帰還をお待ちしております」

「わかりました。それでは失礼致します」


 検問や入国作業中の兵士の皆さんの横を通過し、門の外へ駆け出す。


 そして広野に飛び出した俺は、街中で制御していた力を少しずつ解放し続け速度を上げ続ける。


「これ、完全に人間を辞めてるよな」


 嬉しい悲鳴というやつなんだろう。

 馬で移動するより圧倒的な速度で移動できるようになったのだから、【聖剣】様様でしかない。


 この調子なら実家がある村まで、半日ぐらいで到着するだろうか。

 正確に計測していたいからわからないけど、速く到着することができるなら、それに越したことはない。


「セリナ、今すぐに行くから」


 俺は、いち早く幼馴染であるセリナへ聖騎士に成れたことを報告したい。

 幼少期からの夢は、村の誰1人からも応援されることはなく「絶対に無理だ」「不可能だ」「お前にできるはずがない」、と言われ続けても唯一応援してくれた。


 そんな彼女に、今の俺を見てもらいたい。

 数年も会っていない彼女には、まず初めに謝罪をしなければならないだろうな。

 半ば逃げ出すかたちで村を飛び出し、その後は村人の誰とも顔を合わせていなかった。


「――喜んでくれるといいな」


 淡い期待を抱きながら、次々に出てくる獣やらモンスターやらを拳で殴り飛ばして、幼少期の彼女が浮かべる笑顔を思い出しながら駆け続けた。

ここまで読み進めていただき、本当にありがとうございます!


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