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未来AI HALO《はるお》君  作者: 米森充


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7/10

第七話『地獄の特訓前夜』

 民選党 岩谷 毅議員は世間の厳しいパッシングでほぼ動きが止まり、音なしの構えで残りの任期を乗り切ろうとの姿勢に転じた。

 もう彼には以前のような影響力も勢いも感じられない。

 あれだけ親密さを見せつけるようにすり寄ってきた某中ぼうちゅう 国も、手の平を返したかのように距離をとる。もう彼には利用価値など無いかのように。


 これで民選党 岩谷 毅の時代は終わった。


 時を同じくして他の泡沫議員たちもすれぞれパターンは違うが様々な理由で失脚する。

 前首相の石本 茂、元首相の岸山 文雄、元政調会長 林山 浩、三階 俊弘たちである。

 特に【日中仲良し議員同盟】の三階 俊弘議員は火だるま状態で引退を表明、議員辞職した。


 そして高町内閣が誕生してから僅か3か月後、高町首相は衆議院を電撃解散する。


 その後の民選党の圧勝は周知の通り。岩谷 毅氏や石本 茂氏、岸山 文雄氏、林山 浩氏など、泡沫と呼ばれた各氏は全て落選。議員としての職を失った。

 この結果を受けて『ニューフリーメーソンZ会』から派遣されたエージェントたちは、その役割を果たしたとして、それぞれの立場にあった職を解かれる。


 だが、これで彼らの総ての使命が終わった訳ではない。

 彼らの究極の使命。それは世界を戦争から救い、恒久平和の礎を築くこと。その道のりはまだまだ遠く、やるべきことは山積しているのだから。


 特に日本政界に派遣されていた東京永田町支部(議員宿舎屋上)のエージェントの面々は、その職を解かれた後いったん渡米、シリコンバレーにある『ニューフリーメーソンZ会』アメリカ本部に集めれれた。


 ここでは元CIA職員で、現在世界中の言語を操る話者の養成所、通称『世界話者養成所』(そのまんまじゃん)の責任者である WATERIN COP(ウォーターイン コップ)氏が鬼のような猛特訓で、入所者に新たな言語習得能力を叩き込む。

 語学難易度によって習得期間は違うが、まずは英語。これは参加エージェント全員が出来て当たり前の基礎コースであり、履修期間は3か月。

 この他フランス語、スペイン語、イタリア語、ドイツ語、ロシア語等、ヨーロッパ語圏コースから二か国語。(このヨーロッパ語圏からは希望により、ポーランド語のような超高難易度の習得コースも複数用意されている。)その他の地域圏のとしては、アジア圏の中のインド語圏、中国語圏、韓国語、インドネシア語、ベトナム語、カンボジア語等。

 中東地域はヘブライ語、アラビア語、ペルシャ語、トルコ語等の中からそれぞれ2か国語から選択し履修することが求められた。

 つまり各エージェンはこの中から合計7か国語の習得を、たった2年で成し遂げなければならないのだ。(但し、新たに覚える言語の中で、特に超高難易度の日本語、ポーランド語を選択した場合、もう一年延長される。)

 と言っても、日本人が日本語を選択できないのは当然であるが。

 因みにここにアフリカ語圏が含まれていないが?との疑問。実はまだ整備中であり、順次コースが新設されるとのことであった。



 友里恵と蓮は非常に戸惑った。

 だってお互いが学生であった十数年間、あれだけ勉強したのに基礎英語すらまともに話せていない。

 それなのに、これからたった2年で7か国語?絶対に無理!と足が竦んだ。

 だがこの二人を含め、参加エージェン全員が重大な事実を忘れている。それは自分たちが『超絶AI. HALO君』との交信を重ね続けた結果、超人的な脳活性化現象とそれがかもしだした能力を身に着けてきたという現実を。

 実際、彼ら全員、一度目にしたことは総て覚える特技を知らず知らずに習得していたのだから。

 彼らは一冊300ページの本を一度読んだだけで内容を覚えることができた。しかもその履修スピードは日に日に速くなる。超絶AI. HALO君との交信が能力を高め続けているから。


 友里恵が蓮と相談する。

「ねぇ蓮、あなたはどうする?」

「何が?」

「あれよ、あれ?」

「あれ?」

「あれって、あれ。語学履修コースよ!」

「なぁんだ、あれか。」

「そう、あれ。なんだと思ったの?」

「あれだの、それだの、これだの・・・て分かるかい!僕はてっきり(良からぬ想像)・・・」

「ヤラシイわね!馬鹿!」

「馬鹿って何だよ!馬鹿って。何がヤラシイんだよ!何も言っていないのに!」

「何も言っていなくても、その目がヤラシイのよ!バカバカバカ!」

「・・・・・・・。」(見通されている(^^;・・・)

 友里恵は気を取り直して身を乗り出し「だからコースをどこにするつもりなの?」

 思い切り蓮と同じコースを選ぶ気満々であった。

「う~ん、まだ決めていない。友里恵は?」

「私もまだ。だってトイック400点以下でで英検3級のこの私が7か国語なんて無理に決まってるでしょ!」

「僕だって英語が苦手だったから、ギリギリ英検4級でトイックも350点台だったからね。」

「それでよく大学卒業できたのね。」

「大学も会社も英語科目の試験のないところを選んだからね。」

「へ~!()()()()()あったの?知らなかった。」

「そういう友里ちゃんだって条件は同じだろ?よく卒業できたね。あの会社は(三流ではあったけど)幸か不幸か入社試験に英語科目がなかったけどサ。」

「そうなの。私ってそういうところを探すのは得意だったのよ。」

「なんとなく分かる~ぅ。」

「どういう意味よ!」

「いやっ、別に。」

「何ぁん~か、感じ悪!」

「それより友里ちゃん、僕たちこっち(アメリカ)にきてから、何か気が付かない?」

「何よ、蓮ってば都合が悪くなると直ぐに話題を変えるんだから!」

「いや、そうじゃなくて!何か気が付かない?」

「何よ、何に気が付くっていうのよ。」

「ここってアメリカだよね?」

「あったり前じゃない!そうよ、アメリカよ。バッカじゃない?」

「だから!」アメリカだよね?」

「そうよ、アメリカよ!それがどうしたの?」

()()()!ここはアメリカなのに、英語が苦手な僕らが何で日常会話に苦労していないの?」

「・・・・それは・・・???」

「空港でも駅でもバスでもお店でも、なんとなく相手が何を言っているのか分かるじゃない?それってどうして?だって皆、英語で話しかけてきたんだよ。おかしいじゃん?日本語しか分からないハズの僕らなのに。」

「そう言われたらそうね。分からなかったのは最初だけで、聞き取り《ヒアリング》に慣れるにつれて相手が何を言っているのか分かるようになってきたわね。最初は私が気合で相手が何を言っているのか分かろうとしたからだと思っていたけど、気合だけで理解できるはずないもんね。」

「そう言や友里ちゃん、相手が英語を話す度に、必ず下っ腹に力を込めて「ハッ!」って野太く唸っていたもんね。あれって気合を入れてた訳だ。今分かった。」

「野太くって・・・失礼ね!そうよ、気合を入れてたのよ!悪い?」

「別に悪かないけど、意味無くね?」

「いいのよ!それが私流なんだから。なんとなく分かりゃいいのよ。分かりゃ!」



 ここで『超絶AI. HALO君』の天の声


「君たち、まだ分からないの?君たちは僕のおかげで天才になったのだよ。君たちの知能テストの結果も満足できる結果だったし。」

「知能テストの結果?僕たちはまだ何も知らされていないけど?」

「あれ?まだだっけ?こりゃ失礼!君たちは満点の試験結果をマークして、期待値超えの能力を発揮したのだよ。」

「そりゃ、どうも。だからってたった二年で7か国語なんて無理でしょ!何考えてんの?オヤジさん!」

「その呼び方!!やめてくれる?他のエージェントたちがマネするから!・・・って、まだ何も学習できていないのね。君たちふたりは。君たちは人類最強の能力を持つことが約束されたエージェントなのですよ。分かってますか?まだ分からない?もう直ぐ言語の記憶なんて、お茶の子さいさいになってくるって事ですよ。たった7か国語なんて、辞書を丸ごと読んで用例集に一度目を通せばインプットされるのですよ。ね、簡単でしょ?」

「なぁんだ、そうなんだ。そんなに簡単なんだ・・・ってウソでしょ?そんなにうまくいく筈がないよ!世の中そんなに甘くないし。」

「そうよ!私だって自慢じゃないけど、学校じゃクラスで一番物覚えが悪かったんだから。」

「そうなの?」

「そんな余計なところに感心しなくていいから!」


「まぁまぁ、おふたり。やってみての結果を御覧じろ、ってね。私の力を信じなさい。」

「何だか怪しい宗教っぽくなってきたね。」小声で囁きあうふたりだった。


 そして地獄の特訓は始まった。





 つづく













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