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はじめての寺院

地下4階の罠は回転床だけではない。

回転床に見せかけた落とし穴、通ると壁になってしまう一方通行の扉。一寸先すら見えないダークゾーンもあった。

オリジンの一行は安全な部屋で小休止を取る。リーファが尋ねた。

「ねぇ、さっきのグールってゾンビと違うの?」

ヒロが水袋から口を離す。

「ああ。ゾンビは動く死体、グールは意思のある死体って感じだな。麻痺持ちだし力も強い」

ユウが補足する。

「痛みを感じないから、人の限界以上の力を出せるそうですよ」

「なんで痛みを感じないと力が強くなるんだ?」

「ジェッツだってそこの壁に全力で頭突きはできないだろ? グールはできる」

「なるほどな」

「さっき逃げた黒っぽいアンデッドは何なんだ?」

キルシュレドの声にヒロが顔を顰める。

「ああ、シェイドか。奴はエナジードレインを持ってるからな」

「エナジードレイン?」

「冒険者のレベルを下げてしまうんですよ」

「ええっ!」

「ひ、ひでえ!」

「そんなんアリかよ!」

皆が体を震わせる。コツコツと上げてきたレベルを下げられてはたまったものではない。

「意地の悪い仕掛けに魔物・・そろそろダンジョンが牙をむいてきたって感じだな」

「私たちはヒロとユウの知識があるからいいけど、それがないパーティは何倍も苦労してるんでしょうね」

「よし、休憩終わりだ。今日こそ地図を埋めちまおう」

ヒロの声で皆が立ち上がった。


部屋の中にいたのは、鉄の肌をした雄牛だった。一行を見て鼻息を荒げ、片足で床を蹴っている。

「ゴーゴン1体、戦います!」

「奴は石化ブレスを持ってる! 速攻だ!」

前衛3人がゴーゴンに殺到し攻撃を仕掛ける。

「か、固ぇ!」

だが鉄の肌には剣も拳も効果が薄い。

「雷撃!」

リーファの単体攻撃魔法がゴーゴンに放たれるが、魔法は鉄肌で逸らされてしまう。

抵抗(レジスト)されたわ!」

キルシュレドはボウガンの選択肢を捨てた。あの肌に通る訳がない。

こんな時のためにとっておいた攻撃魔法の巻物(スクロール)の出番だ。

「これでも喰らえ!」

リーファが使ったのと同じ、雷撃の魔法が巻物から放たれる。だがこれも抵抗されてしまった。

「げっ! もったいねぇ!」

範囲防護(パーティプロテクト)を使います」

アイがパーティ全員を状態異常から守る防壁を展開した。

その直後、ゴーゴンの石化ブレスが一行に降りかかる。

「みんな大丈夫か!」

ヒロが皆を振り返る。だが一人だけ無事ではない者がいた。

アイは灰色の石像へと姿を変えてしまっていた。ヒロが歯噛みする。

「くそっ! よりによってアイか!」

パーティの中で石化回復魔法を使えるのはアイだけだ。

その後すぐにリーファの雷撃が今度は直撃し、ゴーゴンは煙を上げながら倒れ伏した。

ジェッツがアイを見て慌てふためく。

「お、お嬢が石に! どうすんだ?」

「大丈夫だ。石化は寺院で直せる。その宝箱を開けたら今日は帰ろう」

「今のは不運が重なっちゃったね。ゴーゴンは魔法抵抗はそれほどないはずだし、防護魔法を使ったのに確率の低い石化ブレスが通るなんて」

「じゃ俺がお嬢を運ぶぜ。って重っ! なんだこりゃ!」

アイを背負ったジェッツがよろめく。もともと全身が電子機器のアイは見た目よりも相当な重量がある。

「すまんジェッツ、頑張ってくれ」


地上に戻り、アイを寺院の仮施設に運び込む。受付のクレリックが物珍しげにアイの状態を観察した。

「おや、石化ですか。初めての症状ですな」

「これからどんどん増えるだろう。直してやってくれ」

「畏まりました。そちらの台に寝かせて、どうか皆さんも一緒にお祈り下さい」

パーティ全員でアイを台の上に横たえる。どこからかクレリックたちが何人も集まり、アイが寝かされた台を囲んで呪文を唱え始める。

それは囁きから始まり、深い祈りからザワザワとした詠唱へと続く。オリジンの皆もアイが直るようにと念じた。

宙からアイの体に光が差し、アイは血気を取り戻して起き上がった。

「お嬢!」

「直ったわ!」

「すみません、ご迷惑をお掛けしたようです」

アイが台から飛び降りて頭を下げる。

「アイが悪い訳じゃない。無事に治ってよかったよ。じゃ帰ろうか」

所定の金額を払って寺院を後にする。

「またのご利用お待ちしています」

と受付は頭を下げるが、

「何度も利用してたまるか」

キルシュレドは舌打ちした。


宿で夕食を取りながら今日の事を話す。

「しかしアイも石化はするんだな。それに回復が効いてよかったぜ」

「もしかしたらと思っちゃったよ」

「私には毒、麻痺、石化は効きますし、回復もできます。ですが」

「何か問題があるの?」

アイがコクリと頷き、衝撃的な言葉を発した。

「はい。多分私には蘇生魔法は効かないでしょう」

アイ 聖職者 レベル12

種族不明 女性 1歳

HP:53

STR:9

INT:14

PIE:18

VIT:9

DEX:11

LUK:12

装備:フレイル、司祭のローブ、宝石の指輪

僧侶呪文 7/5/5/4/3/2/0

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