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アイの休日

魔術師もクレリックも、1日の魔法の使用回数は限られている。初級の魔法は多く使えるが、高度な魔法になると使用回数が少ない。だが一定時間の睡眠を取れば、使用回数は全て回復する。

逆に言えば寝れば回復するのなら、毎日使いきった方が余すところなく、無駄なく使っているとも言える。

そんな訳でオリジンの休日になるとアイはダンジョンの入口に行き、治療活動に当たる事が多かった。

怪我を負い命からがら逃げてきた、あるいは毒や麻痺などの状態異常を受けた仲間を連れてきた、そんな冒険者をアイは無料で治療してやっていた。

助けられた者たちは皆アイに深く感謝し、聖女だの女神だのと奉る輩もいるほどだ。

その日もアイが魔法を使い切って宿に帰ると、ヒロとユウとリーファが遅い昼食を取っているところだった。

「アイ、お帰り」

「偉いわね、アイ。休日にも働くなんて」

「また辻ヒールに行ったのか? 人助けは感心だが・・寺院が出来たら営業妨害だと訴えられるかも知れないぞ」

「それは理解しています。寺院ができたらこの行為は行いません」

「でもお金も取らないなんて。アイはそれで何か得る物があるの?」

アイが頷く。

「はい。高評価です」

ヒロの頬杖がガクリと外れた。

「いいねが欲しくてやってたのか?」

「レビューは多くの人から集める必要があります。私に対する評価は直近100件のうち98%が好評の、圧倒的に好評となりました。これは快挙と言えるでしょう」

心無しかアイは誇らしげだ。

「そりゃ無料で回復してもらえれば誰だって感謝するんじゃない? なんだかちょっとズルい気もするけど・・」

ユウの言葉にアイが食い気味に反論する。額からブシューと蒸気が漏れた。

「使用した感想を頂くために、無料でお配りしているのと同じです。これは合法的な行為です」

ユウが降参する。

「ごめん、ボクが悪かったよ。アイ」

「で、高評価を集めてどうするの?」

「アイは試験体(プロトタイプ)だから、量産されるためには高評価がたくさん必要ってことだろう?」

「その通りです」

リーファが眉をひそめる。

「ってことは・・これからアイがたくさん作られるの?」

アイは首を振った。

「高評価は量産を決定するための一側面に過ぎません。コストとの兼ね合いや、予約状況などによっては断念される事もあります」

リーファが躊躇いがちに訊ねる。

「ねぇ・・アイはそのうち、元の世界に帰るの?」

アイは淡々と答える。

「異空間保護法により、異空間への転送は物質は発送のみ、データは受信のみに限定されています」

ユウが驚きの声を上げる。

「ええっ? 物質は発送のみってことは・・アイは元の世界に戻れないの?」

「はい」

アイは躊躇いもなく断言した。ヒロが腕を組む。

「まぁ・・よく考えたらそうだよな。アイを元の世界に戻せるってことは、異世界の物を自由勝手に取り出せるのと同じで、とんでもない事だ。もし本当はできるとしても表向きはできない、やらないという事にするだろう」

「異空間保護法違反は重大な犯罪です。ただ、同意なく送り込まれた被害者には救済措置があります」

「なんだかよく分からないけど、とりあえずアイがいなくなる事はないのね」

「はい。今後ともよろしくお願いします」

アイがペコリと頭を下げた。


アイ 聖職者 レベル9

種族不明 女性 1歳

HP:41

STR:9

INT:13

PIE:18

VIT:8

DEX:11

LUK:10

装備:杖、ローブ

僧侶呪文 6/5/4/4/2/0/0

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