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離反

いつものように探索から帰り、ヒロとユウが連れ立って帰ったところで

「お前たち、話がある」

キルシュレドがリーファ、アイ、ジェッツを呼び止めた。

「何なの?」

酒場で席についたリーファが問いかけ、キルシュレドが口を開いた。

「実は俺の知り合いから、ちょっとダンジョン探索を手伝ってくれと頼まれてな。今度の休み、手が空いてたらお前らもどうだ?」

「ちょっと。別のパーティに移るってこと?」

キルシュレドが首を振る。

「いや、一時的に手伝うだけだ。他のパーティの事を知っておくのも必要だと思うぜ。ヒロは固定メンバーを強制する気はないって言ってたし、問題ないだろ」

「私はパス。やめとくわ」

リーファはそっけなく返答する。

「ジェッツ、アイ。お前らはどうだ?」

「俺の見た目でもいいのか?」

「ああ。今はお前の強さも知れ渡ってる。諸手を上げて歓迎だろうよ。アイは貴重なクレリックだから、もちろんどこでも欲しがるだろう」

「私は構いません」

思わぬアイの発言に、ジェッツが驚く。

「お嬢、いいのか?」

「はい。他の冒険者がどのような探索方式を取っているのか、サンプルを集める必要があります」

ジェッツが腕を組む。

「ふむ、じゃあお嬢が不安だし俺も行ってみるか」

キルシュレドが喜色を浮かべる。

「よっしゃ! じゃあ明後日の朝、ここに集まってくれ」

「ちょ、ちょっとみんな! 本気なの?」

リーファが慌てる。キルシュレドは余裕の表情でジョッキを傾けた。

「いや、試してみるだけだって。ほんとほんと・・」

リーファが顔を顰めた。

「詐欺師はみんなそう言うわよ」


宿に戻ったリーファがヒロとユウにその件を伝えたが、二人は全く慌てなかった。

「ああ、別に構わないぞ」

「もちろんボクたちとしては皆さんに残って欲しいですが、もっと条件のいいパーティがあるなら、そっちに移るのは仕方ない事だと思いますよ」

リーファが呆れる。

「変なところでドライなのね。じゃあ私がいなくなっても平気なの?」

その言葉にヒロがユウを肘でつつき、ユウが椅子をガタンと揺らして立ち上がる。

「リ、リーファさんがいなくなるのは困ります! ずっと一緒にいて欲しいです!」

リーファは一瞬驚いた表情になる。

「あらありがとう。ずっと一緒かは今のところ分からないけど、当分一緒に探索するわ。あなたたち以上のパーティがあるとは思えないもの。じゃあね」

リーファは手を振って部屋に戻っていった。

ヒロがニヤニヤと笑う。

「ずっと一緒にいて欲しい、か。今のは中々良かったじゃねーか」

ユウが顔を赤らめ、ジョッキに口を付けた。

「はぁ、とんでもない事言っちゃったな・・」

ヒロがつまみに手を伸ばす。

「ま、少なくともアイは戻ってくるだろう。俺ら以上にアイを理解してる奴なんていないからな。スパイ活動だと思っておくか」


休みの翌日。ユウはもしかしたら誰か来ないのではないかと緊張気味に待ち合わせ場所で待っていたが、キルシュレド、ジェッツ、アイも時間通りに現れてホッとする。

ヒロがストレートに、無遠慮に訊ねた。

「他のパーティはどうだった?」

その言葉を待っていたかのように、キルシュレドが悪態をつき、ジェッツが不満をぶちまける。

「ったく、ひでえもんだったぜ!」

「敵が何なのかも、特徴も知らない。戦うのか逃げるのかも言わない。前衛後衛の概念すらない。8人もいるのに6匹出た敵を俺一人で4匹倒したんだぞ? しかも残りのうち1匹はキルシュだ。ロクな指示も出さないのに口を開けば偉そうな命令口調だし、全く信じられないぜ」

「俺が罠を解除した宝箱から宝石が出たのに、それの金を分配もしやがらねぇ。最初に決めた金だけ払ってそれきりだ。二度と行かねーよ!」

「そんな事じゃないかと思ったわ。アイはどうだった?」

アイが頷く。

「とても非効率で、サンプルになりませんでした。でも、高評価はたくさんいただきました」

「奴ら怪我をしちゃすぐアイに泣きついてたからな」

ユウが同情する。

「それは大変でしたね・・」

ヒロは口を尖らせた。

「チェッ、それじゃ他パーティから何も技術を盗んでこなかったのかよ」

ジェッツが手を振る。

「ないないない。いや、俺はお前たちのパーティが初めてだから、お前らのやり方が普通なのかと思いこんでたが、とんでもなく効率的なやり方だったんだな」

「やっぱりこのメンバーが、"起源(オリジン)"が最高だ。いやー、それが確かめられてよかったぜ!」

キルシュレドの言葉にリーファがジト目を向ける。

「全く、調子がいいんだから」

「まぁもしキルシュより腕のいいトレジャーハンターがいたら、こっちだって検討するかも知れないしな。じゃ行こうか」

ヒロの言葉にキルシュレドが愕然とする。

「お、おい! 検討するって何をだ!」

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