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アルスダリアの祈り  作者: 瑝覇
日常編
3/23

第2話 赤

ディン

「ルーくん、先にお風呂入っといで」


ルーク

「ありがとうディン」



無事に家に帰り、汚れを落とす。

家の木の匂いに安心する。



ディン

「ん〜珈琲でも飲むかな」



上着と手袋を脱いで伸びをして好物の珈琲を入れる。

紅茶も好きだけど、珈琲のこの香りが好きなのだ。



ゼナ

「帰ってたんだ。おかえり」


ディン

「わぁ!?びっくりしたぁ…ただいまぁ」



お湯をポッドに注ぐのに集中してて気が付かなかった。

この、きらきら美形はゼナ。



ディン

「相変わらず影薄いねぇゼナ…存在感出してよ」


ゼナ

「えぇ傷つくんだけど…普通にしてるのに」


ディン

「あっはっは!冗談だよぉ。ゼナもなんか飲む?」


ゼナ

「じゃあ同じの入れて」



ゼナは珈琲にミルクを入れてカフェオレにして飲み始めた。ディンはそのままブラックで。



ゼナ

「ルークは?大丈夫?」


ディン

「んー?一応大丈夫かな。湯浴みさせてるけど…一人になっちゃったから落ち込んじゃってるかも」


ゼナ

「様子見てこようか?」


ディン

「ずっと出てこなかったらお願い。大丈夫だと良いんだけど」



そんな心配をしているとお風呂からほかほかになったルークが出てきた。



ディン

「おぉよかった出てきた」


ゼナ

「おかえりルーク。大丈夫?」


ルーク

「ただいまゼナ。大丈夫だよ」



ディンがおいでと手招きしてルークを座らせた。

濡れた髪をふわふわのタオルでドライする。



ルーク

「自分でできるよディン」


ディン

「えぇ?そう?ほんとに?」


ルーク

「ぼくもう16歳だよディン」


ディン

「まぁ、そういわずにさ」



世話好きなのか、タオルドライを続けるディン。

ルークは諦めたのか無抵抗にそれを受けた。



ゼナ

「ルークは何か飲む?」


ルーク

「果実水がいい」



待ってな。とゼナが果実水を入れに席を立った。

雫が落ちない程度までドライが出来たら今度はディンが風呂に向かった。



✳︎



ディンは服と手袋を籠に投げ捨てて風呂に入った。

血のついた髪を綺麗に洗って全身の匂いを石鹸の香りに塗り替える。



ディン

「(あ、ルーくんまた服破れてる)」



自分の服のついでにルークの服も綺麗に洗濯した。

魔法道具で急速乾燥させてリビングに持ち帰った。



ディン

「あれ、ルーくん寝ちゃったの?部屋で寝なよルーくん」


ルーク

「ディンのこと待ってたんだよ」


ディン

「あら。洗濯してたら時間かかっちゃったんだよねぇ。えーっと…針…針…。裁縫道具どこだっけ」


ゼナ

「そこの棚だよディン。上から二番目の」


ディン

「ありがと」



✳︎



ディンは裁縫道具を取り出して、ルークの破れた服を手際よく直していく。

ゼナは毛布を持ってきてルークにかけてあげた。



ゼナ

「器用だよね」


ディン

「んー?」


ゼナ

「なんかこう…手に刺しちゃいそうだけど刺さらないのがすごい」


ディン

「そんなに難しくないよぉ。慣れだよ慣れ」



ディンは小さい頃から裁縫や料理を自分でやってきたので大抵のことはなんでもできる。



ディン

「うん。上出来。ちょっとルーくん、部屋に置いてくるね。その後お話聞いてよ」


ゼナ

「わかったよ」



ディンはルークを抱えて部屋を移動した。ルークには話を聞かせたくないみたいだ。寝ているとはいえ、感覚の鋭いルークがいつ起きるかわからないからだ。



✳︎



ゼナ

「結構大変だった?」


ディン

「いや、別にいつものだったからそうでもなかったけど、喪失が広範囲に発生してたかな。どこ行っても出てくるのは勘弁してほしいね」



ヴァイスには傀儡型。憑依型などいろんな種類が存在している。傀儡型はなんせ数が多い。死体で、からくり人形の大群みたいな感じだ。

憑依型は生きている分強い。意識があるんだか無いんだか微妙な感じだが。


 

ゼナ

「広範囲の喪失…。村とか町の近くで?」


ディン

「そう。村の近く。その辺の人たち庇い切れないよ。今回だって何人か死んだし」



世界は案外丈夫なようで、魔法耐性があったり、簡単には喪失が起こらないようになっているらしいようだが、ヴァイスが無差別に攻撃をしてくるのだ。



ディン

「ボクの知ったこっちゃないけどさ」


ゼナ

「……。(イライラしてる…)」


ディン

「……各地に聖騎士とかがいるのにボクらが戦わないといけないのおかしくない?」


ゼナ

「そうだね」


ディン

「文句言っても仕方ないけどさぁ…」



むすーっと、行き場のない苛立ちを吐き出す。

ゼナは優しい顔で話を聞いてやっている。



ディン

「そのせいでルーくん毎回落ち込んじゃうし!ルーくん悪くないのに!でもでも、見捨てるとルーくんめっちゃ悲しい顔するの!じゃあもうボクがやるしかなくない?」


ゼナ

「昔すごい顔されたんだっけ」


ディン

「そう!"もう行こうよ"って言ったらそりゃあもうすごい顔されたの」



話を聞いてもらっているうちに少しずつ落ち着いてきたようで、ぬるくなった珈琲を少しずつ飲み始めた。



ディン

「珈琲…ぬっる…。ごめんねゼナのも冷めちゃった?」


ゼナ

「大丈夫だよ。熱々苦手だから」


ディン

「ゼナがミルク入れるのってそれが理由?」


ゼナ

「それもあるけど、後味の酸味があまり…。ミルク入れるとまろやかになるでしょ?」


ディン

「なるほどねぇ。ボクはフルーティで結構好き」



ディンのお怒りモードが鎮まり、目がうとうとし始めた。



ディン

「ふぁあ…」


ゼナ

「眠い?」


ディン

「うん…ちょっと…横になってこようかなぁ」


ゼナ

「そうしなよ。片付けやっとくよ」


ディン

「お話聞いてくれてありがと。じゃ、お言葉に甘えて〜」



手をヒラヒラしてまたね〜とディンが部屋を後にした。

ゼナも手をヒラヒラさせて、おやすみを言った。



ゼナ

「………ディンは素直じゃないな」



ゼナはふふっと笑って空になったカップを片付け始めた。

 

自分には関係ないと言いながら、出来るだけ犠牲者を出さないようにしていることをゼナは知っている。

それがたとえ、ルークがそう願っているからだとしても、そうやって行動しているのが優しさを隠しきれていないんだなと微笑ましくなった。



✳︎✳︎✳︎


【キャラクター紹介】


ゼナ

172cm/57kg/19歳

一人称はオレ。

黒髪のショートヘア。黒眼。黒爪。

雪のような白い肌をしている。

かなりの美形で男女関係なく視線を集めがち。

少し影が薄いらしい。



【小話】


ディンは幼少期から裁縫や料理をしているので、家庭的スキルが高いです。



【ワード紹介】


ヴァイス

破壊の使徒。破壊に魅入られた者たちの総称。

傀儡型…死体を傀儡のように操っている。

憑依型…生きている者に憑依している。憑依先が意識があるのかないのかよくわからない。

従属型…自らの意思で破壊の使徒になっている。

第2話、読んでいただきありがとうございます。


第0話〜第7話まで一気に公開しております。

第7話以降は定期的に更新していきますのでよろしくお願いします。

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