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アルスダリアの祈り  作者: 瑝覇
???編
27/29

第26話 喉の奥に残るもの

花精かせいに追いかけ回された後、呼吸が落ち着いてきたルーク御一行。



ロア

「はぁ…まじで心臓止まった…」


ソフィア

「なんか色々と見てはいけないものを見てしまった感じ…」


ディン

「ここだけ異常成長してるのは花精かせいがいて人間を養分にしていた…グルだと思う?あの人たち」


ヘスティア

「グルならわざわざ警告しないでしょうね。これだけの人数がいて、バラされる危険だって高いのに」


ルシファー

「本当にいい人たちに見えたけど…」


ロア

「こ…この辺って花精出てこないよね…?大丈夫だよね…?」


ルシファー

「どうだろう…妖力探知できないからわかんない…」


ルーク

「…………。」



ルークは自分の喉に触れて俯いている。



ディン

「ルーくん!祠がなかったのは残念だったね」


ルーク

「うん…」


ディン

「さ!帰ろ!元気出して?ラクダだっけ?あの生き物。楽しそうにお話してたじゃん。何お話ししてたの?ボク気になるなぁ」


ルーク

「うん…」


ディン

「(ダメかぁ…ナイーブ状態か…)」


ルーク

「ぼく…あのお水飲んじゃった…」


ヘスティア

「あぁ…(気まずい)」


ディン

「ヘスティア姉さんが頼んだんだし、ルーくん悪くないよ」


ヘスティア

「そうですよ」


ディン

「それに自然の摂理?ってやつだよ。みんな死んだら土に還るの。だから気にしない!元気出して?」


ルーク

「うん…」


ディン

「王都に戻って美味しいものでも食べに行こうよ。ね?」


ルーク

「………。」


ディン

「………。ルーくん。あの人たちには、何も話さない。いい?」


ルーク

「………。」


ディン

「これは、ここに生きている人たちの問題で、ボクたちの問題じゃない」



ルークは俯いたまま歩く。



ディン

「彼らは何も知らない。自分たちで気付いた時だけ気付けばいい。それに、この水があの人たちを生かしてるのも事実なんだよ。あの花精も、森も。ちゃんと意味があるんだ」


ルーク

「わかった…」



ディンがルークの顔を覗いていると、水を汲んでいた町の人が声をかけてきた。水源に戻ってきたようだ。



町の人

「おかえり!どうだった?探し物見つかった?」


ソフィア

「ううん。残念だけどなかったの」


町の人

「そっか…怪我とかはしてない?坂の下まで行ったの?」


ディン

「草だらけで歩けたもんじゃなかったよ」


町の人

「そうだったんだ…でもみんな無事でよかった!町に戻りましょ!」




人を犠牲にして成り立っている国…。人が良いと言う王子は知っているのだろうか…偽善者の皮を被った主犯格か…。




 ✳︎



ロア

「水、それだけ持ち帰るんですか?」



荷車に2斗樽が10個並んでいる。



町の人

「はい。毎日同じ量を持ち帰って町で配給するんです貴重な水ですからな。欲張ってもいけません」


ヘスティア

「湧水でしょう?持てる分持ち帰ればいいのでは」


町の人

「これは我々が決めたことなのです」



本当にありがたそうに、水を持ち帰る町の人たち。

命の源。一切無駄にすることなく、ありがたく使わなければならないという。

到底悪い人たちには見えない。


演技だとしたらそうとうな役者だ。本当に、感謝しているように話している。



町の人

「ねぇルーク大丈夫?元気がないみたいだけど…」


ディン

「ん?あぁ…おうちに忘れ物したのに気付いて落ち込んでるだけ。そっとしといて」


町の人

「みんなこの後はどうされるのかな?王都にお戻りで?」


ソフィア

「そのつもり」


町の人

「そうですか。王都行きの列車が夕方には終わってしまうから早めに乗って戻るのをお勧めします。乗り損ねてしまう国外の方がいましてね」


ルシファー

「そうなんだ!ありがとう」



町の人の親切心に心が痛くなる感覚がした。

森がだんだん遠くになり、見えなくなっていった。



 ✳︎




ルークたちはグレンロックの町に到着した。

同乗させてくれたお礼をして列車の出発時間を確認する。

 


ロア

「ちょうどさっき出ちゃったみたいだね。次は40分後」


ルシファー

「時間潰すところあるかな」



どうしよっか…と話していると、何やら町の人がざわざわし始めた。



町の人

「プロジオン王子だ」



燃えるような赤髪が綺麗に整えられ、マントが風に舞う。



ルシファー

「プロジオンってさっき言ってた王子の人?」


ディン

「ん?なんて?」



ルシファーが小声で言うとディンが聞き取れなかったようだ。



ルーク

「おじいさんたちが話してた王子の人かなって」


ディン

「あーね」



ルークがディンの耳元で小声で話す。

今度はしっかりと聞き取れたようだ。



プロジオン

「皆、変わりないか?」


町の人

「はい。おかげさまで!」



プロジオンと呼ばれる男は気さくに町の人に声をかける。

町の人も歓迎するように集まっていく。



ソフィア

「人柄が良さそうな人だね」


ディン

「王子なのに1人で来たんだ。……はぁ…なんか頭蒸れたかな…?熱い」



ディンが帽子を取ってパタパタすると。



ルーク

「?こっち来た」


ヘスティア

「(こっちこないでほしい…)」



人見知りのヘスティアが、すすす…とプロジオンから距離を取った。ソフィアの後ろに隠れる。



プロジオン

「母上…?」


みんな(ディン以外)

「え?」


ディン

「は?誰がママだ鼻垂れ野郎」


ロア

「急に口悪」


プロジオン

「あ"!?すみません…!すみません…!!綺麗な金髪だったもので…。急に女性に話しかけるなんて失礼でしたよね…」


ディン

「男ですけど」


プロジオン

「え…?こんなに可愛らしいのに??」


ディン

「こんなに可愛いのに男なんだよボクは。いいだろ可愛い男がいても」


プロジオン

「そ…それは確かに…。すみません…その…金髪が珍しくてつい…」


ロア

「君も珍しいじゃん。その頭」



ロアがプロジオンの赤髪を指差した。

赤髪、青髪、金髪は希少色のようで、こうして興味を示す者や崇拝したり差別したりする者がいる。



プロジオン

「あ…そう…ですね…」


ロア

「?」


指摘するとなんだか嬉しくなさそう…。

ロアがコンプレックスだったのか…と心の中で反省する。



ディン

「君、王子なんだってね。何しにきたの?」


プロジオン

「…見回りを。それと…人探しですかね…」


ディン

「王子がやる必要があまり感じられないけど。しかも護衛もつけずに1人でなんてさぁ」


プロジオン

「…………。そうですね…。えっと、大変失礼致しました!外国の方ですよね?どうぞごゆっくり」


ルシファー

「あ…行っちゃった…」



プロジオンは丁寧に一礼すると走って行ってしまった。



ヘスティア

「……?雲…?」


ソフィア

「本当だ。ずっと快晴だったのに」



ヘスティアが空を見るとみんなつられて空を見た。

ルーク以外は。



ディン

「風でも吹いてくれれば…ん?あ!?ルーくん!?目離した隙に!!あの人追いかけたな多分!待ってー!」



ディンが必死にルークを追いかけた。

果たして追いつくのだろうか…。



ディン

「あ…あっつ…」


ロア

「言わんこっちゃない」


ソフィア

「いつもちゃんと戻ってくるし大丈夫だよ」


ディン

「大丈夫じゃない…ボクの胃が」


ロア

「いい加減慣れたら?」


ルシファー

「でもあの王子さん?気さくな人だったね。町の人にも大人気!」


ソフィア

「ね。あんまり王子って感じの王子じゃないのかも」


ヘスティア

「あの人、町の人記憶してるのでしょうか。すぐ外国の人って言ってきましたし」


ルシファー

「確かに!でも見慣れないからそう思ったのかも?」


ディン

「早く追いつかないと…」


ロア

「こんな気温の中そんなに早く移動できるかな?ルークじゃあるまいし」


ソフィア

「国内の人からすると平気なのかも」


ロア

「それもそっか…」



おそらくルークが行ったであろう方向にまとまって歩いた。ディンは汗だくだが、他のみんなはロアの魔法で涼しい顔をして歩いた。

まだまだ空が明るく、日差しが強い。

『アルスダリアの祈り』第26話を最後まで読んでいただきましてありがとうございます。


ついに王子様登場です!どんな人なのやら。

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