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アルスダリアの祈り  作者: 瑝覇
???編
20/21

第19話 神々の会合

年始なので、連日投稿しています。

みかんやお餅でも食べながら読んでみてください。

天界第伍界域 神殿



ロゼット

「セティーナ様」


セティーナ

「なんだ?」


ロゼット

「グレイス様よりご連絡です」


セティーナ

「………想定より早かったな。内容は?」


ロゼット

「直接お話ください」


セティーナ

「……しばし待てと伝えろ」


ロゼット

「承知しました。そのままお待ちいただきます」



✴︎


 

セティーナは伝送塔でんそうとうへ足を運んだ。

人払いを済ませ、設えられた水晶の前に立ち、指先を触れさせる。頭に声が響く。



セティーナ

「待たせたな。どうした?」


グレイス

「……来てくれることになった」


セティーナ

「…そうか。よかったな」


グレイス

「それだけ。連絡を」


セティーナ

「……暇ができれば伺おう。会えるのを心待ちにしている」


グレイス

「ありがとうセティーナ」


セティーナ

「あぁ」



セティーナは水晶から指先を離し、深呼吸をした。



セティーナ

「祝いの品を…用意せねばな」



セティーナは伝送塔でんそうとうを後にして、再び神殿に戻った。



 ✴︎



セティーナは神殿に戻ると自室ではなく、至聖所に向かった。静かに扉を開けた。



ロゼット

「良かったですね。セティーナ様」


セティーナ

「あぁ」


???

「おかえりなさいセティ。ロゼットから聞いたわ。お返事が来たのね」


 

綺麗な水色の髪に赤い瞳。儚げな印象のステラが、ロゼットと並んでこちらを見ていた。

二人に迎えられ、セティーナは小さく息を吐く。

 


セティーナ

「ただいまステラ。嬉しい知らせだろう?」



セティーナがステラの手を取り、軽い口付けをした。

 


ステラ

「えぇ。本当に」


セティーナ

「組み台はどこにしまったか」


ステラ

「セティが?珍しい」


セティーナ

「祝いの品を」


ステラ

「組紐ができたら会いに行くのね」


セティーナ

「うん」


ロゼット

「良かったです。セティーナ様が誘拐罪にならなくて。セティーナ様はすぐ拾ってきますから」


セティーナ

「ロゼット」


ロゼット

「失礼」

 


ロゼットの軽い一言が、その場の空気を和らげた。

それは、グレイスがデュオンの返書を受け取った直後、まだ会合を迎える前の出来事である。



 ✳︎

 


時は進み、会合当日が近づいていた。



グレイス

「デュオンは、どうなるのが理想なんだ?」


デュオン

「僕は……。……?」


グレイス

「どうした?」


デュオン

「誰か入ってきた?」



耳をすませると本当に足音が近づいてきた。

 


グレイス

「え?」



次の瞬間――


バン!!


至聖所の扉が、勢いよく開いた。

その場にいた全員が、反射的に扉の方を見る。



セティーナ

「失礼する」


ロゼット

「失礼致します」


グレイス

「…は!?セティーナ!?」


ラウル

「!?」

 


ラウルは反射的に背筋を伸ばした。


一方デュオンは、ぽかんとしたままその人物を見つめていた。どこか、グレイスに似ている。



セティーナ

「お前が連絡をよこしたんだろう。何を驚いている」


グレイス

「いや…こんなに早く来るとは思わないだろ…」


ロゼット

「お会いするのが楽しみすぎて、待ちきれなかったのですよ」


セティーナ

「余計なことを言うな」


ロゼット

「事実でしょう」



セティーナの一歩で、室内の温度が下がった気がした。

誰もが言葉を探し、ラウルの背筋だけが先に正解を見つける。



シオン

「セティーナ様」


セティーナ

「シオン殿。長らくよく頑張った。報われて何よりだ」


シオン

「ありがとうございます」



セティーナはシオンに挨拶をするとデュオンとラウルに目を向けた。



セティーナ

「ほう…想定外というのは案外、頻繁に起こるものだな」



ラウルのほうをじっと見た。

その圧が抜けるまで、ラウルは動けなかった。



セティーナ

「ライザ殿。ご子息が健在であること、お喜び申し上げる」


ライザ

「はっ!お言葉に感謝いたします」



ライザはセティーナに向かって深々と頭を下げた。ラウルもそれに気づいて頭を下げた。



セティーナ

「…………。」



そして、デュオンに視線を移した。



セティーナ

「お前が…そうなのだな」



どこか慈しむようにデュオンを見た。



セティーナ

「大きくなったな」


デュオン

「……貴方は…?」



セティーナはデュオンの頭を優しく撫でた。

デュオンは抵抗なく、それを受けた。



セティーナ

「私はセティーナという。グレイスの兄にあたる。お前に会えるのを心待ちにしていた」


デュオン

「ありがとう」


セティーナ

「……シオン殿似で良かったな。愚弟に似ていたらここまで愛らしくなかっただろう」


グレイス

「おい」



緊張のある空気を和らげるようにセティーナが話す。



グレイス

「何をしに来たんだ?」


セティーナ

「可愛い甥の顔を見に来ただけだ。お前がよこす気がないというものだから。会えるうちにと思ってな」



セティーナはペデルギウスやレオレイアたちに手をひらひらさせて認識を伝えた。ペデルギウスたちも嬉しそうに手を振って返した。



セティーナ

「それと、祝いの品を贈りに」


デュオン

「?」


セティーナ

「ロゼ」


ロゼット

「はい」



セティーナが合図するとロゼットがデュオンに近づいた。



ロゼット

「お初にお目にかかりますデュオン様。どうぞ。こちらをお受け取りください」


デュオン

「ありがとう」


セティーナ

「開けてみろ」



デュオンはゆっくり、渡された小箱を開けた。



デュオン

「髪紐…?」



セティーナの祝いの品は随分と高級そうな銀色を基調とした髪紐だった。



デュオン

「綺麗だね」


セティーナ

「会合につけてくるといい」



そう言って、セティーナはデュオンの髪を指先でそっとすくい上げた。



セティーナ

銀灰ぎんかい)と青はよく合う」


デュオン

「どうもありがとう」

 

グレイス

「…………。」


セティーナ

銀灰ぎんかいは私の色なのだ。ついでに愚弟もだが」


デュオン

「特別な意味があるんだね」


セティーナ

「……そうだとも。"私の愛おしい子"…という意味だ」


デュオン

「大事にするね」



デュオン以外の全員が、セティーナの方を見た。

グレイスの眉がぴくりと動いた。

ロゼットは口元だけで笑い、シオンは言葉を失った。

当の本人デュオンは綺麗な髪紐を興味深そうに眺めている。

 


ロゼット

「(嘘がお上手ですね。セティーナ様)」



ひととおりのやり取りが終わり、場に静けさが戻った。

ペデルギウス、レオレイア、レティシアは退室し、会合に出席する者のみで話すことに。



グレイス

「…それで…さっきの話の続きだ。デュオンはどうなりたい?」


デュオン

「僕はできれば"追放"してもらいたいかな」


グレイス

「つ…追放?」


シオン

「追放!?」



空気がしんとする。

グレイスとシオンは思わず、言葉を聞き返していた。

 


セティーナ

「はっはっは!追放か。これはまた面白い」


デュオン

「人間界で育って、これからも人間界で生きるって伝える。お互いに"干渉しない"ってなった方が後腐れなくていいと思うんだ。後から色々言われるのも正直面倒だし…」



グレイスの動揺を感じながら、デュオンは淡々と言葉を続けた。



デュオン

「あまり良いやり方とは思っていないんだけど…参加する人の中に、僕みたいなやつを受け入れない人っている?」


セティーナ

「いるぞ。天界第壱界域のやつは特に」


デュオン

「良かった。その人たちには申し訳ないけど、少し煽らせてもらって追放だ!ってなるのが理想かな。僕の印象が下がる分には構わないし」


セティーナ

「いいな。ダシにしてやれ」



どこか楽しそうな兄セティーナに比べて、弟グレイスはなんだか深刻そうな顔つきだ。



グレイス

「…………。」



正直、甘く見ていた。

あまりにも、覚悟が決まりすぎていて。

シオンは魂が抜けてしまったように放心状態だ。



デュオン

「こっち(天界)で生きる気はないから、せめてそれが了承されたらいいなって思ってるんだ」


セティーナ

「なるほどな。最低条件はそれか」


デュオン

「うん。天界や冥界の人たちが悪者にならないように。人間界で生きるって意思を、伝えるために会合に出る」


セティーナ

「拒否された場合はどうする」


デュオン

「何があっても折れない」


セティーナ

「……だそうだが?」


グレイス

「…わかった」



グレイスは一度、視線を落として深呼吸をした。

改めてデュオンを見る。



グレイス

「尊重する」


デュオン

「ありがとう」


セティーナ

「では、そのように」


デュオン

「?」


セティーナ

「グレイスたちには発言権がない。家族だからな。公平を保つためだ」


デュオン

「そうなんだ」


グレイス

「……発言権はないが、望む結果になるように動く」


セティーナ

「……それが本当に"望む結果”で終わればいいがな」


ロゼット

「セティーナ様」


セティーナ

「これ以上は、当事者の時間だ。私たちはこれで失礼する。会合の場で会おう」


グレイス

「…………。」


セティーナ

「グレイス。間違えるなよ」



セティーナは踵を返し、ロゼットが半歩遅れて続く。

扉が閉まるまで、重たい空気だけが残った。



 ✳︎

 


出立の時が近づき、緊張感が高まっている。


 

グレイス

「デュオンはこれを」


 

グレイスの手には綺麗な刺繍が入った重たそうな衣類がいくつも乗っていた。皇族の正装衣装のようだ。


 

デュオン

「ありがとう。…じゃあこの暗い青色のがいいな」


グレイス

「いや、これで全部だ」


デュオン

「?……。うん?」


グレイス

「これで一着分だ。重ねて着る」


デュオン

「………多すぎない?」


 

全部で五枚を重ねる正装で会合に出ないといけないようだ。

そういえばラウルも、正装は重いと言っていた気がする。



ライザ

「ラウルはこれを着なさい」


ラウル

「これは…」


 

ラウルの父、ライザの手には黒を基調としたデザインの衣服があった。下に向かって橙色にグラデーションになっている。

 


ライザ

「お前は急遽だったからな。私のだが、背丈もあまり変わらないし、問題ないだろうから」


ラウル

「父上のはあるんですか?」


ライザ

「あるから大丈夫だ。三着の中から一番これがラウルに似合うと思ったんだ。着ていきなさい」


ラウル

「……ありがとうございます」


 

ラウルは大事に衣服を受け取った。最後に見た父は背が高かったけど、やっと追いついたのだと嬉しくなった。



ライザ

「デュオン様、着付けをしましょう。こちらへ」


デュオン

「着付け?」



ライザがデュオンに声をかけた。デュオンも言われるままそちらへ行こうとすると…



ラウル

「父上!…あの…」



ラウルがライザの腕を掴んで静止させた。

ラウルは勢いで掴んでしまったようで気まずそうにしている。

 


ライザ

「?……あぁ…そうか。デュオン様、ラウルに着付けをさせて頂いてもよろしいでしょうか?」


デュオン

「え?うん。それはもちろん」


ライザ

「ラウル」


ラウル

「……ありがとうございます」



部屋に入り、緊張した面持ちのラウルを不思議に思っていた。すごく、静かだ。


 

ラウル

「では、着付けを」


デュオン

「うん」



ラウルは一言も発さず、デュオンの前に立った。

留め具が外され、外套がいとうが肩から静かに落ちる。畳まれた布が脇へ置かれ、次の布が迷いなく当てられた。


無駄がない。迷いもない。手際よく、淡々と着付けが行われた。

デュオンはただ、身を預けている。


一枚、また一枚。

薄い衣が重なっていくたび、軽さが消え、代わりに“場に立つための重さ”が身体に染み込んでいく。

帯が締められ、布の流れが整えられ、最後に――肩へ、確かな重みが乗った。


逃げ場のない重さ。

会合に立つための重さ。


ラウルは一歩下がり、全体を見て、歪みだけを正していく。

そして、静かに頷いた。


デュオンは小さく息を吐いた。



ラウル

「帯はキツくないか?」


デュオン

「うん。大丈夫」


ラウル

「……よく、似合っている」


デュオン

「そうかな」

 


ラウルは冗談抜きに、息を呑んだようだった。

 


ラウル

「俺も着替えるから少し待っていてくれ」


デュオン

「わかった」


ラウル

「着替え終わったら、今度は髪を結いあげる」



 ✳︎



デュオン

「……………。」


ラウル

「久しぶりに着ると身が締まるな…」


 

ラウルはデュオンよりも少し軽装だ。

デュオンが複雑な顔をしてラウルを見た。



ラウル

「?どうした?変か?」


デュオン

「本気で言ってる?」


ラウル

「(なにかやらかしたか…?待たせすぎたか…?)」

 


いつも表情が静かなデュオンが眉間に皺を寄せているのでラウルは焦った。


 

デュオン

「どう見てもラウルのほうが皇族っぽいじゃん…こんなかっこいい人に仕えてもらうの…申し訳なさすぎるよ…」


ラウル

「何を言ってるんだ…?どう見てもデュオンのほうが様になっているだろう」


デュオン

「ラウルから見たらそうかもしれないけど、僕からしたらこんなちんちくりんに仕えてもらうの申し訳なさすぎるよ」


儀式のような時間が終わり、部屋に現実が戻った。

デュオンは少しむすーんとして、自分とラウルの姿を見比べる。

ラウルは本当に何を言っているんだ…??と困った顔をした。埒が開かないので一旦休戦することに。

 


ラウル

「よし、できた」

 


髪の毛も綺麗に結い上げたラウル。随分と手の込んだ髪型だ。

髪紐はセティーナからの貰い物をつけ、普段使っているものはデュオンの腕に。



デュオン

「すごい!」


ラウル

髪結かみゆいはなかなか上達しなくて、よく父上に怒られていた」


デュオン

「……たくさん練習したんだ?」


ラウル

「うん」


デュオン

「ソフィアにやってあげたらいいのに」


ラウル

「やろうとすると嫌な顔するんだ。装飾品とかも嫌がる」


デュオン

「……確かに普段から無頓着かも…」



緊張をほぐすように小話をした後、最後に冠を頭に乗せる。

 


デュオン

「冠が重たい…」


ラウル

「少しの辛抱だ。頑張って」


デュオン

「うん。そっちのはラウルのやつ?」


ラウル

「……そうだ」


 

デュオンのものに比べると随分と控えめな冠が鎮座している。軽そうでいいなぁと眺めていると…



ラウル

「デュオン、お願いがある…」


デュオン

「うん?」


ラウル

「その冠を、俺に被せてもらえないだろうか」

 


普段は欲を出さないラウルが、珍しくお願いしてきた。

とても、真剣な顔をしていた。



デュオン

「……いいよ」


ラウル

「ありがとう」


 

そういうとラウルが片膝をついて頭を低くした。

デュオンが両手で冠を持ち、ラウルの頭にゆっくりと置いた。



デュオン

「何か、特別な意味があるの?」


ラウル

「うん…とても。特別な意味がある」


デュオン

「そうなんだ」


ラウル

「……黄泉に流されるのが決まった時、今まで培ってきたものが無駄になってしまったと、正直少し落ち込んでいたんだが…こんな形で再び意味を成すとは思ってもいなかった」


デュオン

「嬉しい?」


ラウル

「あぁ…とっても」


デュオン

「それはよかった」

 


誰かのために自分の時間をささげ、磨き、叩き上げ続けてきたことが、誰かの選択により無意味だと思い知らされた時、ラウルはどれだけ落ち込んだんだろう。



ラウル

「デュオンは、嫌かもしれないけど…俺は、こうして貴方にお仕えできることが、とても嬉しくて、誇りに思う」


デュオン

「ありがとう。こちらこそだよラウル」

 


こうしてたった2人だけの叙任式を終えて、余韻に浸りながらも、部屋を出た。


 

 ✳︎


 

グレイス

「2人ともよく似合っている」


ライザ

「ずいぶんと綺麗な着付けだな。本当にしばらくやっていなかったのか?」


 

部屋を出るなり、2人を褒めちぎってくれた。

グレイスとシオン、ライザも正装に着替えており、出発する準備を終えていた。

グレイスとシオンの服はデュオンとはまた少し重量感や威厳のある服だ。肩や首周りに装飾が施されている。



ラウル

「ここを出たら、一時的とはいえ俺とデュオンは皇降族と皇族の関係になる。無理はしないこと」


デュオン

「うん」


シオン

「私たちも2人とは会合が終わるまでまともに会話が出来ないと思うから、今のうちに…」


グレイス

「あぁ。いいか?デュオン。こちらのことは気にせず、好きに振る舞っていい。何が起きようとも、絶対に味方をする。そのことを忘れるな」


デュオン

「うん。ありがとう」

 


こうしてみんなで最後の打ち合わせを終えた。

至聖所の扉を開けると、ペデルギウスとレオレイア、レティシアが見送ってくれた。

 


 ✳︎


 

グレイスとシオンとライザが先に歩き、その後をデュオンとラウルが歩くことになっている。


 

デュオン

「…………。」


 

そのまま進むかと思われたが、デュオンが立ち止まった。ラウルが心配して声をかけようとした瞬間。



ラウル

「!」


 

デュオンが、右手を静かにあげた。

合図だ。だが、今それを出す理由が見当たらない。

道が分からないはずがない。

困りごとがあるなら、神殿を出る前に言うはずだ。


それでも、逆らうことはできない。

ラウルは黙って左腕を差し出した。



デュオン

「行こう。ラウル」


 

それだけ言って、少し微笑む。



ラウル

「(何か困っていたのでは…)」


 

その後もデュオンは何も言わなかった。

ラウルは胸の奥に小さな引っ掛かりを残したまま、転移門まで静かに歩いた。


 

 ✳︎

 


転移門前。フェイクシードが立っていた。

少し会っていないだけなのに、久しぶりに感じた。



デュオン

「フェイクシード!」


フェイクシード

「随分と様になっているじゃないか」


デュオン

「ありがとう」


フェイクシード

「まぁ、頑張ってな」



さらに奥に行くと、フェイクシードと同じ冥府族がいた。

身につけている装飾品はそれぞれ異なり、個性が見て取れた。

 


デュオン

「あれは…?」


フェイクシード

「俺と同じ冥府族。この先に行くと天使族と呼ばれる白色の似たようなのがいる」


デュオン

「そうなんだ。こんにちは」


冥府族

「…………。」


デュオン

「あれ?」


フェイクシード

「この反応は普通だ。俺が異常個体なだけだから気にするな」


デュオン

「そうなんだ…」


フェイクシード

「行き先を伝えれば転移させてくれる」


デュオン

「……天冥界へ」



デュオンとラウルは転移門てんいもんをくぐり、広場のような場所へ出た。

左手に、巨大な木が見えた。見事な大木だった。

そして右手には、見慣れたものがあった。


 

デュオン

「………あれは…」


 

デュオンとラウルは見慣れた何かがあることに驚いた。



デュオン

「虹の塔…?」


 

遠くに見えるのは虹の塔そっくりの建造物。全体は見えないが、間違いない。虹の塔だ。

 


デュオン

「なんで虹の塔がここにも…」


ラウル

「本当だな」


デュオン

「ラウル初めて見たの?」


ラウル

「あぁ。ほとんど天冥界に来ることがなかったから…」


デュオン

「帰りに時間があったら調べられないかな」



顔を合わせて疑問を共有した。しかしここで長考するわけにも行かず、足を動かした。

中央の広場のような場所に着くと、フェイクシードの言っていた天使族が待っていた。



デュオン

「"双世の燭台そうせいのしょくだい"へ」


 

会合が行われる会場に着いたようだ。

頭上には巨大な鐘が吊られ、空気そのものが張り詰めている。


円形に設けられた席に、界域主たちが並ぶ。

その背後には皇降族が影のように直立し、微動だにしない。

天界と冥界、各五界域。――総勢三十。

すべての視線が、中央へ集まっていた。


緊張感の漂う中、デュオンは中央へ堂々と歩いた。


鐘が鳴り響き、神々の会合が、始まる。

『アルスダリアの祈り』第19話を最後まで読んでいただきましてありがとうございます。


セティーナ様、ロゼット様ふたたび!

次回、ついに会合ですって…。長かったですね…。

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