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アルスダリアの祈り  作者: 瑝覇
暴走列車編
11/21

第10話 暴走列車

第10話を読んでいただきありがとうございます。

第10話を無事迎えられたのでタイトル付与しました。


ディンたちが戦闘に巻き込まれそうになっている頃、ルークたちは心配を始めていた。



デュオン

「ディンたち大丈夫かな。遅くない?」


ルーク

「お腹壊しちゃってたりして」


ゼナ

「何かあったのかな」


アスベル

「……大便じゃね?」



まるで天気の話でもするみたいに、アスベルは平板に言ったがみんなにスルーされた。スルーなのか理解してないのか…。



アスベル

「(気まず……)」


ゼナ

「様子を見に行って…」



ゼナが席を立った瞬間、列車が地面に噛みついたかように急停止した。



ゼナ

「うわ!」


 

ルークはアスベルの足元へ、デュオンはラウルに抱きとめられる。ゼナだけは手すりに指を掛け、踏ん張った。



ルーク

「みんな大丈夫!?」


アスベル

「ルークが一番大丈夫じゃなさそうだけど…」


デュオン

「ありがとラウル」


ラウル

「よく倒れなかったなゼナ」


ゼナ

「オレ反射神経で生きてるから…」



アスベルとラウルが二人の体勢を整えてやる。

車内は床には色んなものが転がり、乗客は悲鳴をあげている。



ルーク

「これってアスベルが言ってたやつなんじゃ…?」


アスベル

「かもね。当たり引いちゃったね」



ルークが暴走列車に遭遇したことを理解し始めると全員で周りを警戒し始めると天井上から金属が擦れる甲高い音が響いてきた。デュオンが天井を指す。



デュオン

「上に何かいる」



デュオンが天井を指してみんなに伝えると、アスベルが瞬時に妖力の鎖で天井をぶち抜いた。

攻撃されていると直感したようだ。



ゼナ

「え…アスベル…ちょ…天井…」


アスベル

「緊急事態だよ緊急事態。ほらみんな行ってきて。おれはここでお客守っとくから」



ゼナがポカン…と破壊された天井を見つめているが、お構いなしに行った行ったと手をひらひらさせるアスベル。乗客の視線がアスベルに集まる。



アスベル

「気絶して足手纏いになると思うし…まぁ何かあったら叫んでつかあさい」


ラウル

「わかった」



アスベルとラウルが目配せした。

アスベル以外の四人が車両の上に移動する。


✳︎



ルーク

「わぁ!いっぱいいる!」


ラウル

「なんだあれは」


ゼナ

「魔法道具ってやつかな?」


デュオン

「先頭車両のほうが見えないね」


ルーク

「ディンとロア一緒にいるはずだから大丈夫だとは思うけど…」



四方八方に魔法道具が浮遊し、包囲されているようだ。

こちらも身構える。息を呑んだ瞬間、砲撃が始まった。



ルーク

「わ!?魔法攻撃じゃない!」


デュオン

「でもあっちは魔法撃ってきたよ!」


ラウル

「どちらも兼ね備えているのか」


ゼナ

「とりあえず全部壊そう」



ルークは飛び上がって高い位置にいる魔法道具を蹴り飛ばし、ラウルは双剣を召喚して破壊していく。

デュオンは水魔法で相手を攻撃したり魔法を相殺してサポートする。


キィン


魔法道具が一斉に風魔法を放ってきた。

ゼナが思い切り目を見開いた。魔法がゼナに向かっていく。

ゼナの近くでどんどん魔法が小さくなり、やがて消えていった。まるで、ゼナが吸収したように。ゼナの瞳に白色が走った。



ゼナ

「みんな離れて」



ゼナが魔法道具に手を伸ばすとルークたちはゼナの後ろに控えた。先ほど魔法道具が放ってきた魔法をゼナが威力を上げて撃ち返した。いくつかの魔法道具は塵になって宙を舞う。



ゼナ

「(はずした…)」


ルーク

「すごい!ゼナ!一気に少なくなったね」



今ので魔法道具がかなり減った。

少し安心したその瞬間、列車が再び動き出した。


ギィィイ…



デュオン

「!列車がまた動いた!」



列車がどんどん加速していく。



ルーク

「ちょっとまってちょっとまって!スピードおかしい!」



急加速していく列車からふり落ちないように体勢を低くする四人。

その隙に魔法道具が遠慮なしに攻撃してくる。

魔法によって強風が吹き荒れた。



デュオン

「!?え…?(身体が…)」



ふわっ

強風を受けた瞬間、デュオンの体が宙に浮いた。

一瞬、時が止まったように見えた。

ゼナが叫び、手を伸ばす。デュオンも必死に掴もうとするが、指先がすれ違った。



ゼナ

「…っ!デュオン!」



それを見ていたルークが列車を思い切り蹴飛ばしてデュオンを空中で抱き抱えた。



ゼナ

「うわ!?列車が…!!」



ルークが蹴飛ばした勢いで列車が傾いた。このままだと脱線してしまいそうだ。

ゼナが再び目を見開いて魔法を繰り出した。

風で列車の傾きを元に戻した。



ゼナ

「……あぶな……」


ラウル

「ゼナ!まだ攻撃が来る!」



列車の脱線を防げたことに安堵したのも束の間、まだ魔法道具たちが残っている。破壊しなければ。



ラウル

「デュオンなら大丈夫だ!ルークがついてる!」


ゼナ

「…!うん!」



ラウルの言葉に一息ついて自分を落ち着かせた。

ゼナは魔法道具が放ってくる魔法を取り込みながら撃ち返し、ラウルはゼナを実体弾から守りながら雷魔法で応戦した。

いよいよ数えられる程度の数になってきたその時、列車の速度が落ちて魔法道具たちが凍りついた。



ラウル

「今度はなんだ?」


ロア

「みんな大丈夫〜?」


ゼナ

「ロア!」



ロアが隣の車両から氷魔法を放ったらしい。残っていた魔法道具に的確に魔法を当てて凍らせてみせた。さすがの魔法練度だ。

四両目から急にロアが現れたように見えたため、ラウルとゼナは驚いた。



ロア

「四両目のドアが開かなかったから登ってきちゃった!なんか変な術がかかってるみたいなんだよね。これのせいで視界悪いし困ったもんだ」


ラウル

「ディンは?」


ロア

「通常速度になるように列車に重力かけてるんだ。先頭車両に残ってる」


ラウル

「そうか」


ロア

「とりあえず、次の駅に着いたら乗客全員下ろして列車を横に倒すんだって」



ディンは先頭車両のほうに残り、列車全体に魔法をかけてスピードを管理しているようだ。

一旦、五両目の中に戻って情報を共有することにした。



アスベル

「およ?デュオンとルークは?どしたん?」



アスベルが一緒に上に行ったのに戻ってこない二人を心配して質問する。



ロア

「そういえば……てっきり中にいるのかと」


ゼナ

「デュオンが軽過ぎて飛んでった」


アスベル・ロア

「「え!?」」



アスベルとロアが二人の姿を探していると事実を聞いて驚く。

 


ゼナ

「ルークがちゃんとキャッチしてたから大丈夫だと思う…」


アスベル

「車両が傾いたの、あれルークが車両を蹴った感じか」


ゼナ

「そう」


ロア

「え、ちょっと待って…ルークとデュオンちゃん…いないってこと…だよね…?」


ゼナ

「うん…」



時間差でこの状況の深刻さに顔色を悪くした。

きっと無事だ。そこはルークを信用しているし、きっと大丈夫だと思う。ただ問題がある。一つだけ…。



ロア

「絶対ディンがやばいじゃん…」


アスベル

「それな」



極度の心配性。今だって本当なら列車なんて放ってすぐにここに来たかったであろう…。小さい頃から一緒にいるルークとデュオンに対してものすごい分離不安を覚えてるディンが知ったらまずい。かなりまずい。



ゼナ

「な…なんて言い訳する?」


ラウル

「…途中下車した…。あ、風に攫われたとかはどうだ?」


ロア

「ポエってる場合じゃないよラウルくん」


ラウル

「(ぽえ…?)」


アスベル

「そもそも言い訳すら聞いてくんなそう」


ゼナ

「普通に飛び出して行っちゃいそう…」


ロア

「ゼナくんに同意見」



真面目?に言い訳を考えたのはラウルだけで、他の三人は放棄してしまった。ラウル、哀れ。


✳︎


ルークはデュオンをしっかり抱えて着地の準備と覚悟をした。ものすごい高さからの着地だ。人ひとり抱えている状態でうまく着地するのはかなり難しい。でもそんなことを考えている時間はない。もうすぐ地面が迫っている。デュオンはしっかりとルークに捕まり、衝撃に備えた。


ドォン!!


ルークは一度地面に着地して回転した。もう二度繰り返して勢いを殺す。

坂に入ったのでスライディング。片手の爪で地面を抉っててさらに減速させた。

……ようやく坂の下降で止まった。



ルーク

「………焦ったぁ……」



忘れていた呼吸をして息を肺いっぱいに吸い込んだ。



ルーク

「デュオン大丈夫?」


デュオン

「大丈夫!ありがとうルーク。足と手は平気…?」


ルーク

「大丈夫だよ!いやぁ…びっくりしたね。まさか浮くなんて」


デュオン

「本当にびっくりした…」



デュオンが土で汚れたルークの手を綺麗にしながら傷がないか確認する。

 


ルーク

「ありがと。デュオン歩ける?」


デュオン

「うん。もちろん」



坂を上がって周りを見渡した。既に遠くまで走ってしまっている列車を見てどうしようかと顔を見合わせる。



ルーク

「ここからだとオルデリアのほうが近そうだよね」


デュオン

「うん。オルデリアのほうに戻る?」



連絡手段がないけど、みんな気づいてくれそうだよね。とオルデリア方面に歩き出した。二人はさっきまでのことがなかったことのように、夜のお祭りが楽しみとかソフィアたちは良い買い物が出来たのかなと楽しい話題を話した。



デュオン

「あのさ、ルーク」


ルーク

「うん?」


デュオン

「ディン…大丈夫かな?」


ルーク

「どうかなぁ…心配で爆発してそう」


デュオン

「ね。こっちまで飛んできそうだよね」



こっちの二人もディンの心配をしていた…。



ルーク

「もうこっちに向かってたりして」


デュオン

「具合悪くならないといいけど」


✳︎


オルデリアの次の駅であるトロメリアという駅に列車を横に倒して停車させたディン。急いでみんなの元へ走った。



ディン

「ルーくんとデュオンは…??」


ゼナ

「……途中下車したというか…」


ディン

「は?」


アスベル

「おにいさん落ち着いて」



アスベルがディンに落ち着いてとジェスチャーする。

実は…と起きたことを話した。



ディン

「やっぱり列車なんて放っておくんだったぁ!」


ゼナ

「そしたらルークが悲しむよ」



ディンは別に他人なんてどうでもいいのだ。元気でいようが死んでいようが。

どうにかしてディンを落ち着かせようとするが、世界の終わりだと言わんばかりの顔をするディン。

埒が開かないなと呆れながらロアが話しかけた。



ロア

「ディン迎えに行って来れば?デュオンちゃんの魔力遠ざかってるからオルデリアのほうに歩いてるんじゃないかな」


ディン

「迎えにいく」


ロア

「はい、じゃあ気をつけてね〜!いってらい」


落ち着かせるのを諦めたようにロアがディンに提案した。ものすごいスピードで飛んで行くディンをバイバ〜イと軽く見送った。



アスベル

「あ、あの人はテロリストじゃないです」



アスベルが"まだテロリストが?"とヒヤヒヤしている利用客に大丈夫ですと声をかけた。



ロア

「ゼナくんの予想が当たったね」


ゼナ

「うん。飛んで行ったね」


ラウル

「あんなに魔法使って大丈夫なのか?」


ロア

「ちょっと心配だけど、行かしとこ。どうせ話聞かないし」


ラウル

「それもそうか…」


ゼナ

「これ帰りの列車どうなるんだろう」


ロア

「確かに」



✳︎


列車から降りてしばらくしてから、運行再開するのかな…と心配していると、一緒に乗車していた聖騎士たちが話しかけてきた。



聖騎士

「おぉよかった。お礼を言いたかったんだ」


聖騎士

「君は命の恩人だ。本当にありがとう」


ロア

「さっきの!意識戻ったんだね。よかったよかった」



重傷を負っていた聖騎士がロアに頭を下げにきた。

巻き込まれた手前、今回の事について話を聞かせてもらうことに。


発端は“人魚の心臓”など希少素材目当ての機関師の不正。

魔法使いの話では、主犯の機関師は薬師資格も持ち、人体改造の実験をしていたらしい。出回らない素材を追って暴走——。

今回は実際に希少素材が積まれていたが、前に起こった暴走列車は、機関師が実験で作り出した魔法道具の擬似実験で列車に取り付けた魔法道具の動作不良で起きていたようだ。

実験中の副産物で生まれた秘薬は、一時的に魔力を跳ね上げるが反動が大きいらしく、捕まえた魔法使いたちは聞き取りをした後、一時的に気絶しているという。



アスベル

「(人魚の心臓ね…)」



アスベルは聞いて呆れたといった表情で話を聞いている。

今回、貨物車には"人魚の鱗"が積まれていたという。



聖騎士

「"人魚の鱗"は確かに積まれていたんだが、"人魚の心臓"は見つからなかった。発車後、貨物車に誰かが入った形跡もなかった」


アスベル

「(それ盗まれとるやつでは…)」


ロア

「へぇ…そういえば、なんで一般貨物車に?そんなに希少素材なら追跡上等で特別輸送にしてガチガチに守り固めたほうが良かったんじゃ…」


聖騎士

「妖族の素材は禁制素材だからな。特別輸送にすると検閲で引っかかる。だから一般貨物車で輸送したんだろう」


聖騎士

「魔法使いたちを尋問にかけるから詳しいことはこれからわかるだろう」



今回で全て解決してくれるといいんだが…と聖騎士がため息をついた。



聖騎士

「しかし、なぜ今回だけこんなに攻撃されたんだろうな…。今までは報告にあがっていなかったんだが。希少素材が載っていたにしろ、こんなにあからさまにしては余計にバレるだろうに」


ロア

「確かに…(聖騎士が同乗してた場所もわかってたみたいだし、内通者乗ってたよね〜。たぶん4両目だ。ドア開かなかったし…。まぁ余計なこと言わんとこ)」



国政師という安全性や信頼の欠ける出来事。

気まずい沈黙が続いた。



聖騎士

「ともかく、今回は君たちのおかげで協力していた魔法使いたちを捕まえることができた。感謝する。これは謝礼だ。遠慮なく受け取っていただきたい」


ロア

「わぁ〜ありがと」


聖騎士

「金髪の子にもお礼が言いたいんだがどちらに?」


ロア

「ちょっと色々あってもう帰っちゃったんだよ〜。伝えとくね」


聖騎士

「帰った…?…それは残念だ」


ロア

「あ、そうだ。聖騎士さんたち、この後の運行ってどうなるか知ってる?」


聖騎士

「それなら一時間後に運行再開する見込みだそうだ。倒してくれた列車はこちらで対応する」


ロア

「良かった!ありがとう!」



こうして聖騎士たちと別れた後、時間を潰しに駅の喫茶店に入った。


✳︎



ロア

「人魚ってさ〜あの人魚?絵本とかに出てくるやつ?」


アスベル

「そう。だけど絵巻に出てくる人魚は優しく描かれてるから実際の見ると大分違うと思うけどね。人魚の鱗が薬に使われるなんて人魚たちが流した噂だろうし」


ロア

「自ら?身体の一部とか何に使うの?」


アスベル

「鱗は人魚が狩に使うんだよ。だから自分で流したんじゃね」


ロア

「狩?」


アスベル

「人魚の鱗を食べると海に入ろうとするんだよ。そんで海に入ってきた人間を人魚が喰う。人魚は人間食べるの好きだからね」


ロア

「頭に寄生するってこと?」


アスベル

「そんなとこ。人魚の妖力で精神がおかしくなる」


ロア

「薬ってことにして飲ませるのか…。人間ってそこまでするくらい美味しいの?」


アスベル

「おれは食べたことないからわからんけど…。まぁ妖からすると人間って狩りやすいんだよ。好奇心が強かったり、珍しいものを求める習性があるだろ?獣族は警戒心がすごく強いし直感力が強いから、馬鹿みたいに食べたりしないし」



人間の好奇心や、執着心は恐ろしい。

異種族の身体だろうが求める何かがあれば喰らいつくのだろう。



ゼナ

「でも流通してるってことは人魚を倒した人がいるってこと?鱗は自分で流せそうだけど、心臓は…」



ゼナが人が妖に勝てるイメージがないけど…と純粋な疑問を問いかけた。



アスベル

妖祓師ようばいしが殺して流したんじゃない?お金になるから」


ラウル

「妖専門の狩人みたいなやつか」


アスベル

「そうそれ。あいつら妖殺す武器持ってるし…。列車にも乗ってたんじゃない?心臓もバタバタしてる時に盗んだとか」


ゼナ

「でも、貨物車に誰かが入った形跡なかったって…」


アスベル

狛犬こまいぬ?だっけ…妖祓師にくっついてるやつはすり抜けとかできるから、そいつが盗んだんじゃね」


ゼナ

「(犬…わんちゃんか…いいな…。そういえば発車前にに感じた気配…狛犬だったのかな…)」



ゼナが犬というワードに反応した。犬好きなのか少しほっこりしたような表情になっている。



アスベル

「妖を殺す武器作っちゃうの、人間のやばさが滲み出てていいよね」



倒れた列車の四両目を見て他人事のようにアスベルが静かに呟いた。

そんな時、運行再開のアナウンスが流れた。

オルデリアに戻るため、四人はホームへ向かう。


✳︎



ディン

「(ルーくんとデュオンはどの辺なんだろ…)」



上空をものすごいスピードで移動しているのはディン。目を凝らして、緑と青を探す。



ディン

「………!いた!」



線路の横をゆっくり歩いている二つの影を発見した。近づくというより特攻している勢いだ。



ディン

「ルーくーん!デュオーン!」


ルーク

「!ディーン!ここだよー!」



ルークとデュオンが聴き慣れた声に反応して手を振った。



ルーク・デュオン

「「うわ!?」」


ディン

「よかったぁ〜!!怪我ない??痛いところとかは?」


ルーク

「大丈夫!ディンも大丈夫そうでよかった」


デュオン

「平気だよ。心配かけてごめんね」



ディンが二人をぎゅ〜っと抱きしめて存在を確かめた。本当に心配したんだからね!とルークとデュオンの間に入って腕を組んで歩き始めた。



ルーク

「ディン…ちょっと歩きにくくない?」


ディン

「歩きにくいけど安心感はばっちし!」


 

何が何でも離れないからな…!といった力の入れ具合でルークとデュオンも諦めた。

次第にオルデリアの駅が見えてきた。



デュオン

「ゼナたちは?」


ディン

「どうだろう?運転再開されれば戻ってくるんじゃないかなぁ」



オルデリアの駅はテロ行為により運転見合わせしていたようだが、先ほど運転再開したようだ。トロメリアのほうも動き始めていることだろう。時刻は16時。集合まで一時間あるので近くの喫茶店で待つことにした。



ディン

「ルーくん、これ好きそう。ミックスジュース」


ルーク

「じゃあそれにする。デュオンは?」


デュオン

「同じのにする」


ディン

「ボクもたまにはフルーツ系にしちゃおっかなぁ」



ディンは二人と一緒だからか随分とご機嫌だ。戻ってきたゼナたちも安心するだろう。


✳︎


トロメリアからオルデリアに戻ってきたロアたちと合流した。



ゼナ

「良かった無事で」


デュオン

「心配かけてごめんね」



ゼナがデュオンとルークに軽くハグした。

 


ロア

「はいディン」


ディン

「?なにこれ」


ロア

「聖騎士の人たちが色々ありがとうってさ。直接お礼言いたかったって残念がってたよ」


ディン

「謝礼的なね。タダ働きにならなくてよかったぁ」

 


ディンはお祭りの軍資金に丁度いいやとコインケースに突っ込んだ。

無事に合流したので、ソフィアたちとの待ち合わせ場所に移動することにした。ちょうど17時を回る頃だ。


✳︎



ソフィア

「テロがあったんだって?大丈夫だった?」


ロア

「うん!みんな無事だよソフィア姉さん」


ルシファー

「本当に暴走列車が走ってたんだね!」


ヘスティア

「良かったですね。実体験できて」



みんな一緒だからそんなに心配はしてなかったんだけど…と言いながらも全員無事に戻ってこられて安心している様子だ。



ソフィア

「ディンはどうしちゃったの」


ロア

「ちょっと色々あって、ルークとデュオンちゃんとバラバラになっちゃって…」


ヘスティア

「ずっと一緒ではなかったのですか?」


ロア

「ディンが一人でトイレに行けないって言うから、僕とディンだけ離れたの」


ディン

「ちょっとロア!誤解する言い方しないでよ」


ロア

「本当じゃん。"高貴"で"目上"のディン様がど〜しても一緒に行ってほしいっていうから」


ディン

「こういう時だけディン様っていうのやめてよ!」


ロア

「は?従え〜!って言い出したのディンでしょ!」


ディン

「そんな言い方してない!」


ロア

「ちょっとまじで一回僕に謝ってもらっていい?」



ギャーギャーまた言い合いが始まってしまい、収拾がつかなくなってきてしまった。

アスベルは帽子を買ったらしいルシファーにメロメロで釘付けだ。呼吸するように可愛いと連呼している。

ラウルはソフィアの手荷物を受け取りながら、実際にあったことを順番に話す。

ルークとデュオンとゼナはお祭り楽しみだねと盛り上がっている。



ディン

「事件あったのにお祭りやるんだね。平和っていうか危機感あんまりないのかな」


アスベル

「昔から祭り事が好きな国だったし、事件よりお祭りって感じなんじゃない」


ゼナ

「楽しみにしてたから中止にならなくてよかった」


ソフィア

「花火上がるのかな」


ルシファー

「お祭りなんて久しぶり…!最後に行ったのいつだったっけ?」


アスベル

「いつだったかね」



アスベルとルシファーが手を繋ぎながら仲良く懐かしいね〜と思いで話を始めた。

今夜は花火も打ち上げるらしく、夕方から既に城下町が賑わっていた。



 ✳︎✳︎✳︎


【キャラクター紹介】


ルーク

なにやら強靭な身体をしている様子。

高い場所から飛び降りても、骨が折れないほど丈夫な身体をしているようだ。


ゼナ

瞳に不思議な力があるようだ。



【小話】

 

ディン・ソフィア・ヘスティアはもともと王族。ロアはその従兄弟で貴族にあたります。

これはディンの冗談ではなく、本来の身分関係としてはディンの方が本当に上です。

ロアはソフィアとヘスティアとは幼い頃から顔見知りで仲が良かったものの、ディンとは互いに面識がありませんでした。


初めて共に行動するようになってから正式に顔を合わせ、当初ロアはディンを「ディン様」と呼んでいました。

しかしディンの「対等でお願い」という一言で、今のような友人のような関係性になっています。

出身世界が滅びてしまっているので、今は関係ないようです。



【ワード紹介】

 

薬師くすし

国政師こくせいしの一つ。わかりやすく言えば医者です。薬の処方や手術ができます。

解剖にも携わる機会もあるようです。

治癒魔法を使わずに治療ができる人です。

 


妖祓師ようばいし

妖族専門の狩人のような存在です。

妖に喧嘩を売ったり売られたりの関係性です。

狛犬こまいぬというお供のような存在がいます。

人間に紛れている妖も判別できるようです。



機関師きかんし

大鉄道は石炭と魔法道具で動いています。

遠隔で運転をしています。機関助手も乗車しておらず、石炭を火室に入れたり、水の管理も遠隔で行っています。

この遠隔操作をするのが機関師です。

『アルスダリアの祈り』第10話を読んでいただきありがとうございます。

戦闘シーンが難しいですね…。雰囲気で楽しんでください。


ラウルさん、真面目に頑張って言い訳考えたのに、ロアくんにポエムを急に読み出したと思われてます。気の毒。


"人魚の心臓"は初めからなかったのか、盗まれたのか。行方知れずみたいですね。どうなることやら。


次回、11話も水曜日19時30分に投稿いたします。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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