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第九十五話

「その日からだ。赤い雨が降り、服の破けた傷の無い無気力病になった被害者―――謎の武器を持つ学生集団―――何が起こってるのか二年前から事件を追っているのに解りもしない!」


 笹塚刑事が悔しそうに新しいガムを噛み始める。

 現場を調べ終わったのか別の中年の警官がやってくる。


「笹塚刑事!」


「どうした? 現場検証は終わったのか?」


「無気力病になった大学生の持ち物の中にスマホの動画を発見しました。顔がぼやけてはいますが、服装から鏡らしき人物が男子大学生を暴行を加えている映像が出てきました」


 中年の警官がそう言って、手袋越しにスマホを笹塚刑事に渡す。

 笹塚刑事が動画を再生すると―――。

 動画に鏡らしき人物の声がノイズ交じりに響く。


「やはり絡んでいたか―――署に持って来させて記録させろ。それと被害者とは言え無断配信は刑法に値する。その女子大生の無気力病が治った後に大学内に連絡後に無断配信及び無断撮影で刑罰を受けらせろ」


「了解でありますっ!」


 中年の警官が敬礼して、スマホを受け取る。


「叩き起こされて、隣町で警察が午前五時に辿り着いて証拠が鏡が関わっているという情報だけ掴んだか―――私は署に戻る。パトロールと野次馬を作らせないように付近に注意勧告を出せ」


「―――はっ!」


 若い警官が敬礼して、それぞれの警官達に指示を出していく。

 笹塚刑事がパトカーに乗り―――。

 運転手の警官に指示を出す。


「ここの隣町の駅の署に報告後に私たちの署まで戻るぞ。わざわざ関係性があるとして、許可を貰って追って来た事件だ。段取りを踏まえて事件を追ってくぞ」


「解りました。無線で伝えた後に車を出します」


 運転席の警官がそう言って、無線を繋ぐ。

 笹塚刑事が車内でガムを噛みながら椅子にもたれかかる。


(行方不明の警官の岡橋に事件前にプロポーズされて、赤い雨の事件が起きてからもう二年か―――)


 笹塚刑事がフロントガラス越しの動いていく景色を見る。

 パトカーが動く中で―――。


(待っていろ。必ず見つけ出して、お前がどうしてこんなことをしたのか突き止めてやる)


 笹塚刑事がそう思い、ゆっくりと目を閉じる。

 動く車内で彼女は仮眠を取り始める。


(そういえば岡橋の実家は空手道場だったか―――埼玉のこの付近に大学に通っている妹がいるとは聞いていたが、確か名前が―――)


 浅い眠りに入っていく笹塚刑事が仮眠を取りつつ―――。


(佳代子という妹の名前だったか―――)


 そう脳内で呟き。

 揺れる車内で仮眠を少しずつ取っていく。

 天文部の佳代子の名前を笹塚刑事が告げて―――パトカーが午前八時の時間で署に向かっていく。



 時間は進み―――。

 千明が大学で三限の講義を受ける前の時間。

 大学の八号棟の四階の大教室で千明が意外な人物と出会う。


「あっ! ドレッド君。同じ講義だったんだ。今まで知らなかったわ」


 千明が大人数の教室の中でドレッドと同じ席で出会う。


「チアキも自由科目の論理学を受講していたのか―――知ってはいたがシグレの指示で今まで目立たない後ろの席に座っていた」


 ドレッドがそう言って千明の隣の席に座る。


「同じ講義だったのね。この科目って、人多いんだよね」


「それはそうと、チアキ……協力するなら暗示の記憶は消さないが―――あの赤い雨の夜が決意の上での成り行きとは言え、知ってしまった以上は色々質問しても構わない」


 ドレッドがいつものクールな表情で椅子に座り、教材を出していく。


「なんでも聞いていいの?」


 千明がそう言って、隣に座る。


「ああ、オレに出来ることならな」


 ドレッドの返答で千明が机に教材を置いていく。


「ドレッド君の個人的なことでも良いの? プライベートタイムとか?」


「別に構わないが、なんでそんなことを聞くんだ?」


「まぁまぁ~、良いじゃないですか~。減るもんじゃないわよ?」


 千明が流し目で上目遣いでドレッドを見る。


「そうか―――わかった。教授が来る時間だから講義に集中するようにな」


 ドレッドがそう返答して、ノートを開く。

 二人の座る席は窓際の教室全体の位置では中団の場所の席だった。




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