第九十一話
「ドレッド、謎を解きたいのは解るっすけど―――つっても、今日は朝近いっすよ。また今度でも間に合いそうじゃないっすか?」
真城がそう言って、メンバーが考え込む。
「このままだと生活リズムが崩れる」
金辺がぶっきらぼうに話す。
「そうだじぇ! まず千明に魂喰らいがどういう奴らかを今日は説明するだけでいい気がするじぇ」
素子も便乗するように話す。
佳代子が腰に手を当てて、真っ直ぐ見る。
「うむ。我らはこういう経緯であれ、大学生だ。千明の謎は昼休みに部室で話すべきだと私は思うぞ」
「佳代子ちゃんのいうように千明ちゃんには申し訳ないけど―――図書館の時と同じように解らないこともあるから魂喰らいの説明だけでも良いんじゃないかな?」
時雨がそう言って、空を見上げる。
暗い空は三時半になり、四時半になれば日が昇りそうな時間帯である。
「わかった。チアキ。まずは魂喰らいについて話す」
ドレッドがそう言うと千明が脱力して、頷く。
「わかったわ。高校生と大学生の多い街で起こる夜に現れる人には見えない無気力病気をおこさせる魂喰らいのことどんな奴らか出会ったうえで知りたくなったわ」
千明がそう言って、天文部のメンバーを見る。
ドレッドが説明しようとすると素子が手で制す。
「ドレッド、あたしが説明するから自販機でジュースでも買って飲んでて良いじぇ?」
「わかった。すまないモトコ。皆と一緒に説明を頼む。喉が渇いてたし、買ってくる」
ドレッドがそう言って、バス停からやや離れた位置の自販機に歩いていく。
「素子。それじゃあ赤い雨の夜な夜な起こる怪事件に関わる魂喰らいについて説明お願い。あたしも二限から講義あるからさ」
千明がそう言うと素子が頷く。
「魂喰らいは物の怪や虫や動物などの生物を擬態化した姿で人の魂を喰らって僅かな意識と体だけ残して抜け殻にする謎の異形の存在だじぇ!」
素子がうるるんっとした目で千明に説明していく。
「謎ねぇ―――赤い雨が降った時からあの王冠の紋章の魔法陣で現れてきたわけ?」
千明がそう返すと金辺がぶっきらぼうに答える。
「三度目の赤い雨の数日後に無気力病が出始めた」
金辺の言葉に千明が考え込む。
「その魂喰らいってのもいつどこで現れるか、一般の人の発見もないし何者なの?」
佳代子が千明を見る。
「―――それは我らも知らぬ。我らは普段は魂喰らいが離れた場所に現れるので―――個別行動をとることが多かった」
佳代子の言葉に千明が黙り込む。
千明の隣にいる真城が千明に付け足すように説明する。
「今回は少ない探知なので二手に分かれているんっすよ。探知が出来るのがドレッドと時雨先輩だけなんっす」
「個別行動もあるけど、ドレッド君や時雨の探知ってどこまで出来るわけ?」
真城に質問で千明が返す。
「結構正確な位置まで解るッスよ。前日に探知できるって二人とも言ってるッス」
「うむ。それに最初は先輩が無気力病でいなくなったドレッドだけで戦っていた。その後に時雨が加わり―――金辺や私に次の年から素子や真城が加わったのだ」
佳代子が真城の言い終えた後にそう告げる。
「そいつらの正体というか巣みたいなものはあるの? 私は隣町のバイト先の駅の廃ビルが怪しいと思うんだけど」
千明がそう言うと―――。
「あの建設途中の高いビルか? 何故そう思う?」
金辺が千明に疑問を投げかける。
「二つの剣と少女のことやビルの上に人影があったのよ。途端にあたしの胸の傷から血があふれるように出て、その後に血も人も消えていたわ」
「へぇ、そりゃあ凄い光景っすね。でもあの廃ビルって―――過去にドレッドと時雨先輩が調査したらしいっすけど、誰もいないって言ってたっすよ」
真城がそう答えて、千明が考え込む。
ジュースを買ってきたドレッドがメンバーの元にやってくる。
「んで、その魂喰らいなんだけど―――あいつらってなんで人を無気力病にするの?」
千明が廃ビルの謎をとりあえず隅に置いて、質問する。




