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第八十七話

 天文部と千明が合流する前の赤い雨が止んだばかりの時間に戻り―――。

 素子や金辺、そして真城が魂喰らいを倒していた駅の反対側の方向に―――二人の大学生が歩いていく。


「ねぇ、シュンちゃん。まだ三時だけど、この後飲みに行く?」


 女子大生が隣を歩く男子大学生に酔っているのかフラフラと歩く。


「もう三時だぜ? 流石に他の飲み屋で梯子は無理だろ。赤い雨が止んだら店に出ても良いって店主が言うから俺ら駅まで歩いてんだぜ?」


 シュンと呼ばれた男子大学生がもたれかかって酔っている女子大生に話す。


「どうせ終電だよ~。お金余ってんでしょ? ホテル行こうよ~。五時間コースでさ。どうせ講義は午後の四限からなんだし、シュンちゃんは三限でしょ~?」


 女子大生がそう言って、無人のホテル街を指指す。


「まぁ、そうだけどさ。ってかゴム余ってたっけ? まぁ、朝が来るまですることしちゃうか? 午前の講義がお互いないし、朝になったら電車も運行再開しているだろうさ」


 シュンと呼ばれた男子大学生がそのまま女子大生の肩を貸してホテル街に進路を変える。


「今日は安全日だし、ピルもあるから昼が好きだけどこの夜でもいいよー」


「んじゃあフロントの隠れている代金だけ払えば自販機みたいに鍵が出るホテルですることしちゃいますか?」


「するする~。でも次の夜にも赤い雨また降るかなー? ねぇ? どう思う?」


 女子大生がそうシュンと呼ばれた男子大学生の耳元で熱い息を吹き、囁く。


「大丈夫。今度の夜も赤い雨が仮に降っても俺が守ってやんよ」


 シュンと呼ばれた男子大学生がどや顔で女子大生を見る。


「やだ~、カッコいい~。この後のホテルサービスしちゃおうかな? 下着も気合入れて良いの履いてきたんだよ」


 女子大生が上目遣いで舌をペロリと出し、胸を男子大学生の肘に当てる。

 柔らかい感触に男子大学生が股間を勃ちさせる。


「おっ! いいねぇ! 俺も今夜は朝まで頑張っちゃいますか!」


 そのまま二人がホテル街の細道に入ると―――。


「ヒャアッハッハッハ! 赤い雨が降った後で居酒屋で飲みまくってか。ノリノリだね? そこのバカップルさん?」


 不愉快な絶音のような笑い声が前から響く。

 二人の大学生達が嫌そうにその声の主を見る。

 二人の目が嫌悪の眼に変わり、ホテルのある細道にいる男を見る。

 ロングパーマスタイルの狐のように細い眼をしたフード姿の男が二人の目の前にいる。

 男子大学生が威圧するように睨み。


「なんだよ! お前は消えろ!」


 そうドライバーグローブと黒のスーツを着ている男に怒鳴り込む。


「消えろよー。あたしたちの愛情が汚されるわ。つうか一人で無人ラブホテルとか、アホじゃね?」


 酔っている女子大生が笑いながら―――ネクタイが赤く、スーツのYシャツは黄色の男に見下す眼で話す。


「儀式の為に魂喰らいをお前らに襲わせるのと俺個人の趣味がお前らみたいな馬鹿の殺しでね。お前らみたいなのも殺さなきゃいけないのが俺様の決まり事よ」


 男がそう言って、黒のビジネスシューズで音を立てながら寄ってくる。


「うわっ、こいつ会話セーリツしねぇ。バカだ。消えろ」


「キャハッハッハッ! マジモンのバカじゃん。ウケる―!」


 二人の男女が笑いながら男を指差す。

 細めの男が目を開き、不気味な赤い目をしている


「これから殺されるのに哀れなバカっプルですね」


 赤い眼のスーツの男がそう言って、笑う。

 男子大学生が身構え、女子大生がスマホを取り出す。


「あほ、お前が俺に殺されるぞ。消えろよ。逆にマジで殺すぞ!」


「シュンちゃん、こんな激痛バカ汚物君なんかやっちゃえ~! スマホで撮影してみんなに送って配信稼いじゃお! 後は綺麗に警察通報ッと! 私の正義の配信ー♪ お金も入ってー、正義ー♪」


 二人の男女がそう言うと同時に―――。

 スーツの細身の男が目を瞑って、念じる。

 男の頭上に王冠の紋章の魔法陣が浮かび上がる。


「アンチレガシーウエポン―――天風血柘榴(あまかぜちざくろ)!」


 男が唱えると赤い光の粒が両手のグローブに集まり、二本の長めのナイフが現れる。

 だが、二人の男女の大学生にはその男の出した魔法陣もナイフも見えていない。

 男子大学生が拳を男に向かって、殴りつけるよに振り下ろす。

 女子大生がスマホでその瞬間を録画する。


「こっちの身体能力が強化されているとはいえ、随分と遅いですね」


 男がひらりと男子大学生のパンチを躱す。

 そのまま膝蹴りを男子大学生の腹に当てる。


「―――うぶっ! 腹が!」


 激しい衝撃に男子大学生の胃が潰れそうになる。

 そのまま倒れ込み。


「オブェー!」


 男子大学生が腹から飲み屋で食べた酒やつまみのあるゲロを地面に吐く。

 女子大生がスマホですぐに警察を呼ぼうとするが―――。


「そっちのお嬢さんには右手を頂きますかね」


 男がそう言って。右手のナイフを投げる。

 素早い速度でナイフは女子大生持つスマホの手首に刺さる。


「いたぁ!」


 女子大生がスマホを落として、出血する右手を抑える。

 地面に落ちたスマホは110番アプリをかける前に地面に転がっていく。




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