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第八十五話

 ドレッドが悲しそうな表情で椅子から立ち上がる。


「実際の所、戦闘メンバーもいれたオレ達だけでは無気力病になる被害者を抑えきれないもの事実だ。六人でそれぞれ個別行動をとっても倒せない魂喰らいがいるのも事実だ」


 佳代子が憂い顔で同じく椅子から立ち上がる。


「だがその後に私が加わり、同じ時期に金辺も入ってくれた。そして素子や真城も今年から入部してくれたのだ。皆は千明と同じようにここに来ても入部を決意してくれた。故に―――我らの意志は固いのだ」


 そう言い終えて、不安を消すように明るい表情になる。

 時雨がニッコリと笑顔を見せて、千明に話す。


「これが最後のラインだから入部するかどうかはよく考えてね。危険が伴う魂喰らい狩りだから安全第一で活動しているし、無気力病になっちゃたらそれまでだからね」


 そう時雨が言って、改札方向を見る。

 椅子に座って考え込む千明の前に―――。

 駅構内の改札から三人の男女がホームの階段を上がっていく。

 エアインテークのセミロングヘアーの髪型の女子大生が改札外の四人に手を振る。


「お待たせしたじぇ! 隣町の魂喰らいは退治したじぇ!」


 そう手を振ったうるるんとした目で八重歯がある女子大生が話す。


「三人ともお疲れ様。改札抜けたら駅の外で話そうか?」


 時雨が笑顔でねぎらいの言葉を手短に添える。

 誰もいなくなった電車も終電の駅前で夜を守る天文部のメンバーが集合する。

 髪を染めている金髪ツインテールの美肌のジト目の女子大生が千明を見る。


「新入部員―――やはり、千明だったか」


 そのジト目の女子大生が改札を抜けて、千明を見て―――そう告げる。

 名前を呼ばれた千明がその女子大生に戸惑いつつも―――挨拶代わりの右手を上げる。


「―――金辺。あんたも天文部に入ってるってことはこの前聞いたけど、魂喰らいを倒していたのね。アルバイトとキャンパス以外でこうして話すのはなんだか新鮮かつ奇妙ね」


 千明がそう言って、真城に顔を向ける。

 残りの改札を抜けた茶髪ショートの三白眼の男子大学生が笑顔を向ける。


(おっ! このセミロングヘアーでポニーテールの新入部員―――俺の好きなタイプっすね。気だるそうな少し半眼のツリ目と結構胸のあるスタイルとお尻が腰のくびれと合わさって―――ナイスっすね)


 そう思い、男子大学生が千明をニッコリと笑顔を見せる。

 駅員以外は誰もいないコンビニと改札付近以外明りがない駅内で時雨が三人を千明に紹介する。


「千明ちゃん。残りの天文部の部員の一年生の真城君と素子ちゃん、そして―――」


「二年生の金辺でしょ? ぶっきらぼうでロマンチストな女子校で人気者の―――」


 時雨が紹介する前に千明が金辺に軽口を叩く。


「うるさい。余計なことを話すな」


 金辺が千明にやはりぶっきらぼうに多くは語らずに返答する。


「あれ? 知り合いだったんすか? こんな凄い綺麗なお姉さんと? 金辺先輩~、教えてくれてもいいじゃないっすか~? なーんで今まで黙ってたんっすか?」


 時雨から真城と紹介された男子大学生がそう言って、千明を見る。

 千明が微妙な笑顔でジッと見つめる真城にやや退く。


「あははー、どうも山本です。金辺とは同じバイト先で働いてる学部違いの大学生なの。アルバイト先を金辺と一緒に面接受けたらそのまま二人とも合格して、それから仕事場と大学で会うようになって―――話していった仲ね」


「へぇ、アルバイト先って言うとあのファミレスっすか? 俺が金辺先輩にスマホ電池切れだった時の時雨先輩に代わって伝言送った場所っすね。あー、こんどウエイトレス服みてみたいっすね~」


 真城が嬉しそうな千明を見て、笑顔を見せる。


(あの店のウエイトレス服って、胸を強調するミニスカートのメイド風味の服装が大学内で人気なんだよなぁ。金辺先輩はデカいし腰のくびれも良いけど、性格があんなんだしなぁ。山本さんの恥ずかしがりながらも強調する胸を拝むために今度の伝言の時にしっかり見るかな)


 真城が楽しそうに二ッと笑う。

 時雨が思い出したのか照れくさそうに真城に話す。


「ごめんね。真城君。私はスマホとかあんまり使わなくて―――うっかり忘れるのよね」


「時雨。今度から寝る前にスマホに充電器を差し込む習慣を身につけるがよい」


 佳代子にそう言われ、時雨が自省するように頷く。

 ドレッドが千明のことを三人の駅から来た大学生に紹介する。


「まだ入部を決めかねて入るがレガシーウエポンは出せるようになった。彼女がメッセージにあった同じ大学のヤマモトチアキだ。暗示は最終段階の前までにしている状態だが、記憶は戻してある」


 ドレッドが千明を紹介して、千明が一礼する。


「山本千明です。天文部のみんな―――街を守ってくれてありがとうございます。市民として感謝しています」


 千明の言葉に真城が嬉しそうに鼻を指で軽く触る。




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