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第八十一話

「そういうことなら待たせるのは良くないじぇ。徹夜はお肌に悪いじぇ。電車に乗るために駅に早足でむかうじぇ」


「そうっすね。赤い眼の被害とは言え、電車は午前三時までとは言え、そろそろ終電になっちまうっすね」


「今二時だから急ごう」


 三人が早歩きで駅まで向かっていく。

 その一部始終を見ていたのか―――。

 深夜の人の少ない街中で一人の大人の女性がその様子をジッと見ていた。


(あいつらが儀式のレガシーウエポン使いか―――味方に出来るわけでもないし、新入りねぇ。あいつの報告じゃ6人のはずだけど―――まぁいいわ)


 金髪の内巻きのワンカールの髪型の女性が人通りの減った深夜の駅前で目を細める。


(泳がせておくか―――どのみちあと半年で儀式は完成する。彼らはただの儀式の試練代わりの駒にすぎないしね)


 そうピンクのニットを着ていて、柄入りのタイツが特徴の女性は黒のハイヒールで地面を軽く歩いていく。

 駅から正反対のビジネスホテルを見ると―――。

 伊達眼鏡を外して、緑の瞳が途端に赤い眼になる。

 赤い雨が降らない中で―――唯一彼女が赤い眼になっていた。


(どのみちあと半年で長かった儀式は完成する。彼らはただの儀式の試練代わりの駒にすぎないしね)


 そう彼女が思い、財布を取り出す。

 取り出した一万円札が彼女の赤く輝き始めた中指と人差し指で不規則に揺れていく。

 そのまま一枚の一万円札が二十枚に増えていった。

 それを確認した女性は財布に増えた一万円札を入れていく。


(リザットの指示を待つ前に―――鏡志咽規(かがみしのどき)にあまり夜を出歩かないように指示させるか、あいつの周りだけ魂喰らいが現れるように能力を与えたのは他ならぬリザット自身だしね)


 女性がそう思い、スマホを取り出しメールを送る。

 その後にビジネスホテルに着いて、中に入っていった。

 埼玉の町は静かになり―――。

 赤い雨の跡の月だけが夜空に象徴していた。



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