第七十五話
「千明ちゃん。もう赤い眼を解除していいよ。疲れたでしょ? 私の傍で休んでていいよ」
時雨が優しい笑顔でそう話す。
「ったく、ルーキーだからってのは自覚するけど奇怪な事件に首突っ込んじゃったもんね。レガシーウエポンっか―――恐ろしい能力のような気もするわ」
千明がそう軽口を言って、目を閉じる。
そして念じて、目を開ける。
体から倦怠感が現れ、目が両方とも黒めになる。
「まだ引き返せるところまで来ているから、千明ちゃん、よく考えて入部するかどうか考えてね」
「あたしの決意固まってんのに偉く慎重ね。ま、命かかってるもんね」
千明が壁に背を向けてもたれかかる。
「結構、精神力ってのは来るもんね。マラソンした後みたいに疲れがドッと出てる感覚よ」
千明がそう言って、時雨に寄り掛かる。
時雨が千明に肩を貸して、一緒に歩いていく。
佳代子がドレッドを見て、話す。
「うむ、金辺達にも雨が完全に止んだ後で無事かどうかの連絡を入れよう」
「ああ、赤い雨が止むまでまだ時間があるな。赤い雨が止まったらモトコ達の報告も待っておこう。このまま駅前まで歩くぞ」
ドレッドが返答して、四人で駅に向かう。
千明は嵐が過ぎ去ったかのように落ち着く。
空をふと見上げると赤い雨は止んでいた―――。
(あたし―――この天文部の人と街を守ったのよね? 今日は無気力病の犠牲者が出ないってことで良いのよね?)
千明が曇りの夜景を見ながら―――時雨達と駅に向かっていく。
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