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第七十四話

 千明が破けた上着とボロボロになったブラを手で隠して、座り込む。

 ドレッドが千明に近づき。

 目を瞑り、手から青色の光を出す。


「冥界の儀により、この傷を元に戻らせよ―――我が治癒の力よ―――」


 ドレッドが呪文を唱え―――。

 千明の左腕を掴む。

 そのドレッドの手にある青い光が千明の体の傷を治していく。


「これは?」


 千明が驚きつつ―――。

 自分の体を覆う青い光に戸惑う。

 破けた服や下着が修復されていき―――。

 やがて魂喰らいと戦う前の元の服装に戻る。


「チアキ、もう大丈夫だ―――治癒の力を使った」


 ドレッドがそう言って、手から青い光を無くしていく。

 千明の体中に輝く青い光も消えて、千明が立ち上がる。

 痛みも粘着きのあった触手の嫌な感触もなくなっていた。


「治癒の力?」


 千明が不思議に思い、立ち上がる。

 佳代子が周囲を警戒して、周りを見ていく中で―――。


「ドレッド君と私にここにはいないけど―――素子ちゃんや金辺ちゃんには赤い眼の時に服や怪我を治せる治癒の力があるんだ」


 時雨がそう説明して、千明の隣に並ぶ。


「そんなものまであるのね。あたしには無いの? 治癒の力とか?」


 千明が修復した服のぬくもりを手で触って、確認しながら質問する


「オレと天文部の女性陣は全て治癒が使えるが―――どうやらチアキにはないようだ」


 ドレッドがそう言って、千明の後ろに立つ。

 佳代子がドレッドを見て、頷く。


「うむッ! もう周囲に現れないようだ。赤い雨も止み始めている。時雨、ドレッド―――もうここらには魂喰らいは現れないか?」


 佳代子の言葉にドレッドと時雨が頷く。


「カヨコ、大丈夫だ。レガシーウエポンを解除しても良い頃合いだ。―――リボルト!」


 ドレッドが解除の呪文を唱え―――。

 ドレッドの氷の剣は光の粒になり、消えていく。


「うむ、では隣町の班にも連絡を入れよう。―――リボルト!」


 佳代子もそう答えて、解除の呪文を唱える。

 レガシーウエポンが光の粒になり、まるで蛍の光のように消えていく。


「千明ちゃん、レガシーウエポンを解除して―――初めての実践だから精神力が大きく消耗してると思う」


 時雨の言葉に千明が座りこんで頷く。


「全く、初めての実戦で―――とんでもない数だったわ。―――リボルト!」


 千明が解除の呪文を同じように唱え―――。

 手に握っていた槍が重量感を無くしていき、光の粒に変わっていく。

 そのままレガシーウエポンは消滅した。


「みんなご苦労様。今回は密集しての四匹の魂喰らいがいたけど―――赤い雨も止めば魂喰らいも隠れるようにいなくなるから今日はここまでだよ。―――リボルト!」


 時雨がそう言って、解除の呪文を唱える。

 炎の剣も光の粒となり、夜空に上がって消えていく。


「ここに長居は無用だ。赤い眼を維持したまま壁を飛ぶがよい」


 佳代子の言葉にドレッドが跳躍して、工場の壁を飛んでいく。

 時雨と千明もそれぞれ跳躍して、工場の外側の位置に着地する。

 最後に佳代子が着地して、三人が目を瞑って念じる。

 時雨とドレッドに佳代子の目が元の黒めになる。




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