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第七話

「千明。アルバイトあるとはいえ―――仕送りもあるし、サークル入れる日にちもあるでしょ? まさかその時間を勉強に費やすの?」


 千明が山田の声で思考を止める。

 千明が軽い感じで返答する。


「囲碁の社会人込みのネットサークルで遊んどるから平気よ。むしろ年々日本で囲碁が衰退してるのが悲しいわね」


「はいはい、あんた意外とマイナーなもの好きだもんね」


 彰美がいつもの大学にいる休みの時間に友達に話すトーンで話す。


「囲碁は頭の体操に良いのよ。判断力も付くしね」


 千明がそう言うと、吉澤が興味を持ちながらその話題の聞き手になる。


「それを理由にネット廃人になって、大学で単位落とすなよー」


「実家の仕送りあるからサボれないわよ。足りない分はバイトで稼ぐから学業に支障ないっての」


 千明が答え、吉澤が「山田先輩。そろそろ電車乗りましょう」っと言う。


「ああ、千明。邪魔したわね。じゃあ、私らこれからアパートで大学の一年生と二年生のラクロス部サークルの二次会あるから―――」


「結局はあんたの家で二次会やるんかい」


 千明が突っ込み、あんまりお酒を飲んでいない吉澤が困った顔になる。


「「じゃあねー」」


 山田と吉澤が駅内にエスカレーターで降りていき―――。

 千明が定期券カードを改札に当てて、駅を出る。

 空は段々と雲が集まっていき、夜に雨が降りそうな天候だった。



 駅から出ると目に映るコンビニとハンバーガー屋のある場所まで歩いていく。

 一年生の五月から面接で受けて合格したアルバイト先までいつもどうりに歩いていく。

 アルバイト先に向かう途中で―――。


「ん?」


 千明が上から見られている視線を感じる。

 そのまま人が行き来する小都会で建設中のビルを見上げる。

 曇りかけた空から、ビルの上に人のシュルエットが見つかる。

 小都会の街の中で駅以外に目立つ六階建ての建設中の大きなビル―――。

 その場所で輪郭の無い人の姿をした何かが千明を見ている。

 瞬間―――。


「うっ! 痛い!」


 千明が胸を抑える。

 胸のあたりがドクンッとなる。

 気付けば千明の胸から血があふれていく―――。

 周りの人たちは無関心そうに歩いていく。

 異常な光景だった。


「血が止まらない。あたしの胸が―――痛い!」


 千明がビルの上の何を見るをの止め―――。

 両手であふれる胸の血を抑える。

 ぼやけた千明の視界に少女が映る。


「……!」


 千明が言葉にならない声で誰かに助けを訴えかける。

 だが、声が出ない。




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