第六十九話
佳代子が鍵を閉めて、千明に時雨が話しかける。
「千明ちゃんには実戦と空いた時間での運動訓練や瞑想によるレガシーウエポンの強化もいるね」
「みんなしてるわけ? 天文部で強化や訓練とか?」
千明の質問に時雨が頷く。
「みんなアルバイトの休みや講義の五限終わりに部室で瞑想して、レガシーウエポンを強化したり屋上で合同の実践に近い模擬戦してるよ」
時雨がそう答え、メンバーが階段を下りていく中―――。
誰もいなくなった屋上ではポツポツっと赤い雨が降り始める前兆を示していた。
佳代子が守衛に鍵を返して、メンバーが最終便の学生バスの中で揺れる。
バスが駅前に着く頃には赤い雨が本格的に降り始めていた。
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バスが駅前に着いて、千明達がほぼ無人の駅前に着いた時―――。
赤い雨が降る中でメンバーがそれぞれ念じて赤い眼になっていく。
千明も念じて片方だけ赤い眼になる。
すると―――。
赤い雨が千明の服を弾いて雨水すら服にも肌にも跳ね返すように濡れない。
「凄い。水滴の感触も冷たさも感じないわ。赤い眼を発動している時って便利ね」
千明がそういうと佳代子が頷く。
「うむ、私も最初はそう思っていた。後は千明がレガシーウエポンを実践で毎回しっかり出せるかだ。動揺や緊張で失敗すれば無気力病だ」
「物騒なことを辛辣に言わないでよ。ちゃんと発動させるわよ。でも良いの?」
「何が良いのだ?」
「探知出来るのはドレッド君と時雨だけなんでしょ? 隣町のメンバーは感知無しじゃ危険じゃない?」
「他の隣町のメンバーには魂喰らいの位置はだいたいメッセージで既に送っている。オレもシグレも遠くの位置まではだいたいは感知できる」
ドレッドがそう言って、バス内の時に他の3名に魂喰らいの居場所を伝えていたようだ。
「後は初陣の千明ちゃんのレガシーウエポンが出たらすぐにメンバーで連携して魂喰らいを倒すだけだよ。レガシーウエポンは長く使うと精神を消耗させるからいざって時だけ使ってね」
時雨がそう言って、佳代子を見る。
「うむ。千明のレガシーウエポンが出たらすぐにメンバーで連携して魂喰らいを倒す。今回は駅外れの方向に魂喰らいの存在があるのだな?」
佳代子がバス内でドレッドに聞いていた位置を確認する。
「ああ、シグレの探知では間違いない。今回は四人で目的地までパトロールする」
メンバーが四人で駅前の小都会の場所から右側の方向に歩いていく。
「詠唱中にレガシーウエポン出して、その直前にやられたらシャレにならないわね」
「千明―――。そうならぬように今回は同行でパトロールと魂喰らいの殲滅戦だ」
「解ってるわよ。即座に出せるように実戦も兼ねてやるわ」
千明、ドレッドそして時雨と佳代子―――。
四人のレガシーウエポンを持つ赤い眼のメンバーが駅から離れていく。
赤い雨の降る中で千明にとっては初めての魂喰らい狩りが始まる。
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