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第六十六話

 千明も屋上の外に移動する。

 屋上には生徒が飛び降りないように高めの網が張ってある以外はコンクリートの地面のみの無機質な空間だった。

 天体望遠鏡が住み置かれており、時雨と肌の白い美少年がいる。


「あれって、彰美が言ってたドレッド君?」


 千明が夜によって、白い肌が星とは違った存在感を魅せる金髪のドレッドを見る。

 ドレッドと時雨の下には―――チョークで書いたのか大きな王冠の紋章を記した魔方陣が書かれている。


「あ、千明ちゃん来てくれたんだね」


 時雨が嬉しそうに千明にやや遠くから声を掛ける。


「千明、魔方陣の王冠の部分まで歩いてきてくれ。そうで無いと魂喰らいに勝てる対抗手段が出せない」


 佳代子がそう言って、ドアを閉めて鍵を取り出す。

 内側と外側にあるノブ下の鍵を佳代子が閉めている間―――。

 千明が魔方陣の中央の王冠の紋章の場所まで歩く。

 ドレッドが千明に挨拶をする。


「初めまして、天文部のドレッド・アーメイだ。シグレから話は聞いている。よろしくチアキ―――」


 ドレッドの透き通った綺麗な声色に千明がやや動揺する。


「え、あ、どうも。山本千明です。よろしくね、ドレッド君」


 千明がドキマギしながら、返答する。


(って、何照れてんのよ! 相手は素性がまだ怪しい魂喰らいを倒すとか言ってる謎の天文部の一人なのよ! 外国のイケメン一人に動揺してる場合じゃないわ)


 千明が軽く頭を振って、平静を取り戻す。

 佳代子がドアを閉め終えて、千明が周りを見る。


「他のサークルの知り合いに天文部のことある程度は聞いたけど、6人いるのに屋上ではなんで3人しかいないの? 他のメンバーは?」


 千明が質問するとドレッドの隣の時雨が答える。


「金辺ちゃんに素子ちゃんと真城君は隣町の駅に既に向かわせているんだ。今日はそこにも赤い雨が降るから―――」


「シグレの言うようにオレとシグレは赤い雨を感知できる能力がある。記憶を消せる暗示が使える以外にも二人だけその能力を持っているのさ」


 ドレッドがそう補足するように千明に答える。


(金辺もレガシーウエポンとか赤い眼とか使えるのね。身近にいたのに気づきもしなかったわ。あいつどっかで暗示とかかけてると思うと怖いわね)


「あんた達、恐ろしい能力持ってんのね。レガシーウエポンってやつをまだ見せて貰ってないけどさ」


 千明がそう言って、半信半疑になる。

 後ろでドアを閉めた佳代子が声を掛ける。


「今回は赤い雨が降る前に千明にその魔方陣でレガシーウエポンや赤い眼の能力などを開花させる儀式だ」


「なるほどね。あたしにもその能力やレガシーウエポンが適性があるから儀式で使えるようになると―――命の危険とか儀式ではあるの?」


 千明が足元の王冠の紋章を見る。


「今のところないよ。儀式は全部成功してるから、私とドレッド君だけがこの儀式を使えるんだ。その前はドレッド君の話では魂喰らいに襲われて無気力病になった先輩が3人いたんだけど、退部しちゃった。その3人の先輩の一人が儀式を使えたんだ」


 時雨がそう答えると千明が少し足が震える。


「過去にも戦ってた先輩がいて、全滅したのね。ドレッド君と時雨はその先輩から儀式でレガシーウエポンとか赤い眼の暗示とか儀式が着けるってわけね」


「チアキの言う通りだ。3人のいなくなった後はシグレを適性があるとオレが誘い、その後の4人を次々とレガシーウエポンや赤い眼を使えるようにさせた」


 ドレッドがやや曇った暗い顔で話す。


「そろそろ始めぬか? こうしている間にも赤い雨が降り始める。レガシーウエポンや赤い眼の暗示などを千明が覚えないままだと状況としてはマズい」


 佳代子が千明の後ろからそう話す。


「そうだね。じゃあ千明ちゃん。目を瞑って、頭に浮かんでくる武器をイメージしてね。それがレガシーウエポンだから、後は念じれば儀式が成功するから―――」


 時雨がそう答えて、目を瞑り―――。

 ドレッドも目を瞑って、その後に開く。

 二人の目が赤い眼になる。

 後ろの佳代子も既に赤い眼になっていた。

 千明がゴクリと唾を飲む。




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