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第六十五話

 千明の座っている場所からやや下にいるキャンパスプラザの大きな通路では映画サークルが数人いた。

 学生映画の撮影を数人が撮影道具を持って、映画のシーンを撮っているようだ。


(電車で役になりっ来てた演劇部の部員が映画サークルで合同で演技してるわね。普通のサークルって、ああいうもんよね)


 千明がハンバーガーを食べて、その活動を椅子越しに見守る。


(けれど、今日の昼頃の謎の天文部は―――)


 千明が立ちあがり―――背後の気配に感づき。


(普通のサークルとは違う、か―――)


 千明が後ろの人物に振り向く。

 佳代子が千明の後ろ斜めに立っていた。


「よく声を掛ける前に気付いたものだな。反射神経は良いようで安心したぞ」


 石の椅子が並ぶ中で隣の階段の佳代子が千明にそう話す。


「サークル棟に呼び出さずにここに待たした理由とかあるの? こっちから来るとメッセージじゃ書いてあったけど、出迎えまでは書いてないわよ?」


 千明がそう言って、ハンバーガーの袋をまとめてコンビニ袋に入れる。


「うむ、理由もある。サークル棟の屋上である準備をしていたものでな」


 佳代子がカバンからジュースを取り出す。


「準備? あたしに関係あるわけ? それともお昼ごろに図書館で話してた魂喰らいの奴らと関係あるの?」


 千明の問いに佳代子が無言で頷く。

 その後に千明が身構える。


「それじゃあ赤い雨も降るのも解ってるってこと?」


「無論だ。付いてきてほしい―――ジュース飲むのならこのメロンソーダを渡すが?」


 佳代子がそう言って、千明にジュースを差し出す。


「要らないわよ。早く案内しなさい」


 千明が断り、佳代子がやや困り顔で階段を登っていく。

 千明が佳代子の後ろについていく形で階段を登る。

 残ったのはカメラや雑音を消す声だけを収録するマイクなどを持っていた映画サークルの撮影の活動だけだった。



 二人は外観の汚れている建物の壁にスプレーの大きな落書きのあるサークル棟に向かう。


(金辺に話してたサークル自治会に注意されてた落書きか―――初めて来たけど、サークル棟で間違いないわね)


 千明が汚れているコンクリートと窓ガラスのある八階建てのサークル棟に入っていく。

 中は薄暗く廃機材が置かれている。

 各サークル部屋のドア近くに電灯が照らされており、管弦楽団サークルのバイオリンの演奏などが上の階から聞こえる。

 佳代子が無言で階段を登っていき。

 千明も無言のまま後ろから続く―――。

 八階の先の上の階段を登り、最上階の屋上に通じるドアを佳代子がノックする。


「岡橋だ。千明を連れてきた。鍵を開けるぞ」


 佳代子が名字を名乗り、鍵を取り出す。


「守衛に屋上の鍵貰ってるわけ?」


 千明がここにきってやっと口を開く。


「うむ。天文部なので雨の日以外は星座を観察するという名目で屋上の鍵を借りている。赤い雨の日以外はな」


 佳代子がそう答え、鍵を開ける。

 カチャリッという音で鍵を佳代子がしまう。


「では、入るぞ」


 佳代子が屋上のドアを開ける。




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