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第六十四話

 キーボードの横にある籬と言う男から貰った焼き鳥パックを見る。


「夜は夜だけど―――学生バスがまだ回ってる時間ね。焼鳥屋食べて、さっさと外に出るか―――」


 千明が焼き鳥パックから串に刺さった砂肝を口に入れる。


「んっ! 上手い。からし味噌と混ぜたら味も二パターンでお得ね。あの人、店のチョイス良いわね」


 千明が二回しか会っていない籬の顔を思い出して、焼き鳥を次々と食べていく。

 食べ終え―――。


(これからも赤い雨の夜にこの部屋に無事に戻れますように―――)


 そう願うように鍵を持って、財布だけスカートのポケットに入れて部屋を出る。

 そのままドアの鍵を閉めて―――アパートの階段に向かって歩く。

 空は真っ黒な夜になり、雲が空の三日月を隠していた。



 千明が駅前まで歩き―――。

 最後の学生用の無料バスに乗る。

 駅に向かう帰りの大学生達が駄弁りながら帰る一方で―――。

 千明はガラガラのバスの中でサークルの関係者や泊まり目当ての他サークル部員を見る。


(天文部に入るとこの人たちや駅に向かう同じ大学の学生たちを守るわけか―――)


 千明がふとそう思い―――。

 バスの最後列の誰も座っていない席にもたれかかる。


(異形の獣に西洋の剣みたいな武器を持つ赤い眼の大学生か―――非現実的よね)


 千明がそう物思いにふけると―――。

 スマホが二回振動する。

 スマホを見るとメッセージが届いていた。


『赤い雨が今日間違いなく降る。キャンパスプラザで待っていてほしい。時雨がサークル棟の部屋まで案内する』


 天文部の佳代子からのメッセージを確認し―――。

 バスが坂道を登り始め、ガタッと揺れる。


(もう引き返せないか―――バスから降りたら―――)


 千明が右側の窓の景色を見る。


(天文部の特別な野外活動のパトロールに参加、か―――謎も解ってくると―――)


 山だらけの夜の景色を窓越しに千明が見て―――心臓を緊張で高鳴らせる。



 バスが大学前に着き。

 千明がキャンパスプラザに向かって、バス停近くの階段を下りていく。

 活気のあった大学は夜七時五十分を迎え、キャンパスプラザは無人で静まり返る。

 階段を下りていき、生協の店は閉まっていたので設置されている大学内の二十四時間のコンビニに向かう。

 コーヒーとハンバーガーを買って、コンビニから出ていく。

 コンビニ内では客は研究棟の助教授や院生にサークル棟の部員が少ない人数でいるだけだった。

 無人のキャンパスプラザに千明が椅子に座る。

 温めてもらったハンバーガーを食べながら、目に入る夜の明りに照らされた貯水池を見る。

 夜に守衛や教授などが泊まり込むこともあり、電灯が大学内に照らされる。





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