第六十話
千明が講義が始まる前に席に着き。
大学の大教室で自由科目の経営学・初級の講義を受けている時。
(ああ、そういや去年の受験期間から考えたら上級生と講義を受けるのに違和感覚えてたっけ)
千明が席の中央の位置で窓際に座って、ふと思う。
教授の講義にノートを重要な項目だけ書き。
(大学で遊んでくれる奴はそれなりに出来たけど―――高校の時と同じで一緒に何かを目指したりとか、同じことに打ち込んだりとかは無かったわね)
教授が黒板にチョークで経済の重要性を簡略的に項目に分けて、書いていく。
(一緒に時間をすごしたことは無かったな)
千明がそう思い、黒板の大きな文字をノートに写す。
知り合いもいない大勢の生徒が集まる教室で―――。
(そう思うと……思った以上に、あたしは孤独だったんだな……)
千明が大勢の人数で講義を受ける中―――。
雑踏の中の孤独を心に覚える。
そうしているうちにチャイムが鳴り―――。
講義が終わって、学生たちが帰っていく。
教室に残ってお喋りをしている学生もちらほらといる。
(そういや、この講義は出席取らずにテスト二回やって合格点取れたら単位貰えるんだっけか―――高校と違って、こういう所が自由よね)
千明が薄暗くなった窓の夜景を見る。
(五限も終わって、午後六時か。夜になってきたわね)
千明がカバンに教材とノートを入れていく。
(二か月遅れのサークル入部か……しかも勧誘したのに仮入部で試験付きって、有段者しか入部できない体育会系の剣道部でもないのにどんなサークルよ)
千明が席から立ち上がり、スマホを見る。
スマホには天文部の佳代子からのメッセージが届いていた。
千明が内容を見る。
『本格的な夜になるには時間がまだある。キャンパスプラザで時間を潰すがよい。七時半になったらサークル棟の屋上に来るのだ』
スマホから来た佳代子のメッセージに千明が返事を送る。
『今日は赤い雨降るっていう確信があるの? 後一階家に帰って、アパートに荷物置いて置くわ。異形のあいつらに教材汚されたくないしね』
千明が返信して、教室を出ていく。
その後に千明が満員の学生バスに乗る。
(家に戻ったら、お母さんに電話しておくか―――)
千明がバスに揺れながら吊り輪を握る。
(詳しいことは言えないけど、命に関わることだしね。サークル入部のことを伝えておかないといけないわ)
千明がそう思う中で―――。
バスは下り坂を降りていく。
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