第五十九話
千明が図書館から出ると意外な人物と出会う。
「あっ! 北沢さん」
千明が管理棟のサークル自治委員会の北沢と図書館の入り口前で出会う。
「あら、よく会うわね。これから帰り?」
北沢が教材の入ったカバンを片手に足を止める。
「いいえ。五限の講義の教室にそろそろ行って、席取らないといけないから―――」
千明がそう答えて、片手に下げた自分のカバンを持って歩く。
「私も五限は七号棟で自由科目の講義だから同じだね」
北沢がそう言って、千明と肩を並べてオーバーブリッジの階段を登っていく。
「サークル自治委員会の方は良いんですか?」
階段を登り終えた千明が隣の北沢に質問する。
「ああ、交代で四限の講義終えた人が入れ替わりやってるから問題ないわよ。私も大学生だしね」
「あっ、そっかぁ。第一印象はバリバリのキャリアウーマンみたいに仕事が出来る人と思ってたから、忘れてた」
千明がボケてるのか素の感想なのか分かりにくい返しを入れる。
北沢がやや困り顔と笑い飛ばしそうになる複雑な表情で千明を見る。
「そこ私が笑うとこ? 論理学の講義の時に一緒の席になったら、私が法学部の二年生だってこと覚えておいてほしいわね」
北沢がそう言って、軽く謝る千明と一緒にオーバーブリッジを歩いていく。
「北沢さん。私は八号棟で自由科目の講義あるからこうして一緒に話しながら歩くことあるかもね」
「さんはいらないわ。サークル自治委員会の仕事以外なら北沢で良いよ。で、個人的な問いだけど―――天文部の件どうするの?」
二人がオーバーブリッジの下の貯水池の上を歩いていく。
「入ることにしました。五限が終わって夜が近づいてくればサークル棟に行こうと思います」
千明がそう答えて、北沢がスマホを取り出す。
「ほれ、サークル棟で問題あった時はサークル自治委員会の掲示板教えるから登録しておきなよ」
「ありがとうございます。北沢」
「呼び捨てと敬語が混じってる。フランクで話して良いわ。私の名前もサークル自治委員会以外なら北沢で良いわよ。山本さん」
二人が笑い合い。
スマホでアドレスを登録する。
「私の個人的な連絡も教えていい?」
千明がそういうと北沢がやや困り顔になる。
「私と話して仲良くなってもサークルの部費が増えたり、問題起きても減刑にならないわよ?」
「いいの良いの。そんなんじゃなくて個人的に話したいときがあれば話したいだけだから―――」
「そういうことなら呼び捨てするわよ。千明って、変わってるのね」
二人が七号棟の二階のフロアに辿り着き。
スマホで連絡先を交換する。
「遊びに行く時や飲みに行く時は誘ってね。オフの時はゆっくり跳ね伸ばしたいからさ。お堅いだけじゃサークル自治委員会の仕事も人生もお互いに窮屈だしね」
北沢がそう言って、七号棟の三階の階段に移動する。
「じゃあ、またお互い暇な時にね」
千明がそう言って、北沢が後ろ姿で軽く手を振る。
(さてと、なんだかんだで話し相手増えたわね。ふとした縁でこうして話し相手が増えるってのも大学の面白いところね)
千明がそう思い、スマホをしまう。
そして七号棟の先にあるオーバーブリッジの方向に歩いていく。
そのまま八号棟のフロアにオーバーブリッジ経由で辿り着き。
四階を目指して、近くの階段を登っていく。
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