第五十六話
千明が大学のキャンパスのバイキング食堂から出て―――。
管理棟のある方向に階段を下りていく。
右側には貯水池と屋根のない石の椅子や机があり、学生たちがチラホラと談笑している。
左側の大きな管理棟の建物の出入り口に着く。
(さてとサークル自治委員会はっと―――)
千明が入り口に入り、プレートの貼られた各階の案内板を見る。
一階は受験の願書提出の場所であり、二階は就職先の案内や内定先の報告などの就職課がある。
千明が三階にあるサークル自治委員会の部屋が書かれている項目を発見する。
(あった、あった。エレベーターは事務員やスタッフが待ってるから階段上るか―――)
千明がエレベーターの場所を通り過ぎて、近くの階段を上る。
薄暗い階段を三階まで登り終え―――。
サークル自治委員会っと書かれた部屋をノックする。
「はい、どうぞ」
ドア越しに女性の声が聞こえ、千明がドアを開ける。
「失礼します」
千明がサークル自治委員会の部屋に入る。
窓を開けたままコーヒーの匂いが僅かに部屋から匂う。
いくつかの椅子と机があり、委員会の男性二人が書類に半を押したり―――話し合っている。
奥の机にさきほどの女子大生が座っていた。
「学生さんね? 学生証と要件をどうぞ」
奥の席のセミロングヘアにゆるふわなウェーブをかけた髪型の黒縁の四角メガネの女子大生が千明に話す。
「あっ、はい。用件は天文部についてです」
千明がそう言って、ドアを閉める。
奥の席の女子大生が千明の学生証を見る。
「天文部ねぇ。予算の話ならさっき部長さんと済ませたわよ?」
「あ、いやそうじゃなくて―――座っても良いですか? 北沢さんって人と長い話になるので」
千明が近づいて、軽く会釈する。
「北沢は私だけど、何? 個人的な話なら今はダメよ。五限になったら授業でそれまではサークル自治委員会の仕事が残ってるから―――」
北沢と名乗ったサークル自治委員会の事実上の委員長がそう告げる。
「天文部のことでいくつか聞きたいことがあるんです。サークルの人には隠し事のようで話せなくて……」
千明がそう恐る恐る話す。
北沢がセミロングヘアにゆるふわなウェーブをかけた髪を指で弄る。
考え込むように少し間を置いて―――。
「……書類にない隠し事ねぇ……まっ、座んな。ちょっとコーヒー淹れてくるから―――」
黒縁の四角眼鏡を北沢がかけ直して、立ち上がる。
ウォーターサーバーの隣のコーヒーやジュースの給水機に紙コップを置く。
そのままウォーターサーバーのコーヒー版の熱い給水機のボタンを押す。
四種類の飲み物が出るサーバーのようであり、レモンジュースにアイスコーヒーとコーラが他にも写真付きのボタンで機械にある。
「ありがとうございます」
後ろの北沢に千明がそう言って、北沢が座っていた対面する席に座る。




