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第五十四話

「はぁ、全く私もお人好しよね。解決できないままでも普通に生活できそうなのに―――こんなこと知ったらこの町を守りたいって正義感が出るんだから―――」


 千明がため息を付いて、椅子から立ち上がる。


「西部劇の保安官みたいでカッコいいではないか?」


 佳代子がそう言って、スマホを取り出す。


「佳代子だっけ? なんかアンタは騎士道とかそういうの好きそうな武人口調よね」


 千明が突っ込んでスマホを同じく取り出す。

 時雨がそんな二人に気付いて嬉しそうに話す。


「あっ! 連絡先交換だね♪ 仮入部でも天文部のサークル棟の部屋の場所を教えないとね!」


 時雨が楽しそうにスマホを取り出す。


「命がけなの解ってんの? アンタら命のやり取りが日常化して麻痺してるなら深刻だから―――」


 千明がそう言って、スマホをしまう。

 三人が連絡先を交換し終える。


「それでは時間を取らせた。今夜から活動するからメッセージに場所を教える」


 佳代子がそう言って、時雨と一緒に先に図書館の階段に向かう。


「千明ちゃん♪ じゃーねー♪」


 時雨が笑顔で手を振って去っていく。

 千明が腰に手を当てる。


「ったく、遠足や友達とは違う命のやり取りだつーのに」


 千明が言い終えて、スマホを見る。

 彰美からメッセージが届いていた。


『おっす千明。昼になったし、今度は1グラム1円のあのバイキング食堂行かない? 吉澤もセットだよー☆』


 千明がメッセージを見て、考え込む。


(そういや、吉澤さんと彰美ってラクロス部だっけ? サークル棟一緒だろうし、バイキング食堂でそれとなく天文部のこと聞いてみるかな)


 千明がバイキング食堂に今から行くことを返信する。

 そのまま階段まで歩いていく。


(目立たない端っこの席で話すか―――天文部のことをかぎつける人ももしかしたら無気力病の中にいる可能性もあるし―――)


 千明が図書館の二階の階段を下りていく。


(案外この大学内で魂喰らいのことを知っている悪人もいるかもって考えると―――さっきみたいに迂闊に話せないしね)


 そう思い、階段を千明が降りていく。



 大学内の昼休み―――。

 賑やかな学生食堂で彰美と吉澤に千明は大皿にありったけの料理を盛り込んでいた。

 その色んな肉や揚げ物や野菜が盛り込まれたドーム上の形をしたメニューを食べていく。


「彰美。聞きたいことあんだけどさ」


 千明が唐揚げを食べながら隣の席の彰美に話す。


「何ー? 今度の講義の代返? カード式だから始まりと終わりに二回だけ学生カードをカードリーダーに入れないと駄目だから出来ないよー」


 答えた彰美が焼肉と青椒肉絲を混ぜてそのまま口に入れる。


「ア・ホ・た・れ。サークル棟について聞きたいんだけだど」


 その言葉にハンバーガーをナイフで切る吉澤が顔を千明に向ける。


「えっ? 山本先輩もサークルに入るんですか?」


 吉澤の質問に千明が「あー」と言って、窓を見る。


「まぁ、まだ仮入部の段階だけどね」


 千明のあいまいな答えに彰美食べつつ―――話す。


「千明。あんた、アルバイトとネット囲碁で忙しいからサークルはパスとか一年生の時の四月のラクロス部の勧誘の時に言ってなかった?」


「山本先輩。今からラクロス部入るなら大会のレギュラーの道は厳しいですよ」


 吉澤がハンバーガーを食べながらウルウルとしたスポーツ女子の熱い眼差しを向ける。


「いや、ラクロス部に入るわけじゃないわよ。それと彰美、あたしの目を無意味に笑みを浮かべてジッと見るな。はよ肉を食え、中華の油ソースが隣のたらこスパゲッティに混ざるぞ?」


 千明が彰美に突っ込みつつ、バイキング食堂の盛られたスパゲッティを食べる。




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