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第五十話

 幼さのある少女は黒のゴスロリの服を着ていて、その後に言葉を続ける。


『二つの命を持つ者。いずれ誘われる二つの剣を持つ男女に誘われる―――彼ら揃いし時―――』


 少女が淡々と機械のような言動で話していき―――。

 少女の頭の上に二本の剣が対になって浮かび上がる。

 一つは刃先に氷のようなつぶてがいくつかある剣。

 そしてもう一つは刃に炎を宿す剣―――。


『あの剣はどこかで―――』


 その時の千明が炎の剣を見て、頭を抱え―――。

 炎の剣を持った赤い目の亜麻色の髪のラフな外ハネのショートヘアーの少女が浮かぶ。


「これは―――そうだったのね」


 記憶を取り戻している千明が納得し始める。

 そして―――。


『ストッパーの二つの命を持つ者よ。儀式の公平さを保つため―――媒体の私が接触する』


 少女がそう千明に伝え―――。

 ストッパーという言葉で過去の千明が苦悶するような表情になる。

 そのまま無意識に血が出ていたであろう胸の部分を両手で触る。

 痛みも血も流れてはいなかった。

 灰色の時の止まる世界で少女は頭上に浮く二つの剣の上で言葉を続ける。


『ストッパーの始まりの体に刺さる過去の刃の力を持って―――儀式はいよいよ永きを持って果たされん』


 少女がそう言い残し、幻影の様に消えていく。

 残った二つの剣も炎と氷を放って、蒸発するように無くなっていく。

 消えていった煙の中で―――。

 最後におぞましい姿の大型の獣のシュルエットが映る。


「こいつが思い出せないわ。どこかで見たような面影がある」


 記憶を取り戻している千明が頭を抱え―――。

 図書館の机で頭を垂れる。

 欠けていた記憶がこれで最後と言わんばかりに流れ込む。

 千明が言った面影のある獣―――。

 その黒い影だけの獣はやがて、灰色の世界を取り込むように世界に色を戻していき。

 赤いヒビの入った地面も灰色の世界も黒い獣の影に吸い込まれていく。


『我は儀式の最終段階の実行者の真の姿。ストッパーよ、いずれまた儀式の終わりに現れるであろう―――』


 黒い影の獣のシュルエットがそう話し、うっすらと消えた。

 そして、すべての記憶が千明の脳に戻った。

 千明をあの時二度助けた女子大生の時雨の目が黒くなる。

 赤い目の彼女はもう千明の目の前にはなく―――。

 ただ変化していた目以外は助けられた時のままの外見の彼女が対面する机に座っていた。


「これで全部だよ。千明ちゃん、思い出せたかな?」


 時雨が上目遣いでおそるおそる話しかける。

 千明が汗を少し流して、時雨と佳代子を見る。


「ええ、でも―――あんた達は何者なの? あの時は目が赤くて不気味だったけど、人間なの?」


 千明が警戒して、二人を見る。




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