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第四十九話

 目を合わせた千明に何かが送り込まれるように視線越しに記憶が入っていく。

 千明の脳内に映像が次々と送られていく―――。


『貴方に無事な朝が来るように―――この夜の赤の記憶を消させてもらうね』


 いつか聞いた夜の公園での亜麻色の髪の女子大生の言葉。

 その時のオーソドックスな丸目の奥にある赤い瞳。

 炎の剣を握った姿―――。

 そして斬られた狼の獣。

 千明にあの時の記憶が取り戻されていく。

 続いて蘇った記憶は―――。

 ロングパーマスタイルの狐のように細い眼をしたフード姿の男が倒れた千明に近づく。


『ひゃっはっはっはぁ~! まさかこんなに上手くいくとはなぁ―――チェックメイトてやつだ女子高生ちゃ~ん』


 フードの男が高笑いと共に高校生の千明を蹴り上げる。

 いつかの昔の忘れていた思い出してはいるが、欠けている記憶。

 そして―――。


『目が覚めたみたいね。また貴方なのね。連続で襲われるなんて……あいつらが一度助けた相手を再び襲うことはないのだけれど―――』


 二度目の消された黒のハイネックに紫のロングスカートにガジェットブーツの服装のその女性の暗示―――。


『えっ? 貴方は誰ですか?』


 その時の赤い雨の夜での千明が質問する前に―――。


『魂喰らいの襲われた記憶を消すわね。偽りの記憶を作るけど、貴方に無事な朝が訪れるわ』


 魂喰らい―――。

 その謎の言葉と共に消された記憶。

 その魂喰らいと脳内の記憶で告げた存在の記憶。

 その時の狼の顔の黒い獣が千明を赤い目で下衆そうにジッと見る。

 狼の口が開く。


『なるほど、旨そうな小娘だ。おかげで触手越しに言語を覚えることが出来た。その魂の半分を今から頂こうか―――』


 狼が流暢な言葉で話す。

 まるで千明から言語を触手越しに吸収しているように話す。


『さて、俺達、魂喰らいは襲ったやつのみ言語を覚える。そして魂を汚す動機と屈辱と絶望を与えなければ儀式の為の魂を半分献上できない』


 彼女達と同じ赤い目をした狼の黒い獣が触手を展開しながら口をふさがれた千明に一方的に話す。


『ふふっ、では恥辱で魂をもらって行こうか―――』


 狼がそう言って、両肩の触手を揺らす。

 あの時の体内に何かが入ったのか、そこはぼやける千明の忘れし記憶―――。

 その次に―――。


『ストッパーよ。そのレガシーウエポン―――他の物ならそのまま武器になるがストッパーである貴殿は違う』


 謎のタレ目の巫女服の女性が男の声のまま話し続ける。


『何を訳の分からないことを言っているの? 私は死んだの? ここはどこなのよ?』


 その時の千明が言葉の意味も解らずに女性に話す。

 女性は気にせずに千明に淡々と告げていく。


『仲間達との絆により―――貴殿のレガシーウエポンはより強力なものになる。その時が来たら王冠が輝くであろう』


『王冠? レガシーウエポン? 何をさっきから訳の分からないこと―――』


 千明が謎の女性に問いかける。


『13の人々が王冠の力を上げ―――レガシーウエポンを強化してくれる』


 女性がそう告げると周りの景色がぼやけていく。

 最後に順番を得ずに―――。


『起動―――起動―――言語適応―――貴方の中に誰がいるのですか?』


 隣町の時のピンク色のショートボブの髪型を揺らす少女が千明に話しかける。


『何を言っているの? 私の中に誰か?』


 あの時間軸での千明は意味が解らずに少女に戸惑う。




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