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第四十話

 千明が自販機前に着くと―――。

 三人ほどの警官が壊れた自販機で業者のトラックの警護をしていた。


「あれ? あの自販機壊れてる」


 千明が傘をさして、いつかの自販機を見ている。

 自販機がまるで獣の大きな爪痕で潰されたように破損していた。

 業者が専用の大型の車で壊れた自販機を機械で運ぶ。


「そこの君。そんなところで何をしている?」


 千明の真横から女性の声が聞こえる。


「あ、いや―――ここの自動販売機って、壊れてたのが変に思って―――」


 千明がそう答えて、真横の女性に体を合わせる。

 体を向けるとその女性はツリ目で目にクマがある。

 警官の服装を見るに警察のようだ。

 年は27歳か28歳あたりの風貌であるが若さがある。


「この自販機を見たのはいつだ?」


 女性が千明に質問する。


「昨日の夜だった気がします。ええとあなたは?」


 千明が上目遣いで刑事の女性に問いかける。


「埼玉で刑事をしている。笹塚(ささづか)だ。その夜に自販機前で何をしていた」


 笹塚と名乗る刑事が雨の中で千明に聞き込む。

 千明が何か欠けたような違和感を覚え―――。


「お釣りを落とした私と同じ大学の学生さんの硬貨を拾っていました」


 機械的に口からそんな言葉が違和感のある記憶と共に口に出た。


「―――ここの大学の学生か? 年齢と学生証を見せてほしい」


 笹塚刑事がそういうと、千明が財布から学生証を取り出す。


山本千明(やまもとちあき)です。19歳でここの大学の学生です」


 千明がこの駅に一つしかない大学を名称を呼ばずに返答する。

 笹塚刑事が手の空いた警官を呼んで、報告書を取らせる。


「その後に何か異変や気になったことはなかったか?」


 笹塚刑事が質問すると―――。

 千明の頭の映像に―――。

 ふと黒い爪の長い獣の映像が一瞬だけ出る。

 だが、何をしたのかさえ千明には思い出せない。


「―――いえ、そのままアパートに帰ったと思います」


 千明が遮るように笹塚刑事に話す。


「そうか、ここにある監視カメラが壊されていたのだが、君が来る前は故障していなかったか?」


 笹塚刑事が次の質問を投げる。


「いえ、カメラは見ていないので良く解りませんが壊れてはいなかったと思います」


 千明がすぐに返答する。


「そうか、ご協力感謝する。この近くに住んでいるのなら野次馬根性を出さずにまっすぐ帰るように―――」


 笹塚刑事がそう言って、千明を追い返す。

 千明がぎこちなく頷いて、住んでいるアパートに向かう。

 笹塚刑事が胸ポケットから眠気覚ましのガムを取り出す。


(映像に映らないまま器物が勝手に破損する事件が起こっている)


 笹塚刑事が考え込んでガムを口に入れる。


(映像に映らないのに人から突然爪痕のような傷や出血が起こるのは何故だ?)


 ガムを噛みながら、笹塚刑事が警官が取り外した破損の監視カメラを見る。





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