第三十九話
牧師装束を身に纏った男が振り向いた千明に説明を止める。
「誰かいたのですか?」
男が気にかけるように千明に話す。
千明が背後を確認するも赤い雨の降る道には―――。
人影もなく畑と民家に遠くの位置に小さく映るコンビニがあるだけだった。
千明が男の方に顔を戻す。
「あ、いや、何か後ろから変な声が聞こえませんでしたか?」
「いえ、私からは特に聞こえませんでした。赤い雨が降る日ですから、家にすぐに帰った方が良いですよ」
千明の質問に銀髪のジャギストレートの男は淡々とそう告げる。
「あ、そうですね。でも赤い雨降る日が習慣化されて、みんなが何とも思わないのが今にして思うと怖いですよね」
千明が何気なく軽く話すと―――。
「……そうですね。恐ろしい事件もこの雨の降る夜に起こりますし、今日もどこかで―――っと思うと……」
銀髪の男は緑と黄のオッドアイに僅かに光を灯すように―――。
どこか虚ろだった瞳に輝きを灯していた。
「あ、すいません。暗い話して、それじゃあ―――そっちもお気をつけて」
千明が一言言って、男の横を通る。
「ええ、貴方の歩くその道に命の危険がないことを―――」
銀髪の牧師装束の男が隣を通過する千明にそう答え―――。
二人はそれぞれ反対方向の道を歩いていく。
千明が駅から離れたコンビニに向かっていく中で―――。
駅前に向かう銀髪の男が立ち止まる。
「ん? 気のせいか―――さきほどのあの娘に何かおぞましい気配が―――」
男が駅前の見える道中で考え込む。
「―――私の考えすぎか―――ビルから見下ろしたあの時と同様に適正もないようだしな」
そう誰に行くわけでなく、結論を出す。
男の緑と黄のオッドアイの右目の緑色の目が光を無くす。
「まだ力が足りないか―――過程の中とは言え、この目も本来の色に戻りたいものだ。獣は私を襲わないと言え―――」
男が片方だけ潤う緑の左目と対照的な光のない右目に脳で理解する。
「―――いずれ私が彼女を生き返らせることも出来るやもしれない」
謎の意味深な言葉を述べた男は駅に向かって、歩いていく。
二人のいなくなった赤い雨の降る畑ばかりのコンクリートの道で―――。
血液の様に赤い雨の水たまりが怪しく暗い輝きを見せていた。
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