第三十八話
二人は監視カメラを見て、雨を滑らずに小走りで走っていく。
「時雨。素子と一緒にそちらの感知した二匹の魂喰らいを倒した。一方は喋っていた―――」
その場所から離れた二人の内―――佳代子がスマホで時雨と呼ばれた女性に話す。
「そっか、それだと辛いね。金辺ちゃんと真城君が別のエリアをドレッドが感知した場所で魂喰らいを倒しているから―――」
スマホ越しに大人しそうな女性の声が聞こえる。
佳代子がスマホ越しに頷く。
「うん、もう少しこの辺りを調査してみる。感知の方向は他にもあるのか?」
「いいえ、もう無いはず―――少なくともこのエリアで今日人が襲われることはないわ。目標の集合場所に戻ってね」
時雨と呼ばれた大人しそうな女性の声に佳代子が頷く。
「わかった。今日は少ないと思うが―――引き続き感知を頼んだぞ」
「解った。感知出来たら連絡する。他の駅にいるドレッドッと金辺に新人の真城にも赤い雨が止んだら連絡を入れよう」
「うん。私からしておくから佳代子は気にしないでね。それじゃあ、私も反対側を調査するから―――」
「うむ。人数不足とは言え、無理はするなよ」
スマホを切って、佳代子が素子を見る。
「このままパトロールかじぇ?」
素子の言葉に佳代子が頷く。
「ああ、例の場所に戻るまでに魂喰らいがまた現れるかもしれない。警官が来る前にここを去ろう」
「解ったじぇ! 今日はいつもより魂喰らいが多いとドレッドが言ってたし、連絡待ちつつ巡回するじぇ!」
「うん、そうしよう」
二人のやり取りが終わり―――。
赤い雨の降る中で小走りに走る二人が人には見えない弓とライフルを持つ。
赤い雨は消し飛んだ黒い獣の消失を気にせずに今日も降る―――。
※
一方―――謎の女子大生二人が黒い獣を倒していた時間。
千明が自販機のあった駐車場に着く途中―――。
駅から離れた畑とマンションや一軒家が並んでいるコンクリートが敷かれた道と外側の砂利道や畑の帰り道の中で―――。
傘を差した千明が男性とぶつかってしまう。
「うわっと!」
ぶつかった千明が雨水で転ばずにバランスを取って、傘を上に上げる。
銀髪のシャギーストレートの髪型の若い大人の男性が千明に謝罪する。
「―――失敬。怪我は?」
「ああ、すいません。大丈夫ですよ」
男の言葉に千明が返答する。
男の肌は雪のように白く―――細い腕と腰のスタイルの良い体をしている。
(おおっ、イケメンではあるけど、あたしの好みじゃないかな? うーん、存在感あるなー)
千明が傘越しに緑と黄のオッドアイの顔の整った細身の男性を見る。
外見は深い青の牧師装束を身に纏った姿でどこか神秘的なオーラを持っている。
男の服装に千明が首を傾げる。
(この辺って、教会とかあったっけ? 外人さんにしてはこんな目立つ人はここには見たことないわね)
千明がその男を見て、考え込む。
「どうされました?」
年上の若い男が透き通った声で千明に話す。
「あ、いえ牧師さんなんですか? っと思ってしまったので―――」
千明が慌てて、言葉を返す。
深い青の牧師装束のその男が自分の服を見て―――。
「ああ、この服は―――」
男が説明しかけた時―――。
千明が自分の血の出ていた個所の胸を抑える。
ドクンッという鼓動で―――。
『復讐の為にことを済ませた後で我は冥界に帰りたい―――封じるもの許すまじ―――』
後ろから囁くように別の男の声が千明の耳に響く。
「―――誰っ!?」
千明が反射的に後ろを振り向く。




