第二十八話
「なぁなぁ! 和正―――調査って何?」
連れの大学生の男がテーブルに座って、本名を言われた真城に尋ねる。
「あー、いや、その……そう! ここにスタイルの良い美人ウエイトレス服の女性のスリーサイズを聞きに―――って!」
真城が言い終わる前に金辺から手をつねられる。
「ご注文は?」
金辺が他の客とは違ってぶっきらぼうに対応する。
「ウサギとか? あっ、嘘っすよ。牛カルビハンバーガーとマヨコーンピザと唐揚げ定食二つずつ、クーポン券で200円引きでっすよね?」
真城が半笑いで金辺に注文をする。
「かしこまりました」
金辺がそう言って、去っていく。
真城の連れの大学生が興味ありそうに金辺の後ろ姿を見る。
「あの子。金辺さんっていうの? 美人だよな。お尻も良い感じだし、ラミレスからの胸も結構あるじゃん」
連れの大学生がそう言って、真城がどう説明していいのか困り顔になる。
「いやー、そのなんというか―――関わらない方が良いかもよ?」
「何だよ、和正。あの巨乳の金辺さん狙ってんのか?」
「狙ったというか最近になって狙われてしまったというか―――」
連れの話に真城がどう返していいか頭を少し抱える。
「実はそっけないふりして独占欲が強くて、イケメン彼氏相手にヤンデレ化してたりして~、とかそう言う話とかするの?」
連れの男子大学生がノリノリで聞いてくる。
「お前は幸せで良いねぇー。これ食ったら大人しく帰れよ。また―――」
真城が水の入ったコップを持ち―――。
「昨夜に続いて―――無気力病事件の元になる赤い雨がまた降るかもしれないぜ?」
真城が少しだけ強めに警告するように連れの学生にそう告げる。
それを聞いていた離れた場所の高貴そうな謎の女常連客がピクリッと眉を動かす。
真城とその連れに常連の女性客を除いて―――。
ほとんどがファミレスでレジで清算を終えて、ガラガラになっていた。
連れの男子大学生が驚きつつ、無言で真城の言葉に頷く。
店内では少ない人数の中でどこかピリピリとした独特の空気を放っていた。
※
千明がロッカーを開けて、大男に貰った紙を取り出し―――。
ロッカーを閉めて、仕事場に戻った時。
厨房班から出来上がったメニューをトレーに渡される。
千明が不機嫌で無愛想そな女性客の所までメニューを運んでいく。
「お待たせしました。モンブランとチョコレートパフェに出汁醤油バターのキノコ入りネギパスタと唐揚げ定食にアイスティ―です」
千明が業務用スマイルで答えて、テーブルにメニューを置いていく。
「貴方……一人ではなく半分なのに二人いるわね……?」
女性がそう告げると千明はスルーして、メニューを置き終わる。
「あのお客様。面識があるかどうかは解りませんが体の大きな男性から伝言を頼まれております」
千明が気にせずにそう話すと女性が頬杖をつく。
「答えてはくれないのね。私の気のせいかしらね。それで―――」
「あの……」
「伝言なんでしょ? どこの誰かは想像つくけど、大男かしら?」
女性の言葉に千明が「はい」っと短く告げる。




