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第二十四話

「金辺って、仕事の時以外はいつもそんな口調よね? 何か理由でもあるわけ?」


「言わなくてはダメか?」


 二人が駅から離れて、街中で会話をする。

 赤い水の水たまりを慣れたのか気にせずに他の住民と共に歩いていく。


「別に答えたくないならそれでいいわよ。アンタ客受けがいいし、スタイルも良いからもっと社交的なお喋りを仕事以外でも出来れば完璧だなって思っただけ―――」


 千明がそう言って、横断歩道を金辺と一緒に渡る。


「余計なお世話だ」


 金辺がぶっきらぼうに返事をする。

 軍服かボーイスカウトの制服のような混ざり合った上着を着ている金辺がスマホを胸ポケットに入れる。

 やや大きめの胸が服越しでも解るので男性の視線が一部で集中する。

 彼女の赤のミニスカートに白のニーソックスの服装に―――通り過ぎていく男子大学生が太ももをチラチラ見て、去っていく。

 千明が察しているのか呆れ顔で男性たちを見る。


「ほれ、金辺のアンミラなウェイトレス服見ればあたしらのアルバイト先の売り上げに貢献出来て給料アップじゃないの?」


 千明が横断歩道を一緒に渡り終えて、そう告げる。


「くだらないな。害にならなければ放っておく」


 金辺がジト目のままあまり表情を変えずに返事をする。

 彼女がぶっきらぼうなのは去年からなので千明は慣れているのか話題を変える。


「アンタの所属しているサークルって、何だったけ?」


「天文部、だ」


 二人が歩きながら会話をしていく。

 道中では警官が目立ち、薄暗い細道などは通行止めにされている。

 雀荘や一円パチンコ店目当ての大人たちが警官の進路制限により煩わしそうに車の通る歩道を歩く。

 千明がぶっきらぼうな金辺とアルバイト先まで近道を封鎖されているので歩道を歩いていく。


「その天文部もあるサークル棟にスプレーで壁に大きな落書きあったでしょ?」


 千明が金辺に確かめるように話す。


「あった」


 金場が短めに答える。


「私はサークル入って無いから直接は行ったことないけど、昨日の夜に画像が友達から送られたわ。ほれ、これ」


 千明がアルバイト先のファミレス近くまで来て駐車場で立ち止まり―――。

 スマホの画像を金辺に見せる。

 スプレーによる壁のアートなのかサークル棟の二階分ほどの大きさの絵を見せる。


「それがどうした?」


「そいつが管理棟の中央委員会に注意されて、サークルの部員が大物画家だぜって意味不明なVサインしたのよ。それでサークルの部長が注意されたわ」


「大物画家じゃなくて大物馬鹿」


 金辺がぶっきらぼうに短くツッコミ―――ファミレスの裏口に着く。


「またやるかもなーっとか笑いながらタップダンスしてたわ。イキリ散らしているみたいで高校生だと思った。っていうか高校七年生?」


「イキリ散らすどころか―――イキリ悟ってんじゃないのか?」


 金辺が裏口のカードリーダーに胸ポケットの財布から出したカードを通す。


「―――そいつ次の夜に例の無気力病になったみたい」


「……」


 金辺が千明の赤い雨の話題に一瞬黙り込む。


「手痛すぎるシャレにならないしっぺ返し来たわよね。なんつーか、笑えないけどさ」


 千明が少し間を置いて、スカートのポケットから財布を出す。


「赤い雨の夜は気を付けろ」


 金辺がそう答え―――ドアがカードリーダーにより開く―――。




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