第二十二話
(私は今になって何を迷う? 冥界王を越える力をこの儀式で手に入れ―――復讐を通して神すら越える力を手にしたのだろう?)
男が苦そうな表情でビルの裏口に着く。
(あと半年―――半年だ! 保険もかけている。確実に成功しなければならないのだ!)
ビルの裏口から男が外に出ていく。
残された建設中のビル内ではパスタリアだけがピンクの輝きを秘めて魔方陣を描いて宙に浮かんでいた。
そのビル内には人がいない、工事の職員も何故か死者が出るということで工事が中断されている。
そんな廃ビルにも思える建設中のビルは少女だけを残して、不気味にあり続ける。
※
謎の男達のやり取りの時間の頃―――。
警官たちが爪跡のような跡がある壊れた自販機に集まる。
「笹塚美沙刑事。今回も例の無気力病の事件と同じケースです」
警官の言葉に名前を呼ばれたレインコート姿の女性刑事が肩を軽く回す。
「今回は無気力病の対象になる被害者はいないのか?」
女刑事の笹塚美沙がツリ目で目にクマがある視線を警官に当てる。
新人らしき警官が反射的に敬礼して、答える。
「っは! 埼玉警察本署でも言っていたケースBです」
「君はここに配属されて、日が経ってないからわからないだろうが―――謎の見つかりもしない獣を放っている犯人はまだ特定できていない」
笹塚刑事がそう言って、鍛え上げられた体で銃を取り出す。
新人の警官が通常業務の感覚で話す。
「はいッ! ケースBは配属先の書類では無気力病の患者が出てない行方不明のケースですね。でもそういう場合は被害者が獣から逃れたということですね」
「そうだ。そういうケースの場合は毎回不思議な情報がある。法則性でもなんでもなく手がかりかどうかも定かではないがな―――」
笹塚刑事がそう言って、スタイル良い大きめの胸の位置にポケットにあるガムを左手で出す。
新人警官が不思議そうに聞く。
「手がかりでありますか?」
「何人かの顔のぼやけた学生の集団が武器を持っているとかいう目撃情報だ。この事件に間違いなく繋がっている」
笹塚刑事がそう言って、ガムを口に入れる。
「この赤い雨が降り続けて、始まりとされる行方不明になった殺人犯と殺されたと書類で扱われている行方不明の刑事―――それらの後に出てきた謎の銃刀法違反の学生の集団だ―――」
笹塚刑事がガムを噛みながら不機嫌そうに話す。
スタイルの良い鍛え上げられた肉体を持つ彼女がガムを膨らます。
新人の警官が他の警官隊が現場の操作や書類の点検などをしている中で―――。
「赤い雨が最初に降ったのは殺人犯の脱走と同じ時間帯だ。偶然にしては出来すぎている。この事件が続く限り迷宮入りでは我々の治安維持への信頼も市民に薄れる」
笹塚刑事が言い終え、ガムを銀紙にしまう。
「この約二年間で犯人は複数いると私は確信している。殺人犯の姿も報告にある状態で田舎の刑事として舐められっぱなしは性に合わないからな。治安維持をしつつ、探偵チーム共にも手がかりを見つけ出さねば税金のタダ取りという訳だ」
新人の警官がその言葉に緊張して唾を飲む。




