第十九話
自由科目の教授が時間を見て、講義を終える言葉を告げる。
「それでは囲碁の講義をこれで終了します。良い子の学生の諸君! 囲碁のルールもそうですが、ルール社会が嫌で飛び出した不良学生ほど、やれ掟だそれ集会だと、そこの法に従っているものです。どうせ縛られるなら、お天道様に恥じないルールに従いたいものですね。そういうわけでルールに従って、来週の講義も来るように―――」
教授がそう言うと同時に―――生徒たちが学生カードをカードリーダーに入れて帰っていく。
カードリーダーに学生カードをタッチした千明は四限の自由科目を終え―――。
カバンと一緒にそのまま教室を出ていく。
オーバーブリッジを抜け―――。
少し時間を置いて、第二厚生棟で雑誌を立ち読みを始める。
五限の始まったばかりの時間を確認して、サブカル雑誌を置く。
雑誌の内容は模造品の剣と槍と斧が秋葉原の武器屋で紹介している特集だった。
(西洋の甲冑の鎧まで買って、河原で愛好家同士の西洋戦争ごっこを良い年した大人がサバゲ―感覚でやるのか―――魔法使いいないからガチのハンマーと剣の叩きと斬りあいじゃん。―――映画で満足しとけって話ね)
そう思い、サブカル雑誌をコーナーのあったスペースに置く。
(武器屋特集の槍を持つ者は剣を持つ者が三倍の技量差があって、初めて互角に渡り合える。んなこと特集で書かれてもねぇ。人生で絶対に使わない雑学だわ。この雑誌はハズレだな。端っこの囲碁雑誌にしとくか―――)
千明はなんとく暇つぶしで次の囲碁雑誌を手に取る―――。
(武器持ちの物理バトルとかそんなの日常どころかあたしの学生生活には縁のないものね。さてと今日の囲碁のタイトル戦の棋譜はっと―――)
千明が囲碁雑誌を立ち読みして、時間を潰す。
(囲碁における棋譜は50手まで並べて、棋力が上がるって言うし―――スマホの囲碁棋譜アプリで50手だけ数字入力で入れちゃうか―――)
千明がスマホのアプリを開いて、棋譜を入力する。
(ふむふむ、黒の二連星に対して白は秀策流の布石か―――三手目で黒がカカッて来たわね。ホテルでの二戦目で名人が一勝してるからニギリで白石の挑戦者の石の流れを見るにやけに挑戦者が攻め碁な展開ねぇ)
千明がスマホ片手に棋譜を入力しながら、囲碁雑誌を流し見る。
しばらくして―――。
(さーて、雑誌の宣伝コーナーに韓国プロ棋士と最強思考エンジンの棋譜の本が明日発売か―――電子書籍で買って、PCゲームの囲碁ソフトで棋譜並べして検討するかな)
読み終えた囲碁雑誌を第二厚生棟の売店の雑誌コーナーに置く。
スマホの囲碁アプリに保存した棋譜をデータに入れて、アプリを閉じる。
(時間はまだ余裕あるけど、そろそろ駅までバスで乗って―――アルバイト先の小都会の街のファミレス行きますかね)
千明が売店を出ていく。
(アルバイト先終わったら、家で棋譜をデスクトップパソコンにスマホから棋譜アプリ読み込んで棋力アップね。しっかしあたしも地合いからの目算が細かめでも出来るようになって、成長を実感するわね)
そのまま階段を上り―――バス停に移動する。
(おっとコミュニティからダイレクトメールで通知来てるわね。アルバイト先コミュニティじゃない方だから、こっちか―――)
ガラガラになったバス停でスマホで同じ学部の女子大生とスマホのコミュニティでチャットをしている間に―――。
バスがやってきて、半分にも満たない人数の密度の席で千明が最後尾に座る。
(ああ、この前の自由科目の論理学の講義の時の女の子から飲みの誘いかぁ。棋譜並べといつもの囲碁サイトでの対局と今日は見たいシリーズ物の映画がサイトで有料会員限定で配信してるからパスにしとくか―――)
千明が断りのチャットを送る。
(さて、アルバイト先のコミュニティであいつと同じ時間で駅で待ち合わせるかな。今日の労働時間と待ち合わせ場所と時間を入力っと―――)
そのままアルバイト先のファミレス仲間にチャットを送る。
同じ大学でアルバイト先のファミレスを紹介した同級生と事務的なチャットを送る。
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