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第十五話

 立ち尽くしていた大学生達が降りていく。

 千明が椅子から立ち上がった時に―――。

 頭の中で黒い獣の映像が浮かぶ。


(さっきから何だろ? 大事なことを忘れているような。そろそろ講義のある西側の講義棟に行かないと―――)


 千明が疑問をひとまず置いて、バスを降りていく。

 バス停前の休講などを告げる掲示板を無視して、歩く。

 大学内の品ぞろえが豊富な全国で展開している有名な学内のコンビニも通り過ぎ―――。

 千明がバス停のやや離れた位置にある階段を目指す。

 ドーム状の透明な屋根のある大きな石の客席のある階段を下りていく。


(ここって学園祭の時にコンサートとか野外ライブで学生さんがたまに使うんだっけか? ジャズ部とかもたまにここで演奏して暇そうな学生さんが石の椅子に座るんだっけ)


 千明が階段を下りて、オレンジを基調としたレンガ色のキャンパスを歩いていく。

 左右ふたつのそれぞれの講義棟に行く道のなかで右の図書館がある場所に歩いていく。


(ここのキャンパスも慣れるようで慣れないものね。なんか毎日のキャンパスライフが新鮮な気持ちになるし―――)


 千明が大学の入り口のある駐車場とベンチが多くある図書館前に着く。

 入り口の右側には自主トレーニング室や体育館や地下一階の道場などがある。

 左側には受験生の願書を出すための事務やサークルの中央委員会などが利用している管理棟の建物がある。

 図書館の単体側の場所には室内ホールなどがある記念講堂があり、管弦楽団が演奏したりする場所でもある。

 千明が図書館の離れた場所の両脇にある階段の右側の階段を上っていく。


(しっかし高校と違って、色んな人と気軽に会えて、講義の始まる前や休み時間にフランクに話せるってのは良いもんね)


 千明がそう思い、階段を上り終える。

 その先には東棟と西棟を繋げるトンネルのように三階の高さから歩ける場所に着く。

 それはキャンパスの移動で楽にショートカットが出来るオーバーブリッジだった。


(私立とは言え、本当に広い大学だわ。高校の頃に推薦で合格出来て良かったかも―――)


 千明の通う大学にはおよそ20棟にも渡る建物がある。

 現在千明がバス停で降りた場所は左の端っこにある。

 バスの停車する場所には大きな駐車場には何台ものバスが並び。

 朝と夜の八時までバスが交互に駅前の街のバス停と山にある森だらけのバス停を回っていく。

 バス停前で千明と同じ学部の女子が挨拶する。


「おーす千明。これから講義? 自由科目?」


「サークル入ってないし、生協のご飯目当てでもないから消去法でそれが正解」


「今度学部の女子達で一緒にバイキング食堂で食べようね。1グラム1円ってのが良いよねー」


「肉は狙われやすいから早めに来た方が良いわよ。んじゃあね」


「あいよー。私は二限から自由科目の講義だから、また会ったらゆっくり話そうね。んじゃねー」





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