第百十六話
ある程度の話が終わり―――。
佳代子が真城に自販機で買ったカルピスを渡す。
「へぇ、じゃあアンタらはその魂喰らい狩りってのをやってるわけで俺にもそのレガシーウエポンが使える適性があるってことっすか?」
「うむ。実は私も去年に赤い雨で魂喰らいってのに襲われて、助けて貰ったのだ」
佳代子がそう答え―――。
真城がカルピスを飲んでベンチに座る。
「へぇ、そっちの綺麗な肌が白い金髪に染めてるジト目のスタイルの良いおねーさんもっすか?」
「ああ、私も去年だ」
金辺が隣のベンチに座ってぶっきらぼうに答える。
「美人なのも含めて、ナチュラルに肯定っすか」
「何か言ったか?」
「いえ、別に―――」
真城が殺気立つ金辺から目をそらしてカルピスを飲んでいく。
「真城君にはある程度の事情を話したけど―――どうしたい?」
時雨が笑顔で真城の前に座り込む。
「その事件を解決したいっす。金辺先輩達のこと知って、適性もあるってのなら俺も協力するっすよ。レガシーウエポンが使える適性のあるやつがウジャウジャいて魂喰らいってのがそれ狙ってんでしょ?」
真城がカルピスを飲み終えて、そう答える。
「俺が狙われたのもそのレガシーウエポンが使える適性があるから魂喰らいってのに襲われたんだろうし―――」
真城がそう言って、ペットボトルをゴミ箱に投げ込む。
ゴミ箱に綺麗に入ると同時に四人を見る。
「そんなことになってるなら解決したいっすね。狙われてる奴らもレガシーウエポンが使える適性がある連中もいるってことっすよね?」
「全員が全員レガシーウェポン持ってるわけじゃない」
ドレッドがそう答え、真城に近づく。
「今からでも暗示をかけて、元の生活に戻れるが?」
「ここまで聞かされて、元通り~なんて記憶を消されても後味が悪いっすよ。天文部に入部するっすよ」
「何故だ?」
金辺が不思議そうに問う。
「今日まで埼玉県のこの町を少なからずアンタらは警察にも協力が出来ない状況下で戦ってきた。人数が少ないと守れる町も守れない上に犠牲者が増える。なら俺に力があるなら一人として人数増やして解決を早める方が効率的でしょ?」
真城がそう返答し、金辺が意外そうな表情になる。
「命の危険もあるのにか?」
金辺が念を押すように問う。
「アンタらが既に体張ってんのに同じ力のある俺が事情を知りながら記憶を消されて元の生活にって、また魂喰らい来た時に記憶が無くても俺自身はやっぱ後味悪いっすよ」
「うむ。真城は真っ直ぐしているな。私は気に入ったぞ。佳代子だ―――よろしくな」
佳代子が真城に右手を差し出す。
「俺はただ平和な学生生活を送りたいから今の問題を協力して無くそうってだけっすよ。あんたらだけ苦労するって効率悪いでしょ? 正義感とかじゃなくて俺自身の人生観に後味悪いから組むってだけっす」
真城がそう言って、佳代子と握手する。
「素直じゃないのか論理的なのか―――面白い奴だな」
ドレッドがベンチに座って、目を瞑る。
真城が握手を終えて、ドレッドを見る。
「そりゃどーもっす。これから命がけでもあるっすから嫌でもアンタらと仲良くしなきゃいけないのが魂喰らい狩りよりも面倒そうっすね」
真城がそう冗談交じりに話し―――。
ドレッド以外の三人が笑う。
時雨が真城と握手をして、ブンブンと上下に回す。
「赤い雨はもう止んでるから、明日の夜に屋上に来て―――レガシーウエポンが使えるようにするから―――私は時雨っていうの」
「まったく、俺もとんでもないことに巻き込まれもんっすね。まぁ、自分から入ったし、トコトン付き合うっすよ。よろしくっす」
真城が照れくさそうに時雨から固く握った手を離す。
―――こうしてレガシーウェポンを持つ者として、頼りになる一年坊が仲間になった。
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