第百十四話
真城が動揺する中で―――。
ドレッドの目が赤いまま倒れ込んだ女性に手を添える。
目を瞑り、手から青色の光を出す。
「冥界の儀により、この傷を元に戻らせよ―――我が治癒の力よ―――」
ドレッドが呪文を唱え―――。
女性の左腕を掴む。
そのドレッドの手にある青い光が女性の体の傷を治していく。
「これは一体なんなんすか?」
真城が困惑する中で―――。
女性の衣服が綺麗に直っていく。
やがて破けた服や下着が修復されていき―――。
「ヨウミ。彼女の暗示を頼む」
「わかった」
名前を呼ばれた金髪に染めている女子大生の目が赤いまま女性を見る。
意識を取り戻した女性が虚ろな目のまま駅まで歩いていく。
「あ、ちょ、ちょっと―――」
真城が人形のように歩いて去っていく女性を慌てて話しかける。
「ん? お前―――高い適性があるな」
ドレッドが真城を赤い眼で凝視する。
真城がその赤い眼に怯えて、後ずさる。
「あんた俺の通ってる大学で見たことあるッスね」
真城が警戒しつつ、赤い眼のドレッドを見る。
「なぜ、暗示をかけない?」
金辺が不思議そうにドレッドに話す。
その後に赤い雨が止み―――。
真城が赤い眼の二人を見て、冷や汗を流す。
「あんたら人間なんすか? さっきの化け物を武器で倒してたようにも見えるっすけど―――」
「レガシーウエポンが見えるのか?」
金辺が真城に問いかける。
「ヨウミ。暗示をかけるのは待とう。この男にはレガシーウエポンが使える適性がある」
ドレッドがそう言って、真城に近づいていく。
「く、来るなっす! それ以上近づくと助けてもらったとは言え、ぶん殴るっすよ!」
「それはよくない」
赤い眼の金辺がそう言って、真城の後ろに回り込む。
「何? 俺の後ろをあっさりと! どんな身体能力っすか!」
真城が驚きつつも金辺に羽交い絞めにされる。
「赤い眼の力さ」
金辺がそう答え、ドレッドを見る。
サイレンの音が鳴っていき―――。
細道から白いバンがやってくる。
「早く乗れ。警察に見つかると厄介だぞ」
運転席に乗った女子大生が金辺とドレッドに声を掛ける。
「ドレッド。暗示をかけずにどうする気だ?」
金辺がそう問いかけると―――。
「話は後だ。ヨウミ、彼を離してやってくれ」
胸があったっている金辺が真城を離す。
「あんたら一体なんなんすか?」
「車に乗らないのなら先ほどの記憶を消す。オレ達にはその力がある。事情は車内で話す。どうするかすぐに選べ」
ドレッドが赤い眼のまま真城に問いかける。
「んなこと言われも―――変なとこに連れてかないとかそういうのは無いっすよね?」
「安心するがよい。私は岡橋佳代子。君と同じ埼玉県の大学生だ」
運転席の女子大生がそう自己紹介して大学名を後から告げる。
「同じ大学の人っすか―――解ったすよ。でも警察に―――」
「時間がない。当て身」
金辺が短く答えて、真城の首に手刀を入れる。
「うっ! 死ぬ!」
真城が意識を失って、気絶する。
ドレッドが倒れた真城をそのまま白バンの席に乗せる。
「カヨコ。車を出せ。赤い眼も解除しろ」
ドレッドが席に乗って、話す。
「うむ。ではパトカーが来る前に飛ばすぞ」
金辺が後部座席に乗ったのを確認して、佳代子がアクセルを踏む。
真城が意識を取り戻したのは大学のある駅の公園に着いてからだった。
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