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第百十話

「これで本当に精神力が上がってレガシーウエポンが長時間使えるようになるの?」


 千明が問うと時雨がニッコリと笑顔を見せる。

 スマホを取り出し、千明に見せる。


「えっ、数分の出来事だと思ったのに三十分も経ってるじゃない!」


 千明がスマホの時間に驚いて、立ち上がる。


「数分に感じるけど、瞑想は基本的に三十分で終わるんだ。一日一回しか出来ない上に精神力もちょっとずつ上がるから暇な時にやってね」


 時雨がそう言って、千明に手を差し伸べる。


「瞑想は初めてだと負荷がキツいから―――さっ、握ってね」


「ありがとう」


 千明が時雨の手を握って、椅子から起き上がる。


「終わったか?」


 奥からぶっきらぼうな言い方の声が聞こえる。

 千明と時雨が声の方向に振り返ると―――。

 ジュースの缶を持った金辺がいた。


「うん、心配させちゃった? 部室に誰か来たの?」


 質問しつつ時雨が金辺からピーチジュースを受け取る。


「素子が来たから鍵渡した」


 金辺がそう答えて、千明にメロンソーダを渡す。


「あんがと金辺。正直瞑想後に何かどっと汗が流れてたのよ」


 千明がそう言って、缶のタブを開ける。

 そのままグイッとジュースを飲む。


「時雨、ニュース見たか?」


 金辺がそう言って、スマホを見せる。

 飲み終えた千明と時雨がそのニュースをスマホ越しに見る。


『昨日に赤い雨の後で隣町で無気力病の女子大生と男子大学生がホテル付近で発見! 殺人犯の影もあり!』


 そのニューストピックに千明と時雨が驚く。


「赤い雨の後に? どういうことなの? 確かに街を守ったはずでしょ?」


 千明が二人に問いかける。


「たまにあるんだ。こういう出来事」


 金辺がそう返答する。


「たまにって、赤い雨が止んで魂喰らいが現れないって言ったの天文部のみんなだよね? 一体何がどうなっているの?」


 困惑する千明に時雨が冷静なトーンで話す。


「それについては原因がわからないわ。無気力病にさせても殺人はしないのが魂喰らいだけど、時々こういう事件が見えないところで発生するの。関係性のある殺人犯って言うのがいるのは確かだけど―――」


 時雨の話に千明がある声が蘇る。


『ひゃっはっはっはぁ~! まさかこんなに上手くいくとはなぁ―――チェックメイトてやつだ女子高生ちゃ~ん』


 高校の頃に聞いた覚えのあるフード姿の男の不快な声―――。

 千明が考え込む。


「千明。三限近いぞ。自主休講か?」


 金辺が千明にそう話す。

 千明が考え込んでもしょうがないと思い―――。


「……三限の講義そろそろだし、瞑想も終わったから―――これまでにしとくわ。昼休みも終わりだしね」


 そう言って、二人より早く屋上から出ていく。

 金辺と時雨が殺人犯について色々と話していく。


「殺人犯のことは千明に関係しているようだ」


「そうみたいだね。千明ちゃんと殺人犯はこの事件に繋がっている気が私もするね」


「佳代子の兄のことも繋がっているかも知れない」


 金辺がそう話す。

 その後にスマホのタブを閉じていく。


「警官で殺人犯と一緒に行方不明だもんね。千明ちゃんは刺された当時の女子高生で間違いないだろうし―――」


「どちらにせよ。近いうちに赤い雨の元凶が現れる気がする」


 金辺がそう答え―――時雨と一緒に屋上から出ていく。


「どうして金辺ちゃんはそう思うの? 千明ちゃんが暗示を解いたときに殺人犯のことは本人から聞いたし、ストッパーって言葉も関係はあるとは思うけど―――」


 時雨がそう問う。

 二人はそのまま部室に着く。


「千明がこの事件に一番関係している気がする」


 金辺がそう返答する。




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