第百八話
「あんた一体何なのよ? 魂喰らいの親玉なの?」
千明が口だけを動かして、止まっている世界の中で巫女に問う。
『それはいずれ分かることだ。よく聞くがいい―――其方の13の王冠に関係する人物には王冠が宿る。来るべき時に備えて、人々との絆を強くしてレガシーウエポンを強化することだ。13人の絆によって、13の王冠はそれぞれ強化される』
「13の王冠? それがあたしを強くする?」
千明が困惑しながら声を出す。
『左様―――ストッパーよ、これこそが其方のみに与えられた王冠の力によるレガシーウエポンが強化される要素。13人の関係する人物にはこれから王冠が宿る。来るべき時に備えて強化することだな』
そう巫女が言うと―――。
停止している彰美と吉澤の頭上に青色の王冠の紋章が頭上に現れる。
「この二人に王冠の紋章が現れてる? この二人も13の王冠に関係するってこと?」
千明が驚きつつ、吉澤と彰美の頭上にある13の球体が外側にある王冠の紋章を見る。
『王冠が関係する人物の上で輝き。ストッパーである其方の王冠の周りの13の球体の1つが輝く。レガシーウエポンと関わったメンバーのレガシーウエポンも同様に強化される』
タレ目の巫女がそう言葉を続ける。
「あんたが言うには天文部のレガシーウエポンを持つ6人にも13の王冠の紋章に起因するってこと? 天文部のメンバーの絆を深めればレガシーウエポンは双方共に強化されるってことなの?」
千明が推理するように巫女に答えを投げかける。
タレ目の巫女が頷いて、千明を赤い眼で見る。
『喋らないようにすれば王冠は芯の強さを発揮する。このことを話すと来るべき時に其方は世界と共にこの世の終わりを見る』
「―――この世の終わり? それってどういうこと? あんたは何かこの事件について全てを知っているの?」
巫女の言葉に千明が不安を覚えて、次々と質問を投げかける。
『それは―――いずれ解ることだ。これも儀式の過程の中にある一つに過ぎぬ。レガシーウエポンを持つ者同士は絆の力で王冠が輝く。ストッパー以外に関わったもののレガシーウエポンが強化される』
「あんた人の話を聞きなさいよ!」
『絆を深めよ。真の絆が深まりし時、王冠の力が其方の真の姿と冥界の力を与えよう―――ストッパーよ、その名の通りこの儀式を止めるのだ。時間が移る―――我はここで離れなければ、あやつらが嗅ぎつける』
タレ目の巫女がそう最後に告げて―――ぼんやりと消えていく。
千明の目の前に13の球体が現れ―――その中央に王冠の紋章の魔法陣が現れていた。
「こいつが13の王冠の魔法陣ってことか―――」
千明が納得する。
やがて―――その王冠の魔法陣もまた消えていき。
灰色の景色が色素を強めるように色が戻っていく。
「13の王冠か―――人の絆で強くなって、あたしのレガシーウエポンが強くなる。あの男声の巫女が何者で何を企んでいるか知らないけど―――みんなに内緒でやってみるしかないってことか」
千明がそう呟き。
世界の色と音と時が戻っていく。
「どうしたの千明? ぼうっとして」
彰美が心配そうに千明を見る。
「―――なんでもない。気にしないでね。天文部の部室に行くわ」
「そう、んじゃね」
三人が食器を持って、食堂のコーナーに戻していく。
「彰美先輩。そろそろこっちもラクロス部の練習ですよ? 私達は三限講義ないからグラウンドで四限まで練習です!」
吉澤が片手で握りこぶしを作り、控えめなガッツポーズを見せる。
「そだね。千明、じゃあね~」
彰美がそう言うと千明も手を振る。
「あ、そうだ。吉澤さん」
「山本先輩。何ですか?」
「アドレス交換しない? 今度暇な時にでもお互い話そう」
千明の言葉に吉坐がスマホを出す。
「普段はラクロス部と講義にバイトで忙しいですけど、大学内で見かけたらよろしくです」
吉澤がそう返答して、アドレスを交換する。
スマホで吉澤とアドレスを交換して、三人はサークル棟の食堂を出ていった。
雑談と食事が終わり、千明はサークル棟の階段を登っていく。
吉澤と彰美は階段を下りていき―――。
駐車場の先の横断歩道を渡り、グラウンドのある十号棟の先まで雑談しながら歩いていく。
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