第百四話
時雨が笑顔でメンバーと千明に話す。
「千明ちゃんの入部祝いに鍋でもしながら、レガシーウエポンとか千明ちゃんの謎とか色々話そうか―――」
「それもそうだな」
金辺がそう言って、椅子に座る。
ドレッドもシグレの対面する場所に座り―――。
真ん中に千明が座る机に沸騰する鍋がある中で―――。
「千明ちゃんの入部を祝って。カンパーイ!」
時雨がそう告げて、新入生歓迎会のように振舞う。
「「カンパーイ!」」
メンバーが紙コップに注がれたオレンジジュースを上に上げる。
「だいたいは赤い雨の夜の日に命のやり取りしてるのに部活っぽくして言いわけ?」
千明が怪訝な顔で紙コップを持つ。
「それはそれ、これはこれだ」
金辺がそう言って、鍋に肉を入れていく。
「ま、今夜は赤い雨が降ってる夜でもないし―――こっちもメンバーが揃ったうえで改めて色々聞きたいしね」
千明がそう言って、鍋にモヤシや白菜を入れていく。
千明の歓迎会の鍋会の中で質問などが交わされる時間が始まる。
「天文部の入部は良いけど、特訓は具体的にはレガシーウエポンとか使うの?」
千明がそう言って、鍋に糸コンニャクを入れる。
「赤い雨が無い日は普通に昼にトレーニングや夜中に屋上でレガシーウエポン同士の模造武器の合同訓練も出来るけど―――レガシーウエポンは赤い雨以外は出せないかな」
時雨が説明しながら豆腐を鍋に入れていく。
「レガシーウエポンの模造武器? 何それ?」
千明が質問する。
「さっき金辺ちゃんとドレッド君がここに来た時に木製の武器持ってたであろう?」
佳代子が代わりに答えて―――切られている長ネギを入れていく。
「ああ、もしかしてあの木刀やそれに近い形で素振りや肉弾戦をするわけ?」
「そうだ。あとは瞑想だけだ」
金辺がぶっきらぼうに返答して、鍋に春菊を入れていく。
「瞑想で精神力を上げて、模造武器で身体訓練で反射神経と運動神経を上げるようにしてるっすよ。まあ俺はボクサーグローブっすけどね」
真城が付け足すように千明に説明し、鍋に水菜を入れる。
「体力付けるために走り込みもするじぇ! 屋上でなく各自大学にある自主トレ用の部屋があるじぇ! 夜に外で走り込むのもアリだじぇ!」
素子がそう言って、豚バラ肉を入れていく。
「ああ、あの体育館の近くにある申請すればトレーニング施設とかどの学生でも使える部屋ね。わかったわ」
聞き終えた千明が納得する。
「チアキ。瞑想することにより暗示以外の治癒や探知にレガシーウエポンの使用時間が強まるんだ。シグレとオレだけが探知を使えるが範囲は隣町まで届く。遠くだと曖昧な位置にもなるが―――被害はある程度は抑えている」
言い終えたドレッドがシイタケを入れる。
「時雨とドレッドは特別ってことね。じゃああたしの記憶のことをこれからみんなでおさらいしましょうか? 謎のままだとわからないしね」
千明がそう返答して、色とりどりの具材の入ったグツグツッと音を立てる鍋を見る。
「過去に高笑いする男と警官の男のやり取りと自分が胸を刺されていたこと―――その時の傷が自動で治ったことや謎の巫女の女性が放つ男の存在―――時雨の暗示を最初に解いたときに出たのよね」
千明が話すとメンバーが考え込む。
「その記憶が過去に誰かに暗示をされて封じられていたとか?」
金辺がそう答える。
「えー、そんなんだったら暗示のあとに別の相手に暗示とかややこしいことになるっすよ? 傷が修復するのも謎の巫女が出てくるのも俺達のレガシーウエポンの儀式には無かったし、山本先輩には何か特別な力があるんじゃないっすか?」
真城がそう答えて、肉や野菜を皿に移して汁と一緒に食べる。
千明が続けて話す。
「その巫女にあたしが時雨に最初に助けられた時に暗示をかけられて、その記憶が出てきたの。あたしのことを『ストッパー』と呼んでいたわ」
千明がそう言って、白菜とシイタケを肉と一緒に皿に乗せる。
「ストッパー、か」
金辺が呟き―――椎茸を皿に入れる。




