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第百一話

 佳代子が明るい光の照らす窓を見て、言葉を続ける。


「警官だった兄が殺人犯の護送中に一人の警官の死体と共に行方不明になっている。護送していた殺人犯も居なくなりそいつが殺したとニュースで報道されていたが死体もないそうだ」


「…………」


 千明が黙り込んで佳代子の話を聞く。


「―――殺された警官が弾痕の傷跡を残していること―――殺人犯には武器が無いのに女子高生が殺されかけていたことからレガシーウェポンを殺人犯が持っているのかも知れないと私は考えていた」


「赤い雨が降ったばかりなら私もその場にいたと思うわ。殺されかけたのは当時の私ね」


 千明が答えると佳代子が窓から千明に視線を移す。


「そうか……女子高生が当時刺されていたと報道であったが―――まさか千明だとはな。時雨の暗示の時に時雨自身が記憶を覗いたときに見えたビジョンがあったとは聞いたが―――推測した後にそうダイレクトメールで話していた」


「時雨の名推理というか記憶覗きね。刺された私もその真相を知りたいし、私を刺した男とその佳代子のお兄さんの警官の話のやり取りが気になってたわ。だから入部すると決めているのもあるわ」


 千明がそう返答して、佳代子を見る。

 佳代子が憂い顔で千明を見て―――。


「赤い雨が降り始めたのもその頃だ。私も兄を探すために天文部と共に魂喰らい狩りを行っている。真城の推測ではレガシーウェポンを発動した殺人犯が兄をその後に殺したと仮説を立てている」


「あくまで仮説でしょ? その殺人犯がレガシーウエポンが使えるかどうかも分からないんだし、真に受けちゃダメよ」


 千明がそう言って、机から立ち上がる。


「先輩達から聞いていたドレッドの話では先輩達から聞いた話だと、稀に異界の力を持つものが人に力を与えることがあるらしい」


「異界ねぇ……冥界とか儀式の時に声が聞こえたわね。なーんか中二病臭いわね。でもガチでそのレガシーウエポンが使える力を持ってるし、受け入れるしかないわね」


「それがその殺人犯と警官にレガシーウエポンに近い何かの武器を発動させたとも話していた」


「ドレッド君やその先輩も仮説でしょ? 証拠や参考文献もなきゃレポート書けないのと同じで妄想にもなるわよ。気にしすぎよ。事件を追うことだけ考えようよ」


 千明が諭すように佳代子に話す。


「そうだな―――ありがとう千明。必ず事件の真相を突き止めよう。赤い雨も夜の不安も無くすために、な―――」


「もちろんよ! 佳代子―――改めてよろしくね!」


「うむ。お互いに生き残って事件の真相まで辿り着こう」


 二人が立ち上がって握手する。


「五限が終わったらまた夜に部室に来るが良い。入部届は大学に出しておく」


 握手をし終えた佳代子が話す。


「わかった。今日の夜ね。アルバイトがないから今回は来れるけどね」


「うむ。それと私らも知らない千明の過去も解ったことがあればすぐにでも話してもらいたい。魂喰らいに関係するやも知れぬからな」


 そう言って二人がドアの前に移動すると―――。

 ドアが開く。

 時雨と真城が来ていた。


「あ、千明さんもきてたんっすか? これから五限っすか? 金辺さんに千明ちゃんどこかって聞いても返事ないっすから心配してたんっすよ」


 真城が弾んだ声でそう話す。

 その間に佳代子が時雨に部室の鍵を渡す。


「金辺は今の時間だとバイトあるから五限から講義別だけど大学に来るわよ。あいつは自主休講せんしね。じゃあ、夜にまた部室に来るわ」


 千明がそう答えて、部室を出ていく。


「千明ちゃん。暗示解くの忘れてる」


 時雨が慌てて千明に話す。


「夜に来た時に解いてもらって構わないわよ。二日分残ってるんでしょ?」


 千明が返答すると時雨が頷く。


「佳代子ちゃんが説明してくれんだね。じゃあ夜にまたね」


「はいよー」


 千明がそう言って、部室を出ていった。


「さーて、時雨先輩。二人いるし、屋上で木刀持って、素振りと身体訓練やるっすか?」


 真城がそう言って、部室のロッカーから木造の武器の形をした武器を取り出していく。


「そうだね。私達だけだし瞑想も後でして―――屋上でトレーニングしようか」


 時雨も賛成して、佳代子と一緒に部室を出る。


「二人ともほどほどにな。私は千明の入部届を提出しに行く」


「おっ、戦力増えて良かったっすね。んじゃあ、俺らもやりますか―――」


 三人が木製の木刀を持つ時雨と赤いボクサーグローブを持つ真城―――。

 そしてカバンを持って階段を下りていく佳代子と―――。

 それぞれが別行動して、部室のドアの鍵を閉める。




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